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千載和歌集コミュの道因法師の歌  その9

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道因法師の歌  その9



水鳥の歌とてよめる
   かものゐる入江のあしは霜がれて
     をのれのみこそあお葉成けれ  (冬歌 435 道因法師)

「鴨の遊ぶ入江の蘆は、枯色一色に霜枯れて、今は鴨の青い羽だけが青葉であるよ」(松野・片野)

語釈:
△あを葉成けれ:「鴨の鮮やかな青い羽の色を青葉に見立てた。」(松野・片野)

「青羽を青葉に見立てる万葉集以来の伝統的手法を一首の趣向とした。」(松野・片野)

万葉集を見ると、次の二首がこの用例として見える。

   水鳥の鴨の羽色の春山の
     おぼつかなくもおもほゆるかも   笠女郎『万葉集』巻8−1451

「水鳥の鴨の羽色の鮮やかな緑の春の山は霞でぼんやりするように、あなたの心が分からなくてはっきりせず、おぼつかなく思います」

   秋の露はうつしにありけり水鳥の
     青葉の山の色づくみれば   三原王『万葉集』巻8−1543  

 「秋の露は移しの染めの材料であったのだ。水鳥の青羽のように青葉の山が色づくのを見ると」

 鴨は身近な存在であったのだろうし、その鮮明な緑の色に古代の人は驚嘆を覚えたに違いない。それは永遠の青色であり、霞にも変化しないものであった。「羽」と「葉」が同音であることで、青い羽が青い何かに直喩されるのだろう。

 ただ、この歌には春山や青葉の山のようなものはない。枯野に鴨が居て、枯野には緑はなくなっているが、鴨の羽の緑だけがあるという趣向である。青い野原ではなく、枯野を持ち出し、万葉集とは異なる手法を用いているわけだ。

 この山も野原も水とは直接縁のないところげポイントである。では、それ以外の緑のものとして黒髪があげられよう。これも水に関係がない。そこで黒髪を使って歌を詠んでみた。一寸「古今和歌集」の文句を拝借して。

   水鳥のあお羽の色の緑なせし
     わが黒髪に降れる白雪  愚山

参考(松野・片野):
   むれゐたる鴨の青羽も見えぬまで
     庭白砂に雪降りにけり  (玄々集 藤原輔尹)

写真は白川の鴨。残念ながら、緑がない。

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