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1本でもごぼうコミュの甲子園INゲームセンター

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過去に書いた日記です。

誠に勝手ながら、マイミク登録時に過去の日記を見せないで統一して登録しています。

見てもらっても構わないものもあるんですが、いちいち個別に設定する時間もなかったですし、したくもなかったので、全て非公開設定にして、さらに念のためにそういう登録の仕方をしました。


気が付いたら多くの方がこのコミュニティに入ってらっしゃったので、暇つぶしに気が向いたらちょこちょこここに載せることにします。


たまーに覗きにきてください



ここならコメントみたいに感想も書けますし。
いやまあ、気が向いたらでいいですけど・・・




コメント(8)

昨日はバイトがあった。

本来ならスタッフの人数が5人なのに対して、昨日のスタート人数





3人



確実に足らない。


しかも後から入ってくるのは出勤4日目のピチピチ新人スタッフ。




通常なら1階でメダルいじってる俺は、2階のUFOキャッチャーとカードゲームのフロアに配属された。





ひとりぼっちで。







まぁ仕事と言えばカードの補充と景品の置き直しぐらい。あとはイベントでやってるスタンプカード。

WCCF(サッカーのカードゲーム)を1000円分やると一つスタンプを押すという仕事。10ポイント貯まるとカードケースが貰える。




まぁそんなわけで一人で全然なんとかなるし、平日はだいたいスタッフは一人。

ただ、











孤独




いかんせん、普段の1階フロアと比べると半分も広さが無いし、何よりカウンターのある場所の辺りは、ムシキングとかちびっこ向けの場所。

入場制限の午後6時を過ぎると誰もいない。




そしてもうひとつ俺を苦しめる理由











2ヶ月半振りの2階フロアの仕事。

そして累計たった5回目という戦績


まさに気分は甲子園出場校



『キャプテン、2ヶ月半振り5回目の出場です。 』





さらに俺を追い込むのが、UFOキャッチャーの景品が全体的に少ないということ。


これがさらに少なくなってくるとどうなるか。


景品があれば補充するけど、ない場合。











景品総とっかえ



新たな景品入れて、設定もし直さなきゃいけない。アームの強さやレイアウト。





そんなの出来るわけない





俺は思った。









なんとしても景品を取らせない







そう。ここは甲子園のマウンド。


俺は完封してみせる。




つづいちった
さて、完封すると言ってもどうしたら良いものか。

とにかく俺としては、一つたりとも景品を取らせたくないという、「言ってくれればちょっとお手伝い」を売りにしてるゲーセンの店員としては、あるまじき精神のもと、戦おうとしている。


じゃぁどうしたら取らせずにいけるものか。


まずひとつに、手伝いを最小限にとどめることだ。


まぁ普段からUFOキャッチャーをやる客なんてそんなにいない。

だからいる時は、結構積極的にコチラから俺は手伝いに行く。



それに恥ずかしいのか、手伝ってくださいなんて言ってくる客もそんないない。


それでも言ってくる客。

そういう客には、普段なら一発で俺は取らせてるけれど、今回は絶対に取らせない。


場所の移動は最小限にし、言ってこない限りこっちからは行かない。



これでいくことにした。


そしてもうひとつ。


UFOキャッチャーをプレイしてる客を見張る。





牽制球だ。

威嚇してさっさと帰らせる。


そんでもってちょっとでも場所が動けばすぐに直す。


客が諦めたのを別の客が取ってしまうからだ。



ランナーをためない。


こうすりゃホームラン意外に得点チャンスは無いのだ。






しかしこの見張るのが意外と難しかった。



なんせフロアはUFOキャッチャーコーナー以外にも、カードゲームコーナーやビデオゲームコーナーもある。


そして客の大半がそっち側にいる。



そしてスタンプ




客がWCCFにあれほど金をつぎ込むのは予想外だった。



みんなして「スタンプ押してー」って千円持ってくる。


その度に俺はUFOキャッチャーコーナーを離れなきゃいけない。








スタンプやるよっ






そんな中でついに一人目の打者が。



1番 中学生

狙い:プーさんの財布











絶対に取らせない









バットを振りまくる中学生。




さっさと諦めてくれ。











「すいません、動かしてください。」






このガキめ……




「じゃぁこれぐらいで」


「えぇーもうちょたとお願いします。」



まぁ当然の反応だろうな。






全然動かしてねぇもん







「うーん、じゃ、これが限界です。」



「……ありがとうございます」




腑に落ちないご様子。






こうして結局諦めて帰っていった。



その後も順調に完封をしていくが……





つづく



次々と打者を打ち取っていく俺。


入場制限も終わり子連れも帰り、客は少なくなってきた。



この調子でいけば完封試合……のはずだった。




とてつもないスラッガーが現れる。








第一印象は特に何もなかった。


ただのおっさんがUFOキャッチャーしにきたそんな感じ。



しかし奴はとんでもなかった。




とりあえず牽制球を投げつつ、通常業務をこなす。

すると



「すいませーん!エラー出ちゃったんですけど!!」


うるせぇっ


なんだコイツ。聞こえてっから。そんな声張らなくていいから。



奴は俺に隠れてドラゴンボールのフィギュアを取ろうとしてたらしい。


抜け目ないやつめ。



まぁエラーを直すだけだからな。手伝ってとは言われてないし。



俺はエラーを直した。



「ありがとうございます!」

うるせぇっ




そしてしばらく。


ゴミ捨てに1階に降りてから戻ってくるとおっさんの姿が見えなくなった。



おやっと思い、さっきまでやってたドラゴンボールを確認しにいく。



無事。




良かった。


そしてそのままUFOキャッチャーを巡回していく。











!!!!


小さい子向けの猫のぬいぐるみが取られている……



そんな……




完封を逃すというまさかの事態に驚く間もなかった。





!!!!!!!!



隣のリラックマもなくなってる……





俺は焦ってUFOキャッチャーを次々見ていく。




ポケモンのぬいぐるみ。

ミッキーのぬいぐるみ


アンパンマンにラジコン、エヴアの綾波レイ……






なんだコレは……






俺がちょっと1階に降りてる間に、物凄い数の景品が姿を消してる……





その時



「すいませーん!エラー出ちゃったんですけど!」



我にかえり俺が振り返るとそこには、パンパンに景品を詰めた特大サイズの袋を2つ持って立っているさっきのおっさんが。







お前かぁぁぁぁ!!!!






おっさんはスティッチのぬいぐるみを取ろうとしている。



とりあえずエラーを直した。


そして、取られた分の景品をまた新たに取れる位地に出しながら巡回していく。

すると




あれ?



…………












スティッチいない……






またしてもおっさんは俺から点を奪っていった。










しかしおっさんの打線はまだ止まらなかった…











つづく



とどまることを知らないとはこういう事か。と俺はつくづく思った。


景品ハンターのおっさんは、打つ球打つ球ホームラン。


既に取った景品でも、俺が置き直しするとまたすぐさま取りにかかる。





ミッキー、ドナルド、食パンマン、ピカチュウ、カイリュー、ヤドラン、ピジョン……




景品がどんどん無くなっていく







やめてー。もう取らんといてー。ホントにもう勘弁してください。




スラッガーは悪魔と化す。




俺の築いた帝国が、一人の悪魔によって破壊されていく。




なんて悲しい気分だろうか。

まるで桃鉄で一所懸命築いて独占した駅を、ドジラースによって破壊されるかの如し。




誰かー!モモトラマンカード使ってー!モモトラマン呼んでー!





暴君は残虐さを増していく。


『すいませーん!すいませーん!』


「はい…いかがなさいましたか……」



『コレ!あと2回残ってるんですけど!景品無くなっちゃったんで補充してください!』







この野郎ぉぉ






『あ!出来ればあっちの赤いやつがいいんですけど!』





この野郎ぉぉ







『ありがとうございます!』




俺も最大限の努力はするさ。


そう例えば、出来る限り取れない位置に置いたり。



それでも奴は、俺の決め球さえ、あっさりとホームランしてくのだ。


気分はまるで、パワプロのホームラン競争のピッチャー。



そう。おっさんがバッターでありプレイヤーであり主役。



俺は打たれた球の軌道を、ただゆっくりと見送っていくのだ。







気付いたら奴はパンパンの特大袋を3つ持ち、もはや移動も一苦労である。




そして遂に奴はフィナーレを飾りにきた。





『よし!』






ん??






!!!!!!!!



ぎゃぁぁー!!!!


やめてー





つづく
やめてください!マジ勘弁してください!ホントそれだけは!




おっさんは1台のUFOキャッチャーの前で立っている。


そのUFOキャッチャーの景品とは車である。


車って言っても自動車1台とかではない。


トミカとかの、リアルに再現された模型のようなもの。



ただの模型ならいい。


その車種が問題なのだ。



その車はよく道路で見かける、車を運ぶ車だ。



廃車とか新車だったりする車を2,3台とか乗せて走ってる車。

一度は見かけたことあると思う。



あのトラック2台分はあるんじゃなかろうかという、なげぇーー車。




その模型もまたしかり。



全長およそ1メートル。

細長い箱に入ってUFOキャッチャーに入ってる。

ハンパない

この原価もおそらくハンパない。



こんなものを、このゲーセン界のカブレラに簡単に取られたら俺はおしまいだ。


だがどうすることもできない。もはや祈るのみ。



UFOキャッチャーの中の左端に大きな景品口がある。そこから右に伸びるように台が設置され、その上にどかんと景品が置かれている。


景品にはタグが付けられてて、そのタグのわっかにアームを引っ掛けてちょっとずつ景品口に動かしてくのが取り方。


まぁだから1回で取られることはない。


けれど奴は確実に取りにかかる。

問題は奴が何回で取るか。



原価はおそらく1300円と言ったところだろうか。


普通のぬいぐるみが250円ぐらいだから、ずば抜けて高い。

もしかしたらもっとあるかも。




店としては3倍の利益を出すのを目的としてるから、3900円の利益を出せばいい。


つまりおっさんが5200円つぎ込めばいい。



まぁ実際は、他の人がちょいちょいプレイしてるからそんなことはないんだけど、少なくとも利益は出させなければ。


原価を下回らせてたまるものか。

と言うか今までの分も取り返さなければ満足できない。


何なら取らせねぇ。





まぁだけど俺は祈るしかできない。








最後の打席


おっさん500円を入れる。


なるほど。500円で3プレイ。確実に取りに来てる。



1球目


アームはタグをかする。


よし!ストライク


2球目

同じくかするだけ。



よっしゃ。ヘイヘイラストプレイだよ。


3球目



ん!?アームがわっかに引っ掛かった!


どすんと鈍い音を出し、景品は数ミリ景品口へと近付いた。



あぶねー




おっさんはまたも500円を入れる。



これで1000円だ


意外といけるかもしれない。そう思った瞬間



どすん!


またしても鈍い音を出し、景品はゴールに近付く



どすん!









ヤバイ……


確実にタイミング掴んできてる。



ファールで粘り続けるカブレラ。



そして1000円分が終わった。



再び500円を入れるカブレラ。


とりあえずこれでもとは取れたハズ。


こっからが勝負だ





1回目、集中力が切れたのかタグに引っ掛からなかった。


よっしゃ。1アウト。

あと2アウト。



その時





バララララーパッパラー♪



明るいリズミカルな音が付近に響いた。




『すいませーん!すいませーん!景品引っ掛かったんですけどー!』





ぎゃぁぁー












取られた……




上手く引っ掛かったのか、今までよりも遥に距離は進み、景品は半分以上が台から出る形になり、重さで景品口に落ちた







最悪だ


200円しか利益出てない






『すいませーん!あと1回残ってるんで、他のやらせてもらえないですか!』





「無理です」



いや出来るけどね。もうそれが俺の最後の抵抗だったよね。


とりあえず新たに置き直してプレイさせた。


まぁさすがに1回で取れる訳もなく、奴の猛攻は終わった。




『ふー!』


まるで満足したように息をついて、足下にある景品の山を眺めるカブレラ。

同じ景品も3つ4つあるのが分かる


俺は奴を見る。


初めの第一印象とはまるで違う怪物の姿がそこにはあった。


メタボな体型とメガネ。
ボサボサの頭と腰に巻いたシャツ。

これに景品の山が加わり、奴の姿はいわゆるオタクという真の正体を現していた。



疲れきった俺。

悔しさの中で最初で最後の一つの反撃に出ることにした。


俺は初めて打席に立ってみたのだ。













「あの……こんなに取って…何に使うんですか」

『え!?いや……』


!?




『え!?いや……あの……む…娘……娘が、娘がいるんですっ!』


めっちゃ動揺しとるー!!!!


絶対に嘘だろっ

どこの世界に同じ猫のロボットの景品4つ貰って喜ぶ子供がいるんだよ




「ほーら、パパがお土産こんなに取ってきたぞ」

『やったー』


「まずはほら、猫ちゃんだよー」


『わーい』

「次はなんと色違いの猫ちゃんだよー」

『やったー』


「そして次はなんと……猫ちゃんだよー」


『や……やったー』

「そして最後はなんと……猫ちゃんだ」


『…………』







絶対に転売とかする気だろ!



おっさんはスタコラと逃げてくように帰っていった。









試合結果


キャプテン大差で負けるも、最後に相手に大きな一撃を与えた。








完



大長編ですね。

ゲーセンってそんな客もいるんですね。


相変わらずの面白さです!
> アレイズさん
これは4つ分ですね。
最初は2回で書けると思ったんですが…


この客はその後も何回か見かけました(笑)

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