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千載和歌集コミュの待賢門院堀河の歌   その10

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待賢門院堀河の歌   その10



百首歌たてまつりける時、恋のこころをよめる

   ながからむ心も知らず黒髪の
     乱れて今朝は物をこそ思へ  (春歌上 802 待賢門院堀河)


「恋人の心が永く変らないかどうかもわからない。黒髪が乱れ、心も乱れて恋人に逢ったのちの今朝は思い悩む」(久保田淳)

 「黒髪の」という表現は艶めかしい感じが強くする。与謝野晶子の「みだれ髪」にあるいくつも歌の官能をも連想する。

   くろ髪の千すぢの髪のみだれ髪
     かつおもひみだれおもひみだるる

堀河の官能さは直截的な点である。「今朝」という表現である。それは昨夜男と契ったことを意味し、その翌朝の乱れ髪だからである。この意味で、与謝野晶子の歌よりも強烈である。彼女の歌は現代にも通じ、与謝野晶子の歌に直につながっているように思える。

 さて、堀河の歌は百人一首にある歌である。この歌の解釈をいくつかの本から引用する。

「昨夜から逢いそめた二人の恋は、男がああ約束したことだからきっとすえ長くつづくであろうが、しかしいまからはわからないことなので、朝起きて別れたあとでは、寝乱れ髪の乱れているように、とかくいろいろなことが案じ過されて、けさははかないもの思いをする」(吉井勇「百人一首物語」)

「末長く変わらないお心であるかどうか、(わたしには)わからずに、(お別れしたばかりのわたしの心は、)寝乱れの黒髪のように、心乱れて、今朝は、あれこれ思い悩むのですよ」(三木幸信「小倉百人一首」)

「(昨夜ちぎりをむすんで永遠の愛を誓ったものの)あの人の心は、いつまでたのみになろうものやらわからない。それを象徴するかのようにわたしの黒髪が乱れている。今朝のわたくしの心も、この乱れた黒髪のようにあれこれとなやみ物思うことです」(田中重太郎「小倉百人一首」)

「かの人の、末ながくあらん、あらじの心のほどもしらねど、朝起別れたる跡にて、髪のみだれて、あるやうに、とやかくと案じすこしのせられて、今朝は色々にものを思ふ事よとなり」(佐々木信綱「百人一首講義 全」)

 

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