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政治の動きコミュの84.第11回 トップが語るグローバル化(上)

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 IBMは2011年、創業から100年を迎えた。同社は世界有数のコンピューター・メーカーだが、実はハードウエアの売上高は半分以下。現在はコンピューターをどう使うかというIT関連サービスやソフトウエアを提供する会社に成長している。

 90年代にパソコンの登場・普及で同社の業績は一時的に悪化したが、大胆な業務改革、ハードからソフトへの転換などを世界レベルで行うことで復活を遂げた。

 IBMというグローバル企業が、時代の変化という苦境にいかに立ち向かったのか。グローバル化にさらされている現在の日本企業にも参考になる点はありそうだ。

 日本IBMが企業トップを集めて開いた「GO GLOBAL」フォーラム。この中で日本IBMの改革を率いたトップが、自社の経験を踏まえながらグローバル化への課題、鍵をパネルディスカッションで語っている。紹介しよう。

大きく変わった日本企業の経営環境

 自分は米国の監査法人で30年以上にわたり、日本企業がグローバル化対応するための手伝いをしてきた。90年代後半以降、米国では2000年問題とエンロン事件を受けたSOX法の適用という、企業トップが危機感を持つような出来事が2つあった。

 どこまで戦略的であったかは分からないが、多くの米国企業がこの2つの事件を経たことで、全世界レベルでのシステムの標準化と統一化を実現している。結果としてこれらがグローバル成長の基盤になっている。

 自分は当時から日本企業の米国現地法人の手伝いをしてきているが、日本の本社を訪問するたびに現地法人と本社の業務システムが統一されていないことが気になっていた。日本企業のグローバル成長を支える基盤作りは米国企業に比べてやや遅れ気味だ。課題はどんなところにあるのだろうか。

━ー日本人の英語力は55位

 まず、日本の経営環境を整理したい。第一に人口減少。日本企業は国内市場の縮小に直面している。

 次に新興国の台頭がある。単に新興国の国内総生産(GDP)が増えるだけではない。例えば、国別に現在の理工系大学生の卒業生の数だが、日本の約2万2000人に対して、中国は20万〜30万人もいる。4年後、日本で情報通信産業に従事する人は68万人に対して、中国、インドでは300万人になるという予測もある。

 新興国には最先端の研究拠点も移っていくだろう。すでに中国にはグローバル企業の研究拠点が400〜600もある。先端分野でも新興国が力を持つ時代が来る。

 そんな時代を迎えようとしているのに日本企業の準備はできているだろうか。

 これまで日本には、ある程度の規模の市場があり、心地よく成長できた。日本で成功したモノ、サービスに多少手を加えて海外に売ることもできた。

 企業が掲げてきた目標も国内向きが中心。経営管理の仕組みも国内中心に作り上げてきた。資材や商品の供給管理も、企業内の各種制度もグローバルには対応していない。

 物事が急速に変化する社会では迅速な意志決定も求めらられるが、合意形成を経営の中心にしている企業も多い。

 ヒトの面でも課題がある。例えば語学力。ある調査によると日本人の英語力は世界55位。中国、韓国にも劣っており、企業がグローバル化を進める時、日本人が活躍する場を狭めている。
  経営幹部でさえも英語を話せるヒトが少ない。外国の人たちが会社に入ってきても、トップとコミュニケーションができない。

 日本人中心の経営で、国際展開する時にも海外の人材を登用しないし、育成の仕組みも整備されていない。育った優秀な人材を登用するという日本企業の方が多いが、組織的に人材を育てる仕組みがないとグローバル化に対応できない。これからは企業のグローバル展開を担える人材を育成しないと企業成長の阻害要因になる。

http://www.yomiuri.co.jp/net/global/20110106p01.htm

16年がかりで進めたIBMのグローバル化

【ポール与那嶺氏】 グローバル化を進める中で、企業の中では何が鍵になるのだろう。IBMの経験はどんなところが参考になるのか。

ーー経理社員は200人から40人に

  経済同友会が2009年に「新・日本流経営の創造」と題した調査を行い、各企業に「グローバル化の推進に当たって自社の課題は何か」を聞いている。この調査を自分なりに読み解いたところ、国にかかわらずグローバル経営の基本的な所は同じという理解に達した。

 グローバル企業の大きな課題は、企業理念やビジョンを全社的に徹底させること。それを支える仕組みやインフラ作りと、実行するためのトップのリーダーシップだ。

 企業の海外展開には3つのフェイズがある。第一段階が製品を海外に売っているだけの国際企業。第二段階が、本国以外に本社と同等の機能を持つ現地法人を持つ多国籍企業。日本企業はこのタイプが多い。

 第三段階がGIE(グローバル・インテグレーテッド・エンタープライズ)と呼ばれる企業形態だ。簡単に言えば、「世界は一つ、本社でさえ世界のどこに置くかは適材適所で考えましょう」という企業形態だ。米国型グローバル企業にはこの段階まで達している企業も多い。

 IBMも15年かけてグローバル化を推進してきた。日本IBMの経理担当社員は、この間に200人が40人になった。160人分の仕事はアジア地域で統合し、海外拠点で行っている。170カ国に展開しているが、月次の売上は8日間で上がってくる。世界に155カ所あったデータセンターは現在6カ所に統合した。

 日本IBMには米国人もインド人も中国人も居るし、米国や中国のIBMにも日本人が行っている。人事管理もグローバル対応だ。

 IBMが体験したグローバル化におけるキーワードは「標準化」と「統合」だ。人事も営業も経理も、いかに標準化をするかが何より重要だ。いろんなオプションがある中で、できるだけ標準化を図っていく。図った上で統合化を進める。この2つのプロセス無しにグローバル化は進められない。企業のグローバル化を支援する際、IBMでは提供できる体験・ノウハウを7つの分野にまとめた。これはIBMがこれまでやってきたグローバル化の経験そのものだ。

【ポール与那嶺氏】 GIEへの取り組みを顧客に説明する際、IBMは外資系企業だからできたのではないかと問われることはないか?

【橋本氏】 日本アイ・ビー・エムは日本の会社で、従業員もほとんど日本人だと説明しているし、これまでの道のりは平坦だったわけではない。

 企業がサバイバルゲームをしていく中では、思いっきり企業の方針を右に振ってみることが必要だと思う。大きく振れば当然問題が噴出する。問題がでてきたら少しずつ調和を図る。

 すべてが簡単にグローバル対応できるわけではない。最初はいろいろな物事に対して非常に大きな抵抗が出る。そのとき重要なのはトップがリーダーシップを取って「やるんだ」と宣言すること。そしてやることで何が起きるのかをきちんと見ていく。トップの指示を受けたミドルマネジメントがそれを現場に下ろしていく。この組み合わせが必要だ。

内なる国際化で日本らしさを発信せよ
【ポール与那嶺氏】 最近は米国でも日本企業より、中国系企業や韓国系企業の活躍を耳にする機会が増えた。日本企業の競争力、影響力が低下しているように見えるが、その原因や背景をお話し願えないか。

 90年代、日本のGDPは世界の約15%を占めていた。足元は8〜9%だろう。かつての欧米における日本企業の存在感は、経済力にものをいわせた力任せのプレゼンスだった。それは終わった。

 これからは連携がカギになる。米国は単独でイラク、アフガニスタンの問題を解決しようとして苦境に陥った。これから米国が中国と対峙するとき、この反省に立つなら、外交戦略に日本をどう取り込んでいくかが重要になるはずだ。

 日本企業も力任せで行く時代は終わったが、これは影響力が無くなったということではない。企業レベルでも、人材レベルでも、連携がより重要になったという方向性の変化と捉えるべきだ。

 世界を見ると、フランスやスイスのように、日本よりももっと小さな国ながら影響力を発揮している国がある。フランスは外交なのか、ファッションなのか、企業文化なのか、いずれにしろフランスらしさを上手に発信している。スイスはあんなに小さな国で国連にも入っていないのに、数多くの国連機関が本部を置いている。

 これらの国を見ると内なる国際化が非常に重要だと気付く。日本人の内向き志向を示す証拠として日本人留学生の数が話題になるが、米国人だって海外に出ている人は少ない。現実的には日本国内に海外のモノをどんどんいれて、内なる国際化を進める。これは将来への投資にもなる。

 日本はこれまで、日本らしさを表に出してこなかった。機能が良ければ製品を買ってくれると考えてきた。ユニクロは「ジャパンプロダクト」という戦略を打ち出しているが、海外が日本に求めてくるのは、日本らしさだ。かつての影響力は確かになくなった。それは仕方ない。だが、新しい形で日本の影響力を高めていくやり方はあるし、早くやらないといけない。

【ポール与那嶺氏】 今後、日本企業はグローバル化をどう進めていけばいいのか。

ーービジョンを打ち出す
【北城氏】 どんな組織でも大きく変化させるときにはトップのリーダーシップが重要だ。具体的な役割は3つあると考える。

 まず、ビジョンを打ち出すこと。どういう会社を作りたいのか、グローバルで経営するのか、アジアで展開するのか、イノベーションを大切にするのかといった、トップの考え方を伝えるのが重要だ。

 トップの考え方は組織に危機感があるときほど浸透する。今のように景気が悪い時期は、どのような方向に進むかビジョンを打ち出すチャンスだ。

 2番目は具体的な実行計画を自ら作ること。「あの山に登れ!」ではなく、どうやって登るのか、どのようにグローバル展開するのかを考えるのもトップの役割だ。優秀なスタッフがいる場合は具体的な戦略を作らせる。

 実際に実行するときは進捗状況もトップが日々チェックする。事業を進めていく中で、撤退しなければいけないことがあるかもしれない。その時、現場では撤退の決断はできない。撤退はトップしか決められない。

 3番目は人材。どのような人材を育てるかは人事の仕組みに大きく関わってくる。優れた人を見いだして処遇する、優秀な人にチャンスを与える、グローバルな人材を公平に評価する。現地法人のスタッフとトップが非公式なコミュニケーションができる仕組みも必要だ。

 従業員は人事制度をよく見ている。トップがビジョンを掲げたら、そのビジョン通りに行動している人を評価して処遇しないと看板倒れに終わってしまう。

 挑戦しない人より、挑戦して失敗した人の方がいいのだという人事のあり方、育成の仕組みを持つことが大切だ。

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