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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』 [ 2012年1月28日公開 ]

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 2010年4月に阿部寛主演で「新参者」というタイトルでドラマ化された、東野圭吾の人気ミステリー・加賀恭一郎シリーズ。その中でも東野圭吾自身が“シリーズ最高傑作”と呼ぶ「麒麟の翼」がドラマのキャストそのままで映画化された。主人公の刑事・加賀恭一郎は、遺族たちに丁寧に向き合いながら、被害者や容疑者の周囲を調べ、彼らの行動の謎を解き明かし、事件の真相を探っていく。被害者・容疑者それぞれが秘めていた家族への想いが明かされる時、思わず涙する観客も多いはずだ。阿部寛、溝端淳平らレギュラー陣に加え、新垣結衣、中井貴一、松坂桃李らが新たに参加している。監督は『涙そうそう』『ハナミズキ』の土井裕泰。

 東野圭吾の推理小説『麒麟の翼』を、東野作品をテレビドラマ化した『新参者』での“加賀恭一郎”役が好評を得た阿部寛主演で映画化。刑事・加賀恭一郎が、日本橋で起きた殺人事件の謎に挑む。共演は「BALLAD 名もなき恋のうた」の新垣結衣、「君が踊る、夏」の溝端淳平。監督は「いま、会いにゆきます」の土井裕泰。

 東京・日本橋で男性が殺害される事件が発生。被害者はカネセキ金属の製造本部長、青柳武明(中井貴一)。彼は、腹部を刺されたまま8分間も歩き続けた後に、日本橋の翼のある麒麟像の下で力尽きていた。なぜ、誰の助けも求めず、彼は一体どこへ向かおうとしていたのか。一方、事件の容疑者、八島冬樹(三浦貴大)は現場から逃亡しようとしたところを車に轢かれて意識不明の重体だった。報せを聞いた八島の恋人、中原香織(新垣結衣)は、彼の無実を訴えるが……。この難事件の捜査に当たるのは、日本橋署の切れ者刑事、加賀恭一郎(阿部寛)。やがて捜査が進むにつれて、それぞれの家族や恋人の知られざる一面が明らかになってゆく。命が終わるその時に、青柳は誰に何を伝えようとしていたのか?愛する人に何を残そうとしたのか?加賀は事件の裏に隠された謎を解き明かし、真実を見つけ出すことができるのか……?
[ 2012年1月28日公開 ]

コメント(1)

 小地蔵の大好きな作品「いま、会いにゆきます」の土井裕泰監督作品に加えて、東野作品のなかでも一番人間ドラマの要素が濃い原作だけに、期待して見にいってきました。
 けれども主演の阿部寛からはいまいち真に迫る感動を得られませんでした。

 親子間の葛藤がメインのテーマであり、ラストまで犯人候補が揺らいでいく構造は、近年の『相棒』シリーズの十八番とするシナリオ。どうしてもここは加賀でなく、右京ならどんな対応をするのかという色眼鏡で見てしまいます。特にラストで犯罪の誘発する原因を作った中学教師の水難事故隠蔽について、阿部寛は色をなしてこの教師を叱り飛ばします。けれどもこれが水谷豊だったら、ラストの犯人を叱り飛ばす決めゼリフでは、もっと感情を込めて、実を打ち震えながら、観客のカタルシスをはらしてくれたことでしょう。 本シリーズは連続ドラマの日曜劇場『新参者』の続編。刑事ものでは、ヒットを飛ばしているテレビ朝日の蓄積されてきたノウハウによる重厚な空気感に比べて、雑多なドラマを手掛けるTBSの日曜劇場製作の本作では、全体の雰囲気自体に軽重の違いを感じさせます。もしかしたら監督すらミスマッチだったのかもしれません。

 一定の人生経験を積むまでは刑事役を拒み続けてきた阿部寛。彼にはひょっとしたら苦手意識があるのかもしれません。本作のキモは、被害者の青柳武明とその息子悠人との親子断絶にありました。そして主人公の加賀恭一郎も元刑事だった父親に対して、同業後輩としてのコンプレックスを抱えていたのです。だから加賀は真相が明らかになるほどに、青柳父子の関係に感情移入するわけです。だからもっとお節介に、熱く武明や関係者に絡むはずです。ところが割と淡泊に阿部は演じているのですね。その辺が良くも悪くも阿部寛らしさがよく出ているのです。だれど加賀自身も、本作の象徴である「飛べない麒麟」のひとりであったことを強調した演出の方が、ぐっと観客も加賀に感情移入できたことでしょう。
 加賀が控えめな分、加賀の父親の看護を担当した看護士の金森登紀子が、加賀に三回忌の開催を迫るしつこさが目立ち過ぎて、違和感を感じました。
 原作ものは、どこをポイントに置いて2時間のドラマに凝縮していくのかがポイントとなります。本作はその点原作をそつなくまとめ込んでいて破綻がない秀作です。けれども『相棒』と比べても、面白味に欠ける感じがするのは、どこか一つ打ち出すところが弱かったからではないかと思うのです。『白夜行』と比べて筋を説明していく整理の仕方は、土井監督の方が数段上手いと感じます。けれどもラストの意外性や感傷においては、『白夜行』の深川栄洋監督が面白く感じたのです。

 物語としてはすごく秀逸。恐らく東野圭吾原作では最高傑作でしょう。事件直後に若い不審な男が現場から逃走。その若い男八島冬樹の持ち物からは被害者が持っていた財布と書類鞄が発見されます。そして、被害者が役員となっていた金属工場を解雇されたことについて怨んでいた証言もとれるなど、動機も証拠も充分。容疑者としては充分な疑いが固まっていったのです。
 しかし八島と同棲していた中原香織は、「彼が人殺しをするはずがない」と否定。加賀の粘り強い捜査によって、全く違う筋から真犯人が浮かんでいく過程は、推理ドラマとして出色の出来映えだと思います。
 特に「死者の声を聞くことが、生きているものの努めだ」という同僚のドラマの転換点となるひと言は、加賀の父親に対するトラウマを解消させただけでなく、見ている方もグッと考えさせられるひと言になりました。

 それと八島冬樹と中原香織が駆け落ち同然で上京したとき、東京での生活の出発点としてまず立ち寄ったのが日本橋の麒麟の像の前でした。そこで無邪気に万歳と叫ぶ若いふたりに、「ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。」と加賀がつぶやくところは余計に涙に誘われます。

 またある事件のことで、父親が期待した水泳をやめて、生きる目標すら見失いかけてきた青柳悠人が、本当の父親の気持ちを知って涙するところも感動的でした。
 その父青柳武明が刺されて瀕死の重傷にあいながらも、119に通報せず、ひたすら日本橋の麒麟像に向かって事果てたことも、本編の大きな謎の一つです。武明の命をかけた息子へのメッセージ、贖罪の思い、そして微笑み。中井貴一は実にいい芝居をしていましたよ。きっと原作のラストは、涙に泣きくれる感動巨編なのでしょう。

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