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政治の動きコミュの33、「景気が良くなるほど財政収支は悪化する!?危機的な国債大国ニッポンに残された“最後の道”」――中央大学法学部・富田俊基教授インタビュー

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 先進国のなかでも最も巨額な国債を抱え、厳しい財政状況下にある日本。先日行われた参院選では「財政再建」、そして「消費税率の引き上げ」が争点になるかと思われたが、結局は先送りされた形だ。財政再建への危機意識が未だに充分ではないと感じられるなか、このまま財政赤字が拡大していけば、どうなってしまうのか。そして、危機的状況になる前に打つ手はあるのか。中央大学法学部の富田俊基教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

    「消費税増税」は“見たくない現実”だが、直視しなければならない
――先日行われた参院選では財政再建や消費税率の引き上げが争点になるかと思われたが、結局は先送りされてしまった印象がある。こうした状況をどう捉えているか。

「多くの人は見たいと欲する現実しか見えない」
 これは、塩野七生氏の著書『ローマ人の物語』のなかで何度も登場するユリウス・カエサルの有名な言葉だ。こうした人間の本質ともいえる不幸な特性を超えて、今回の選挙で我々国民は、”厳しい現実”を見なければならない状況だったと思う。

 今年度の当初予算では、新規国債発行額が約44兆円と税収の約37兆円を上回った。こうした事態は、明治維新のときと第2次世界大戦の終戦直後に次ぐ3回目の出来事だ。普通では考えられない状況を冷静に捉えれば、「増税は避けられない」という結論に至るはずである。だが、今回の参院選のような茶化した結果に終わってしまったことを非常に残念に受け止めている。

 昨年の衆議院総選挙で民主党は、まだまだ「無駄がある」「埋蔵金がたくさんある」と盛んに喧伝していた。しかし、事業仕分けを厳しく行っても無駄や埋蔵金がたくさんあるわけではなかった。無駄や非効率な支出を削減し続けなければならないのは事実だが、それだけではどうしようもないと国民の多くがこの1年間でわかったはずだ。

 国民が危機感を抱いていることは間違いない。ただ、増税には慎重である。それを変えるためには、政治のリーダーシップが必要だ。生活保護や失業給付、高齢者の年金や介護や医療などのセーフティネットを責任持って国民に供給するのと同時に、早急に財政再建を進めなければならない。

http://diamond.jp/articles/-/8902

    「消費税を上げない国」と思われたそのときは手遅れになる
――現在、日本は約637兆円(平成22年度末見込み)という巨額の公債残高を抱え、非常に厳しい財政状況にある。それにもかかわらず、破綻せずにいられるのはなぜなのか。

 まず、長期にわたって金利が上がりにくい、つまり将来にわたって景気が悪いのではないかと世界中から思われていることが1つの要因だろう。そして、もう1つ考えられるのが、日本は本当に危機的な状況になる前に、消費税率を引き上げるだろうと期待されているからだ。

 日本は、まだ立て直すのに遅くはない。ギリシャのように世界の市場からレッドカードを突きつけられるまでに、財政を健全化すれば間に合うはずだ。ただ、その予想に反して、増税などをしないことが明らかになったときは、もはや手遅れになるかもしれない。無駄や埋蔵金が「あるある」と言ってなかったように、増税を「やるやる」といって行わなければ、“やるやる詐欺”だ。

 しばしば、日本人が国債の95%を持っているから破綻しないと錯覚されることがある。確かに、昭和7年7月(1932年)に資本投資防止法という法律がつくられ、その当時は他国の国債や株を買うことはできず、国内の資本は日本国債や大日本製鉄(現・新日本製鉄)などの国内企業の株に向かった。

 だが、もはやそうした制限はない。多くの国民が、日本国債を持っていて損だと思う時期が来たら売り、他国の金融資産を持って自分の財産を守るはずだ。したがって、日本人が国債の多くを持っているから安心という考えは、戦時体制ではない現在においては相応しくないことを覚えておいていただきたい。

    国債の金利が低いのは日本の将来への見方が悲観的なだけ
――多額の日本国債が発行され続けている危機的な状況から、日本国債の暴落も懸念されている。実際に格下げもされているが、日本国債の信用力はいつから低下してきたのか。

http://diamond.jp/articles/-/8902?page=2

 目を凝らさなければわからないが、私は日本国債の信用力低下を示すシグナルを格下げより前の1998年8月半ばから見つけていた。それ以前は、円建ての世界銀行債券よりも日本国債の方が金利が低かったが、日本国債の金利の方が高くなり始めたのだ。さらに、円建てで発行されたイタリア国債やスペイン国債と満期が同じ日本国債を比較すると、2000年頃から日本国債の方が金利が高かった。つまり、日本が1998年8月半ば以降、国際的な信用力が低下しているのは明らかだ。

 国債は、民主主義ができたときから最も信用力が高い金融資産として、各国の議会が「必ず返す」という約束のもとに発行されたもの。その信用を欠くことになれば、その国の全ての金融資産の金利が上がる(つまり値段が下がる)ことになる。そうなれば、経済活動は限定され、景気が悪化する可能性を否定できない。

――信用力低下のシグナルが出ているにもかかわらず、依然として金利が低い水準なのはなぜか。

 確かに、円で見ると金利は非常に低い。それは、先ほど少し述べたが、日本経済が現在、そして将来にわたって物価は鎮静し、デフレ的な状態が続くだろうと日本だけではなく世界中から思われているからだ。

 現在の景気回復のスピードは、水準が低いものの悪くはない。ただ、もし政府が言うように成長戦略によって名目経済成長率3%を実現し、景気が回復すると皆が本当に信じた途端、金利は上がるはずだ。しかし、そんなことが起こらないのは、長期的な景気回復を誰も信じていないからに相違ない。労働力人口が毎年0.7%ずつ減少しているなかにおいて、国内需要は増えないことを誰しもが理解しているので、金利は上昇しない。特に取引高が多い国債は客観性を持っており、そこに表れている金利が、景気の将来像を映すシグナルといっても過言ではない。

 つまり、長期的な景気の見通しが悲観的であるがゆえに金利が低く、国債の残高が増えた割には利払い費が増えていない。そのため、国債の利払い費が他の経費を圧迫する程度が小さく、国債の問題が表面化していないだけである。

    景気が良くなれば財政収支は悪化!?国債の弊害が一気に表面化する
――現在は金利が低いが、今後も増え続ける国債の償還と金利を支払い続けることはできるのか。

http://diamond.jp/articles/-/8902?page=3

 これまでは金利が下がっていたことによって、国債が次々に発行されても利払い費は増えてこなかった。例えば、1998年は国債残高が260兆円のときの利払い費は10兆8000億円だったのに対し、現在は560兆円ほどの残高で、利払い費は9兆8000億円と、残高が2倍以上になっても利払い費は減っている状況だ。

 しかし、金利低下も一巡し、もうこれ以上利払い費が減少することは想定しがたい。残高が増えた分に応じて、たとえ金利が上がらなくても利払い費は少しずつ増加していく。そうなれば、他の経費が抑制されることになる。もちろん生活保護や失業保険は、抑制される優先順位は低いと思うが、そうしたことも含めて医療や年金制度などが維持可能かどうかというのが、問われることになるだろう。

――もし、景気が回復した場合はどうなるのか。

 現在は金利が低いが、それは先ほどから述べているように、将来にわたって景気の展望が暗いがゆえのことだ。もし、国民が待ちに待った景気回復が起こると、金利は上昇し、国債の弊害が一挙に表面化する。つまり、現在は、低金利でデフレという“雪”が国債の“岩”を覆ってくれているだけで、景気回復という“太陽”が照ったときに国債の問題が大きく姿を現すのだ。すると、利払い費が増加し、財政をさらに圧迫することになる。

 今年の国債発行額は42兆円だが、過去に発行した国債の満期が来ても返すことができず、100兆円以上の借換債を発行している。したがって、税収は37兆円にも関わらず、実際には国債を約150兆円発行している。

 景気が回復し、経済成長率が1%高くなって税収も1%増えたとして4000億円しか増えない。一方で、国債の平均満期が7年として、7年債の金利が1%上がれば、国債を150兆円発行しているから、利払いは1兆5000億円増えてしまうことになる。しかも7年間累積して増え続けることになる。

 こうして、国債発行額は税収よりもはるかに大きいがゆえに、景気がよくなればよくなるほど、金利は上昇し、財政収支は悪化する。歳出から国債費を除いた基礎的財政収支(=プライマリー収支)は改善するのだが、財政収支全体は悪化するのである。

http://diamond.jp/articles/-/8902?page=4

「プライマリー収支」の黒字化で
国債残高を減らしていくことが急務
――菅首相は、参院選の敗北の原因を消費税の増税の過程に関する説明が足りなかったと述べている。今後財政再建に向けて、政治的に国民を導いていくためには、どのような方法・プロセスをとっていけばよいのだろうか。

 まず、増税をするならば、それを何に使うかをはっきりすべきだろう。すなわち、国民に安心してもらうために、将来にわたって医療や年金などの社会保障や給付等のセーフティネットを維持するためには財政の健全化が必要だということを明確に示すべきだ。

 そして同時に、10年代のはじめまでにプライマリー収支の赤字をゼロにし、それからプライマリー収支を黒字化し、その先には国債残高を減らすことが求められている。

 政府も2020年度までにプライマリー収支を黒字化するといっている。さらに2020年代のはじめには、政府債務残高のGDP比を安定的に引き下げるという。その引き下げには、かなり大きいプライマリー黒字が必要だ。金利と成長率を比較し、金利が成長率より高ければ高いほど、大きなプライマリー黒字が必要だし、同時に政府債務残高が大きければ大きいほど、大きなプライマリー黒字が必要だ。つまり、「(金利−成長率)×政府債務残高のGDP比」だけのプライマリー黒字があって初めて政府債務残高のGDP比は安定する。

 ナポレオン戦争直後のイギリスは、GDPの3倍近くもの国債残高を抱えていたが、1914年にはその30%にまで低下した。その間、財政収支を均衡させることで、巨額のプライマリー黒字が発生していたからだ。それによって、国債の信用を高め維持し、金融街シティは世界の中心であった。この100年の多くの期間がヴィクトリア王朝期であり、イギリスの「栄光の時代」だ。これと比べれば、日本の財政がいかに不健全かがわかるだろう。

 現在、消費税の議論は先延ばしにされそうな状況だが、世界の市場が日本の危機的な状況にいつ反応するかわからない。これから人口が減少していく社会のなかで、国民が安心して生活できるためにも、政治の力、民主主義の力によって、絶えずベクトルを財政健全化の方向に向けていかなければならない。
http://diamond.jp/articles/-/8902?page=5

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