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ASEAN情報コミュの11.震災で減速する日本、官民一体で急加速する台湾 電気自動車覇権戦争の厳しすぎる現実

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 大震災後の復興に追われる日本の自動車業界。次世代車の販売や開発は足踏み状態にある。こうしたなか、世界の電気自動車ビジネスのダークホースが快走を始めた。台湾である。

 2011年4月15日。台湾の台北市、ワールドトレードセンター南港館、「台北國際車用電子展」の4階フロアのブース番号L0112。展示主の企業名は、富田電機(Fukuta)。ブース内にはIM(誘導電動モーター)が並ぶ。

 同社関係者は「テスラ用は特注品なので、今回展示していない」という。ブース前のディスプレイには、米CBSチャンネル58のニュースに中国語字幕をつけて流していた。そのタイトルは「世界最速電動車TESLA」。

 アメリカの電気自動車ベンチャー、テスラ社のCEO、イーロン・マスク氏のインタビューの後に、富田電機(台湾・台中市)本社工場取材が紹介される。富田電機はテスラ「ロードスター」に電動モーターを一括生産している。

モーターのコイル銅線の巻きつけは機械で行うが、電子部品の組み付けなどは手作業。総経理の張金鋒氏が電気自動車事業の将来構想を笑顔で語る。

 この展示会と同時期、台北市街中心部のワールドトレードセンターでは「台湾国際電動車両展(EV台湾)」が開催されていた。その一角に、致茂電子(ブランド名:Chroma)という出展社の名前。同社は電子機器のテスト装置メーカーで、1999年にEV(電気自動車)向けコンポーネンツの製造販売子会社、EVT社を設立した。

 EVTの主力製品は以下の4種類だ。

? PEU(パワー・エレクトリック・ユニット)/外部電源からの交流から直流への転換と電動モータを制御する装置
? オンボードチャージャー/外部の交流電源からの対応機器
? BMS(バッテリー・マネージメント・システム)/バッテリーの温度管理などの制御
? DC・DCコンバーター/電動モータ駆動用の高い直流電圧を下げ、車載の機器に対応

 EVT社の社長室長、William Chang氏は「テスラには当社のPEUとオンボードチャージャーを一体化した製品を納入している。彼らはこれを、PEM(パワー・エレクトリック・モジュール)と呼んでいる」と説明した。

2011年5月2日 ダイヤモンド社
http://diamond.jp/articles/-/12115

 こうした、テスラと台湾サプライヤーとの関係は、「ロードスターへの初期技術提供」を行ったAC Propulsion社(以下ACP)によって築かれた。ACPは90年代後半、電気自動車技術「tzero」を開発。これが前ページで触れたPEMに相当する。ACPは「tzero」実用化のために、1990年代からIT産業対応で高品質な電子製品を製造する台湾に製造者を求めた。

 その後、テスラ創業時に、当初ACPの顧客、その後ACPの投資家にとなったテスラ創業者(現在のマスクCEOとは別人)からPEMなどの基本技術に対する特許使用料を得ることでテスラ「ロードスター」が誕生した。

 また、BMW「Mini E」、さらに台湾の裕隆汽車の電気自動車「Lexgen EV」が民生用リチウムイオン二次電池「18650」(直径18mmx高さ65mmの円筒形)を使用するのも、ACPが「セル(電池単体)の性能が安定していて、廉価であるため」(ACP/トム・ゲージ社長)だ。

 なお、これら各社の電気自動車が使用する「18650」の製造者は、テスラ「ロードスター」がパナソニック、BMW「Mini E」は台湾とカナダの合弁企業の能元科技(E-One Mori)、裕隆汽車「Lexgen EV」は能元科技とBAK(中国・深セン市)などから選択している。なお、テスラとACPの関係については、本連載第45回、48回に詳しい。

 また現在、ACPには台湾の実業家が出資しており、「ACPの実質オーナーは台湾人」(台湾の電子機器関係者)という。そのためACPが関与する電気自動車事業では今後も、台湾の部品メーカーが主役になるとみられる。

 台湾では、電気自動車のコンポーネンツビジネスが拡大傾向にある。そこで、次のステップとして電気自動車の完成車開発に国を挙げて動き出した。具体的には、2015年までに日本円にして総額約252億円を投じ、合計6万台の完成車と1万5000台分のCKD(コンプリート・ノックダウン/部品輸出で仕向け地で組み立て)を目指している。それに伴い、2013年までに合計3000台の電気自動車による台湾国内実証試験を実施する予定だ。

http://diamond.jp/articles/-/12115?page=2

 台湾の電気自動車戦略の特徴は、6つの国立研究所が「横連携」し、その技術導入を75の民間企業が4つの分野別で非営利団体として推進していることだ。こうした官民一体化で開発スピードを上げると同時に、欧米中の認証団体と「世界標準化」について密接に交渉している。

 このような台湾の動きは、日本からみれば理想的だ。本連載でも過去何度も取り上げているように、日本には現在、日産「リーフ」、三菱「i-MiEV」など大手自動車メーカーの量産型電気自動車が複数存在し、電気自動車の中核技術であるリチウムイオン二次電池の製造メーカーも多い。しかも、技術力は確かに世界トップクラスだ。経済産業省主導の次世代自動車研究会など、業界関係者が情報交換する場も複数存在する。

 しかし、惜しむらくは企業間の競争意識が強く、「オールジャパン」という運命共同体意識に乏しい。また、経済産業省のEV・PHVタウン構想を中心に全国各地で産学官連携による電気自動車開発が進められているが、百花繚乱であり、筆者が各地を取材するなかで「(電気自動車普及のために)日本として本当に何をしたいのか」が見えてこない。筆者が日本の電気自動車産業で感じるのは、「エゴ」だ。各自治体のエゴ、各メーカーのエゴだ。

 対する台湾では、こうした「エゴ」を感じない。

 ITRI(台湾国立・工研院機械系統研究所)が出展していた、2つの規格を併用する急速充電器がその象徴的な存在だ。この「2つ」とは、日本の東京電力が推進し日系自動車メーカーが世界標準を目指す「CHA de MO(チャデモ)、もうひとつは中国の国家電網の方式だ。

http://diamond.jp/articles/-/12115?page=3

 本連載でも度々取り上げているが、電気自動車の急速充電については現在、日本のチャデモ、米のコンボコネクター型、欧州の交流の応用型、そして中国の独自型が世界標準を狙って水面下で激しい動きをしている。そのなかで、不可解なのが中国の動きだ。日本の政府関係者、充電機器メーカー関係者、大学関係者、そして自動車メーカー関係者の意見は「中国が何をしたいのか、全く予想がつかない」という表現で一致している。

 そうした現状で、「チャデモ+中国型」という台湾の提案が登場した。この形式は、コンセプトモデルを含めて、過去に例がない。ITRI関係者は今回の出展について「あくまでも提案であり、可能性を示唆しただけだ」と説明。またITRIと急速充電器を共同開発している台湾AC Power社の社長特別補佐、Joseph Shin氏は「事実上、こうした形状が無意味なことは分かっている。だが、技術的には可能だ。プロトコル(制御言語)の違いなどを1台の機器にまとめることは可能であり、それを台湾メーカーの技術で実現できることを証明したかった。われわれは誰とでも、どのようなカタチでも一緒に仕事ができるという姿勢を対外的に見せたいのだ」という。

 この「2つの顔を持つ急速充電器」こそ、台湾の技術戦略そのものだ。こうした姿勢が台湾国内に、スマートフォーンや「iPad」の構成部品、そしてECUなどで高い市場シェアを持つ年商数千億円規模の電気機器メーカーを数多く出現させたのだ。

 台湾の国立研究所や大手企業の幹部は、米国の有名大学院に留学し、米国流の技術革新法と経営手法を学び、人脈を築き、それらを台湾に持ち帰った。そして2000年前半のITバブル崩壊を機に、台湾での研究開発と中国での量産の両立というビジネスモデルを確立した。

 台湾は、石油がほぼ100%輸入、食料自給率も約30%で、日本同様に海外諸国との微妙な関係のなかで自国の成長を考えなければならない国だ。

 台湾の企業人は、国際社会における自分の立場を理解している。だから、対外的に「エゴ」をむき出しにすることは少ない。だから、日本人に対しても、アメリカ人に対しても、そして中国人に対しても交渉上手なのだ。

http://diamond.jp/articles/-/12115?page=4

 世界各国で普及に向けた動きが進む電気自動車の中核で、台湾の存在感が増してきたように思える。

 以上のような台湾の積極的な動きと比べて、日本の自動車業界は事実上の足踏み状態にある。日本では現在、素材、電子系など、供給不足部品は多岐に渡る。さらに日本自動車工業会は15日、夏場の電力不足に対応するため各自動車メーカーによる輪番休日を実施すると発表した。つまり、日本国内での稼働率が3月11日以前の状態に戻るのは、9月以降になる。

 こうした非常事態の中、次世代車開発ロードマップにも影響が出始めているようだ。ホンダは3月17日のミニバンタイプ「フィットシャトル」記者発表会を延期し、その代替日は現時点で明らかにされていない。同車にはハイブリッド車もあり、トヨタ「プリウスアルファ」との対決が期待されていた。このミニバン・ハイブリッド戦争は、昨年のエコカー補助金終了後から落ち込んでいる日本市場の活性剤として、業界関係者から期待されていたものだ。

 また、電気自動車については、福島第一原子力発電所の事故を機に電力会社のあり方に関する議論が本格化するなかで、経済産業省が描いてきた普及ロードマップが大幅に修正される可能性がある。

 震災を機に、急減速する日本の自動車産業――。しかし、少なくとも「次世代に向けた動き」は、復興への取り組みとは完全に分離させて考える必要がある。さもなければ、台湾を含めた多くの新興勢力に、日本の得意分野「電気自動車ビジネス」を奪われてしまうだろう。あるいは、急加速する台湾との協業を選ぶという道もあるはずだ。

http://diamond.jp/articles/-/12115?page=5

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