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政治の動きコミュの215、中国がTPPに対して抱える4つの懸念(前編) 日本は日中韓FTAを同時に進めよ

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環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐって賛成派と反対派が激論を戦わせている。

日本の農業が壊滅する!
参加しないと日本は孤立する!
米国の陰謀に乗ってはならない!
強い言葉が飛び交う。

だが、これらの議論は「日本の視点」に偏っていないか?
TPPは10を超える国が参加を表明した多国間の貿易協定だ。
日本と米国以外の国がTPPをどのように見ているのか知る必要がある。

交渉に参加していない他の環太平洋諸国の態度も参考になる。
自由貿易協定(FTA)の網を世界に張り巡らす韓国は、なぜTPP交渉に参加していないのか?
ASEAN諸国も一枚岩ではない。
ベトナムが交渉のテーブルに着く一方で、タイは参加していない。

今回は、拓殖大学の朱炎教授に、中国がTPPをどう見ているかを解説してもらう。

 環太平洋経済連携協定(TPP)に日本は参加すべきかどうか、国を2分する大論争が日本で引き起こされている。しかし、日本のTPP参加は日本だけの問題ではない。日本が従来推進してきたアジアの経済統合とはどうなるのか? 日中もしくは日中韓の自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)と比べて、TPPへの参加は日本の利益を拡大できるのか? アジア経済統合が米国主導で進められてよいのか? こうした問題も検討する必要がある。

TPPに対する中国の懸念

 まず、中国がTPPをどのように見ているかについて考えよう。現段階で、中国がTPPに加入する予定はない。中国商務部の兪建華次官補は11月7日の記者会見で、「現時点でいかなる国、組織からも誘いを受けていない」と発言した。「TPPが求める参加基準は極めて高い。交渉参加国がこれらの基準を本当にクリアできるのか、見守る必要がある」と指摘した。加えて「非参加国にも開放的であるべきで、排他的な貿易協定になってはならない」と注文をつけた(日経新聞2011年11月8日)。

 中国政府は、TPPに対して正式見解をまだ出していない。中国国民と有識者は警戒と期待を同時に持っている。

 TPPにかかわる米国への警戒として、以下の4個が挙げられる。第1の懸念は、上記の商務部次官補が指摘するように、TPPが排他的ブロックになることである。第2は、アジアの経済統合における中国の影響力を米国は排除しようとしているのではないか、という懸念である。

 第3は、米国主導でTPPが発足すれば、中国が将来加入する際、加入するハードルが高くなり、払う代償も大きくなる可能性がある点である。貿易のみならず、環境、政府調達、労働などの面も譲歩する必要があるかもしれない。アメリカンスタンダードのTPPルールに従い、既に加盟しているすべての国と加盟の条件について交渉し、利益調整する必要が生じるからだ。

 中国は2001年にWTOに加盟する際、すべての加盟国と交渉して、市場開放、制度改正など、さまざまな譲歩を余儀なくされた。合意まで15年間もかかった。中国にとって、将来のTPP参加が、第2のWTO加盟になることは好ましくない。

 最後に、台湾もTPP加盟に意欲を示している。中国は公に反対できず、苦しい立場に置かれている。

 一方、中国国内には、TPP参加に積極的な意見もある。TPPのルールづくりに加わり、中国の要請を反映させることができれば、責任ある経済大国の役割を果たすことにつながるからだ。米国に協力することにもなる。アジアの経済において、影響力と発言権を確保できる。これらの点をプラスに評価する立場である。

 また、TPPへの対応を通じて、中国は世界経済のルール作り、地域経済統合の主導権と発言権の重要性を再認識し、いままでの貿易政策と地域経済統合の戦略を調整するきっかけになるかも知れない。

 中国が将来、TPPに参加する可能性は否定できない。だが現段階において、TPPに対して中国が取れる行動はただ見守ることだけだ。

 中国が参加することなくTPPが発足しても、中国の輸出、特に対米輸出に影響はないであろう。中国の輸出商品は十分な価格競争力がある。これまで通り、米国などの関税は障害にならない。また、TPPの加盟国を見ても、中国の輸出を代替できる国は見当たらない。実際、米国市場では、NAFTAによるゼロ関税の利益を享受しているメキシコ製品よりも、中国製品の方が競争力は高い。

中国との自由貿易関係こそ日本の経済利益

 TPPは、実質として日米間のFTAである。確かに日本に利益をもたらす。だが、日本が中国と自由貿易関係を結べば、日本はより大きな利益を享受できる。まず、日本にとって最大の市場は、米国ではなく中国である。特に金融危機後、成長し続ける中国に対する日本の輸出拡大は、日本の景気回復に大きく貢献した。

 2010年の日本の貿易統計を見れば、TPPに参加する予定の9カ国が日本の全輸出入に占める割合は24.6%。そのうち米国は12.7%を占めている。一方、中国が占めるシェアは20.7%で、最大の貿易相手国である。

2011年11月17日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20111114/223839/?mlh1&rt=nocnt

 2008〜2010年の金融危機の影響があったにもかかわらず、日本の対中輸出は年平均で0.6%伸びた。一方、対米輸出は同15%減少している。輸出に占める中国向けのシェアは2008年の16%から2010年の19.4%に拡大した。米国向け輸出のシェアは同17.5%から15.4%に低下した(表)。

表 日本の対米対中輸出
     輸出額(兆円) 前年比伸び率(%) シェア(%)
     全体 米国 中国 全体 米国 中国 米国 中国
2008年 81.0 14.2 12.9 △3.5 △15.9 0.9 17.5 16.0
2009年 54.2 8.7 10.2 △33.1 △38.6 △21.0 16.1 18.9
2010年 67.4 10.4 13.1 24.4 18.8 27.8 15.4 19.4
出処:財務省貿易統計。

 次に、一般的に、先進国の関税税率は低く、途上国は高い。ゼロ関税になると、途上国向けの輸出が拡大する効果は先進国向けより大きい。米国の平均関税率は3.5%。これに対して中国は9.7%である。日中FTAが日本にもたらす利益はTPPよりはるかに大きいと言えよう。

 さらに、中国経済は高成長が続いている。今後も高成長を持続できる潜在力を持っている。一方、米国経済は現在もなお不況に苦しんでいる。米国は成熟経済であり、高成長は望めない。従って、TPPよりも、日中間の自由貿易関係こそ、今後長期にわたって日本に利益をもたらすであろう。

 日中FTA/EPAの利益が大きいことは明らかであるにもかかわらず、日本国内では中国との自由貿易関係構築に消極的である。最も大きな原因は政治的な対米配慮ではないかと考えられる。FTA/EPAは一種の「経済同盟」である。日本は政治、外交、軍事面で米国の同盟国であるため、たとえ経済面だけであっても、中国と密接な関係を構築することに抵抗感がある。米国の不満を招くことも恐れている。実際、政府の幹部が「中国けん制」をTPP参加の目的として取り上げることもある。

 日中FTAに関する中国の呼び掛けに対して、日本はFTAよりも、投資協定の締結と知的財産権問題の改善が先決だという理由で拒んできた。悪化した日中関係も考慮して、中国は、2005年以降はこれをあきらめた。

 民主党政権発足後、日本の「東アジア共同体」構想に応えて、日中両国が歩み寄る兆しが見えた。2010年6月から、日中韓自由貿易協定(FTA)産官学共同研究が始まった。しかし、既に5回の会合が開催されたものの、まだ大きな進展はみられていない。

 日本がTPPに参加することは、日本が米国に協力することであり、一種の“思いやり予算”と言える。政治的意義が大きい。一方、日中そして日中韓のFTAは経済の実利を享受できる。

 米国が、TPPを取りまとめ、自由貿易を推進しようとしている現在、日中もしくは日中韓のFTAに反対することは考えられない。従って、日本は「政経分離」の考えに立ち、“政治のTPP”(実質上の日米FTA)と、“経済の関係強化”――日中・日中韓のFTA――を同時に進めてはどうか? 日本にとって、国益を最大限に実現する道であろう。今こそチャンスだ。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20111114/223839/?P=2

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