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政治の動きコミュの156. ライブドアと東京電力は何がちがうのか?

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原発事故補償の落としどころは?

 福島第一原子力発電所の事故に関して、東京電力の賠償能力が問題になっている。前週の拙稿で検討したように、今回の原子力事故に関しては、第一義的に東京電力が責任を負うはずのものなので、先ずは東京電力の株主がその責任を被るのが「普通」だ。

 その後に、被災者・金融機関・社債保有者らの債権者が東京電力の残余資産を配分する流れになるのが「普通」の処理のあり方だろう。

 もっとも、東京電力の賠償対象がどこまで及び幾らになるのか、それが本当に東京電力の純資産でカバーできない額なのかについては現段階で明らかではない。賠償の範囲と額については東京電力にも言い分のある問題だ。

 また、東電のケースでは、社債に担保が付いているので、倒産処理にあって、先ず、社債権者が債権を確保し、その後に、賠償の権利を持つ被災者と金融機関が残った資産を取り合う展開になる公算が大きい。

 こうした「普通」の展開になると、被災者が十分な補償を受けることが出来なくなる可能性がある。そうなると、当然、被災者は、国の監督責任を問うことになるだろう。そして、過去の国会答弁などを踏まえると、今回の事故は決して「想定外」で片付けられる物ではないから、政府の管理責任はある、と認められることになるだろう。この段階で政府による補償は当然だ。

 しかし、これは、中央政府の官僚にとってかなり不都合な事態かも知れない。被災者に対する補償を値切ることは世間的・政治的に許されない公算が大きいが、しかし、政府が不足分を埋めることは、政府の官僚が自らの誤りを認めることになる。最悪の場合、何年間も訴訟で争って、あるべき補償の一部が先送りされる可能性もある。

 こうした利害状況を前提とすると、「原発賠償機構」を作って現在の東京電力を生かしたまま賠償金を払わせて、これを将来の電力ユーザーの負担に転嫁する政府案が提出された背景がよく分かる。

 今後、減資等で東電株主に部分的に損をさせたり、東電にもう一段のリストラを強いたりする程度の「けじめ」を演出した後に、政府が東電を現状の延長線上で生かしたまま、結局、将来の電力ユーザーの負担の下に賠償を処理する可能性が大きいのではないか。

 フェアであるとはとても言えないが、現時点で筆者が予想する「落としどころ」はこのような進行だ。特に東京電力の株主の責任に関して、これでいいとはとても思えないが、こうなってしまう可能性が小さくない。

2011年5月4日
http://diamond.jp/articles/-/12147

ライブドア事件の振り返り

 上記のような処理になるとすれば、東京電力の現在の株主は、通常の株主であれば考えられないくらいの優遇を政府から得ることになる。

 こうなった場合の東電株主との対比で、いかにも不公平だったと思われるのは、2006年1月に東京地検が強制捜査に入り、その後に株式が上場廃止となり大幅に減価したライブドアのケースだ。そして、つい先日、最高裁で、そのライブドアの元社長だった堀江貴文氏の実刑が確定した。

 ライブドアの事案は、その後の立件と裁判を見る限り、最大50数億円相当の利益の不適切な公表であり、これを意図的な粉飾と見るとしても決算期一期限りの問題だった。

 当時のライブドア社が、株式の取引をあたかも通常のビジネスで上げた利益のように発表したことは不適切だったかも知れないが、「普通」なら、決算の訂正と経営者に対する何らかのペナルティくらいで済んだはずの事案だったのではないか。

 ライブドア社の発表が粉飾だったとしても、強制捜査時の同社株主の大半は、粉飾された情報に基づいて高値で株を買った被害者であり、彼らが一気に大きな損を被るような捜査方法は配慮を欠いていたように思う。粉飾決算があったとしても、悪いのは経営者であり、株主ではなかったはずだ。

 加えて、株式市場に関わる犯罪の前例を考えると、堀江貴文元ライブドア社長に対する量刑は異例に重い。たとえば、旧山一證券の金額にして数千億円で且つ何期もの決算にわたる意図的な損益の粉飾(いわゆる「飛ばし」)にあって実刑判決を受けた関係者が誰もいなかったことを思うと、先般の最高裁の決定によって2年以上の刑期で収監されることが確定した堀江貴文元ライブドア社長への刑罰は異様だ。

 ライブドアのケースが「フェア」の範囲内だったかどうかは極めて疑わしい。

 一方、世間常識的には、当時の堀江氏の言動は、既存の世間に対していかにも挑発的で、小さな過誤であっても、弱点があれば徹底的に叩かれておかしくなかったとは言える。この点、彼はいささか世間を甘く見すぎたのかも知れないし、日本の社会を信用しすぎたのかも知れない。何れにせよ、彼に対するペナルティは過大ではないかと筆者は思う。

http://diamond.jp/articles/-/12147?page=2

海江田経産相の迷走

 海江田万里経済産業相は4月14日の参院経済産業委員会で、福島第一原子力発電所の事故に伴う東京電力の賠償問題について「株主責任はあるが、93万人いる株主の中には配当を生活費の足しにしようと考えている人もいる。社債の問題もある。まずは東電には頑張ってもらい、それを政府がしっかり支援する枠組みでやるしか道はない」と発言した。

 そして、その後に発表された東電の原発事故賠償のための支援スキームは、現在の東京電力の株主に対して、将来の電力ユーザーから経済的なサポートを与える仕組みのように見える。「原発賠償機構」は、東電の株主を救うと共に、東電に融資している金融機関の債権を保全するために、将来の電力ユーザーに負担をつけ回す仕掛けだ。

 経済と産業の公正な運営を司るべき海江田大臣が現段階で東電の株主まで保護するような発言をすることに対しては、少なからぬ違和感を感じる。政府が「支援」すべきは、原発事故の被災者であって、東京電力の株主ではない。

 東電に限らず電力会社の株を配当目当てで買った株主(特に高齢者)がいることは事実だが、彼らに配当が支払われるように利益が出るところまで政府が東京電力をサポートするというのは、いかに何でも優遇のし過ぎだろう。

 百歩譲って(本当は譲ってはいけないが)、将来政府が東電を救済するとしても、もう少し丁寧な物言いと手続きを踏むのでないと、世間的にごまかしが利かなくなるのではないか。本件に関する海江田大臣の言動は経産大臣としては何とも不出来というしかなく、大変残念である。

ライブドア対東電

 堀江氏の量刑は重すぎると筆者も思うし、これも重要な問題だがひとまず脇に置いて、「株主」に注目しよう。

 同じ日本の会社の株主でありながら、ライブドアの株主は、強制捜査から始まった一連の手続きによって、現に生きていたライブドア社のビジネスの価値を大きく毀損され、且つ株式は上場廃止に追い込まれた。片や、東京電力の株主は、同社が現実的な危機に直面する遙か前から会社の生命維持装置装着が予約されているかのような保護を受けつつある。これらの二つのケースの差は正当なのだろうか。また、どうしてこのような差が生じるのだろうか。

http://diamond.jp/articles/-/12147?page=3

 ライブドアの場合、株主は、同社に対する強制捜査のような事態が十分起こりうることを想定して投資すべきだったとする考え方には一理あるかも知れない。ビジネスには諸々のリスクがあり、経営者の行動や去就が大きなリスク要因となり得ることも考える必要があった。

 ならば、東京電力の株主の場合も、同社の原子力発電所が事故を起こし、同社が大きな賠償責任を負うリスクを想定すべきではなかったか。こちらにも同様の「自己責任」を問うなら分かるが、(まだ決まった話ではないとはいえ)会社を生かしたままの救済スキームが早くも政府から提示される優遇度合いは些かバランスを欠いている。

 東京電力のビジネスが社会に不可欠なインフラを提供していることは事実だが、発電と送電自体が不都合無く行われるのであれば、会社としての東京電力は必ずしも存続しなくて良い。特に、東電管内に於ける電力事業の主体が、今までの株主で有り続ける社会的必要性はない。これは、飛行機が無事に飛ぶなら、航空会社がJALでなくてもいいのと一緒だ。

 インフラということなら、独占企業ではなかったがインターネットのビジネスを多く手掛けたライブドアも十分社会的なインフラに貢献していたし、まして、この種の新しい企業が登場することは経済成長に大いに貢献する。ライブドアの業種がいけなかったということではあるまい。

 かつて経団連会長を出したこともあるように、東電が古くからある名門企業だから優遇されるのだろうか。

 経産省幹部の再就職を受け入れているから大切にされるのだろうか。

 それとも、東電の株主に高齢者が多いからなのか。株式も社債も金融機関が大量に保有しているから重要なのか。

 あるいは、国の政策と一体に歩んだ企業だったから、半ば公務員の組織のように継続性を保つことが出来るのか。

http://diamond.jp/articles/-/12147?page=4

 結局のところはっきりした理由は分からないが、社会観察としては、ライブドアのような新興企業、あるいは当時の堀江貴文氏のような短期間での成功者と、東京電力のような古い名門企業のメンバーとの間には、暗黙の会員システムの会員(=東電)と非会員(ライブドア、堀江氏)のような扱いの差があるのではないか。

 敢えてこの仮説から想像を発展させると、日本では、新興企業などが、旧来企業のメンバーや官庁から見て、実力以上の成功を収めたと見なされた場合、暗黙の会員システムに対する敬意を表明するとともに、会員達と利益を分け合う形を取り、注意深く身を慎んで、いったん成長のスピードを落とす必要があるのではないか。かつて摘発された頃のリクルート社や近年グレーゾーン金利のハシゴを外されて苦しむ消費者金融会社などを見ても、「分を超えた経済力を持つ」とみなされた新参者の多くが苦境に陥った。スピード調整と既存勢力との結託が、日本にあっては、事業の安全と将来の成長に必要なコツなのかも知れない。

 このような想像の適否にはっきりした答えを与えてくれる人はどこにもいそうにないが、今後の東京電力は、特に同社の株主と同社に融資していた金融機関が「優遇」されることになる可能性が少なからずあるのでよく見ておきたい。

 尚、断っておくが、筆者は、東京電力の経営者・社員及び同社の株主に対して、特別な罰を政府や社会が加えるべきだと言いたいのではない。東京電力も将来現れる新興企業も、事前に明らかな共通のルールの下に「普通」に扱われたらいい、と思うだけだ。

http://diamond.jp/articles/-/12147?page=5

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