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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『マイウェイ 12,000キロの真実』 [ 2012年1月14日公開 ]

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●Introduction
 ノルマンディー上陸作戦後、連合国軍に捕らえられたドイツ兵捕虜の中に、ひとりの東洋人がいたというエピソードからインスパイアされた壮大な物語。日本、ソ連、ドイツと三カ国の軍服に身をつけながら、第二次世界大戦の極限状態の中を生き抜いてきた二人の青年の、感動と絆の物語だ。オダギリジョーと韓国スターのひとりチャン・ドンゴンが、運命に翻弄される主人公を全身全霊で熱演している。監督は朝鮮戦争の悲劇を描いた『ブラザーフッド』で感動を与えたカン・ジェギュ。製作費25億円。アジアからヨーロッパまで、240日間にも及ぶ長期ロケで生み出された、スケール感と臨場感にあふれる戦争スペクタクルを堪能したい。

 第二次世界大戦で日本、ソ連、ドイツ三国の兵士として戦い、連合軍の捕虜になった日本人の実話をヒントに、「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督が描いた人間ドラマ。アジアからヨーロッパまで240日間に及ぶ大陸横断ロケを敢行した。出演は「奇跡」のオダギリジョー、「グッドモーニング・プレジデント」のチャン・ドンゴン。

 1928年、日本占領時代の朝鮮。全く境遇の異なる2人が、マラソンの良きライバルとして成長する。憲兵隊司令官の祖父を持ち、常に一番を目指す日本人の長谷川辰雄(オダギリジョー)。幼い頃から長谷川家の使用人として働きながら、マラソンにおいては辰雄のライバルとして共に育った朝鮮人のキム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)。オリンピックの金メダルを夢見る2人だったが、いつしかその関係は国同士の戦いとなり、憎み合うようになる。やがて開催されたオリンピック選考会で事件が発生。ジュンシクは罰として日本軍に強制徴用されることになり、2人のオリンピックの夢は消えた。1939年、ノモンハンで2人は運命の再会を果たす。日本兵として戦うジュンシクのもとに現れた辰雄は、すっかり冷酷な軍人に変わっていた。戦場でも夢を捨てずに走り続けるジュンシクに激しい嫌悪を抱く辰雄は、ソ連への特攻隊にジュンシクを任命。辰雄は夢だけでなく、友情さえも捨て去ってしまう。死闘の末、敗北した日本兵はソ連軍の捕虜となるが、対ドイツの戦局が悪化し、決断を迫られる。“ソ連軍として戦うか、それとも死ぬか?”日本に自分のすべてを捧げてきた辰雄だったが、誇りを捨て、生きることを選ぶ。捕虜として経験する初めての戦場。そこで目にしたのは、特攻を強いるソ連将校の姿。その姿にかつての自分を重ね、生きる意味を考え始める。やがてドイツにも敗れ、辿り着いたのは故郷から遥か遠い大陸の果て。夢も友情も捨て、国と誇りを失くした辰雄。全てを失っても、それでも生きることを選んだのはなぜか?いかなる時も変わらないジュンシクに、生きる意味を気付かされる。もう一度、2人で故郷に帰ろうと決めたその時、非情にもノルマンディー上陸作戦の火蓋が切って落とされる。果たして、2人の運命は……?
[ 2012年1月14日公開 ]

コメント(2)

 試写会の受付でなんとカメオ出演した「KARA」のニコルがジャンパーとメガネで変装して、チラシを配っていたそうなんです。試写会にサプライズで登場したのもびっくりでしたが、二度びっくりでした。ニコルの出演シーンは、冒頭に主人公のマラソン選手が開く記者会見のスタッフとして登場しているとのことでしたが、ほとんど気付きませんでした。
http://mantan-web.jp/2012/01/10/20120110dog00m200032000c.html
 
 まず冒頭で1948年のロンドンオリンピックマラソンで、ひとりの韓国人名選手がトップに躍り出るシーンが登場します。その背中のゼッケンには、はっきりと「キム・ジュンシク」という名前が刻まれて、アップの後パンします。

 全編のほとんどが戦争シーンの本作にあって、実はこの冒頭のシーンがキモとなって、ラストの大切な伏線となっています。「キム・ジュンシク」というこのランナーの正体が分かるとき、国境も民俗も超越した大きな感動に包まれることでしょう。

 戦時中、日本とソ連とドイツの軍服を着て戦った日韓ふたりの男の物語。実際にそんな戦士がいた事実が基になって生まれた物語というけれど、鑑賞前にはにわかには信じがたいなと思っておりました。しかし、圧倒的なスケールと登場人物の過酷な環境をモノとしない熱演で、力技で説き伏せられてしまいました。
 戦闘シーンでは、ハリウッド映画にも優る大迫力。人と物を大量動員した戦闘場面の迫力は、日本映画にはできない芸当でしょう。奥の奥まで、どこを切っても手抜きがなく戦闘シーンがパノラマ状に描かれているのには、脱帽しました。
 そういう戦争物は、人間ドラマでは希薄になりがちです。でも本作では幼い時から反目し合っていた日韓の主人公ふたりが、共に運命に翻弄されるなかで、熱い友情をかわまでの感情のぶつかり合いをストレートに語られていきます。
 その激しさは、やはり本籍韓国映画ならではのストレートさなんですね。

 日本統治下の朝鮮。京城(現ソウル)に移住してきた長谷川辰雄(オダギリジョー)と使用人の息子キム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)はマラソンのライバルとして、青春時代を過ごします。しかしその関係は、辰雄の祖父の暗殺をきっかけとして険悪なものに変わっていきました。辰雄はジュンシクの父親が、暗殺に関与したものとして朝鮮人そのものを恨みに思い、
 一方、ジュンシクもまた、長谷川家を追い出されるばかりか、父親が日本軍によって自白を強要さられるための暴力を受けた結果、下半身不随になったことを恨みに思っていました。
 そんな二人が決定的な対立を迎えるのが、東京オリンピックへの京城選考マラソン大会です。優勝したのはジュンシクでした。しかし、日本軍の軍部の圧力で、ジュンシクは反則負けにさせられてしまいます。
 さらに、このとき怒った民衆と共に抗議したジュンシクも捕らえられて、懲罰的に強制徴用され、最前線に送られます。

 一方祖父を殺された恨みに加えて、マラソンでも敗北した恥辱から、辰雄は医師となる道を捨て、祖父と同じ軍人を志願。狂信的な軍国主義者となっていきます。

 ここで気になるのは、日本軍が韓国からどう見られているかということ。ご多分にもれずマラソンの勝者を強引に変えてしまうなど小狡くて、高圧的に描かれています。ところが、これは序盤までのこと。カン・ジェギュ監督の視点は、韓国にありがちな日本軍悪人説を採らず、その後登場するソ連軍やドイツ軍にも同じような非人道的振る舞いを描くのです。それは日本人だから悪人だというのでなくて、戦争が国境を越え、人種も越えて、等しく人間を狂わせるのだという監督のメッセージに好感を持てました。
 但し、日本人側から言わせれば、本来植民地や併合された側の国から、オリンピックの選手など宗主国が認めないのが通例でした。大東和共和圏を目指す日本は、韓国や台湾の人たちにも、等しく高度な教育を提供し、スポーツも振興。オリンピックへの出場も奨励したのでした。
 また武士道精神から、卑怯な真似をしてまで優勝しようとは思わないのが当時の日本人の美徳です。小細工してまで勝とうとする発想は、非日本人な考え方ではないでしょうか。マラソンシーンは、日本人として、ちょっと心外に思えたのです。
 ふたりが偶然再会するのは、ノモンハンの戦場。ソ連軍と戦っていたジュンシクら朝鮮人を含む守備隊の隊長として、辰雄が赴任してきます。辰雄はジュンシクら韓国人を陰湿にしごき抜き、最後はジュンシクらに特攻攻撃を命じてしまいます。

 ところがソ連軍の奇襲で、二人とも捕虜となって、ジュンシクは生きながらえることに。ソ連の収容所生活では、朝鮮人と元日本軍兵士の関係が逆転してしまうのが何とも皮肉でした。その後2人は独ソ戦に志願するものの、祖国への一縷の帰還の希望を賭けて、ドイツ側に逃亡します。シベリアの収容所での極寒のシーンもきつそうでしたが、ドイツに向けた雪山越えのシーンも見るからに難行苦行の世界でした。流石のオダギリも根を上げたという極限の撮影。良くもまぁここまで根性入れて撮るものだなぁと感動しました。

 転戦する間に、辰雄とジュンシクを隔てていた民族や身分の違いは、ほとんど意味のないものになっていきます。民族や国境、あるいは戦争によって分断された人間のドラマを描くのは、「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督が得意とするところ。ドラマのうねりと共に、すさまじいまでの生への渇望が活写されていました。

 ドイツ側に逃亡できたものの、個別にドイツ軍に捉えられたふたりは音信不通になります。その間辛酸を舐め合ってきた辰雄とジュンシクの間には、固い友情が生まれていたのです。ドイツ軍人としてノルマンディー要塞に赴任した辰雄は、必死でジュンシクの行方を捜しますが、音信不明でした。
 ある朝、浜辺を見ているとひとりの東洋人がマラソン練習をしているのを見て、辰雄は絶句します。ジュンシクでした。この再開の演出は、二人の絆の深さを感じさせてくれて良かったです。

 圧巻は、ノルマンディー上陸作戦の戦争パノラマ。大量のエキストラと大掛かりなセットで再現した同シーンは、上空の戦闘機から俯瞰しても破綻がありません。欧米諸国が多数描いてきた同シーンのなかでも臨場感において本作が抜きんでていると思います。

 そして最後は、ふたりが共に抱いてきたマラソンへの思いが一つに結ばれるのです。ジュンシクのとった最後の決断にはきっと涙を誘われることでしょう。
 映画は再び、冒頭のロンドンオリンピックマラソン大会のゴールで終わります。果たしてジュンシクの宿願だった金メダルが取れたかどうか、意外なドンデン返しつきのラストシーを劇場で見届けてください。

 極限状況に置かれた俳優がどんな鬼気迫る演技を見せるのか。ダブル主演のオダギリとチャン、さらに脇役の山本太郎、キム・イングォンらがたっぷりと見せてくれました。だから小地蔵のお勧めの見どころは、戦争スペクトラム場面だけではありません。演技を超えた生への執着を顕わにする出演陣の演技に注目して欲しいのです。
 特にオダギリが演じる辰雄の瞳にご注目あれ!
 戦場に駆り出される前のそれは純粋でした。それが日本の軍服を着て、ジュンシュクの前に現れるや、その瞳には冷酷さと威厳と蔑みが混じったものに一変していたのです。
 しかし彼も時代に翻弄され、生き延びるためだけに転戦して戦わねばならなくなります。そのときオダギリがみせる、抵抗する力を失った野良犬のような瞳。それはまるで運命という過酷な飼い主につき従うしかなくなったような諦めのこもった瞳だったのです。
 ここまで変わらざるを得ない彼の瞳には、戦地で飛び交う弾劾よりも激しく、痛く、見る者の心に突き刺ささる説得力がありました。冒頭ではあえてオダギリの瞳を映さないところがこころ憎い演出ですね。

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