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Gaugeコミュの004 アートの歴史を学ぶには

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こんにちは。
今回のテーマは、『アートの歴史』です。

さて皆さんは、「アートの歴史」と聞いて、まず何を連想されますか?
ラスコーの壁画?それとも、セザンヌ、マティス、ピカソ、或いはダリ?

いずれにせよ、私にとってアートの歴史とは、今のところそんな感じです。
でも、間違っています。しかも、大きく間違っている。何が間違っているのかと言えば、『つまらない』っていうことがです。

アートの歴史が、つまらなくって良いはずがない、と私は思います。なぜなら、アートが面白いものである(はずだ)からです。アートが面白いものである(はずだ)ということは、多分第1回でも書きましたね。

さて、それではどうして、「アートの歴史」はつまらないのでしょう。まあここでは、「美術史」と言ってしまっても良いかもしれません。ほら、「美術史」って言ったらさらに『つまらない感』が出てきたでしょ?

答えから言えば、美術史をつまらなくしているのは、我々の想像力の貧弱さです。しかしそれは、「想像力の貧困な我々が悪い」ということを意味しているのではありません。もし「〜が悪い」といった言い換えをするなら、「そんな貧弱な想像力にしか訴えかけない、美術史のあり方が悪い」という事です。

僕らがもし、17世紀に生きたベラスケスや13世紀に活躍したジョットについて、「中世のコスプレをしたヨーロッパ人」という以上の詳細な姿を想像できなかったとしても、それは僕らの責任でしょうか。そんな想像もつかない人たちが何を描き、何を考えていたのかという事についてとうとうと講釈されたところで、それに対して何ら興味を抱けなかったとしても、それは教える方が悪い、と僕は思います。
もし僕らがそれについて真剣に調べるような機会があるとすれば、それはテストの成績や単位や博士号の獲得を目的としたモチベーションに支えられたもので、「歩いてたらふいに心臓を掴まれた」という類の圧倒的な魅力によるものでは決してあり得ないだろうな、と思います。
ここではつまり、「歴史を考える際の『前提』のあり方」が、問題にされるべきです。

17世紀絵画の成立について我々が知ろうとしたとき、そこで前提にすべきものは、果たして3万年前の洞窟絵画でしょうか?15世紀のダヴィンチでしょうか?いえ、まったく逆です。
もし17世紀のヨーロッパ絵画について知りたければ、それを知るきっかけになるのは、会田誠や村上隆や奈良美智です。キーファーでありジョーンズであり、クレメンテです。松本大洋であり、岡崎京子であり、宇多田ヒカルやプリンスがまず手前にあって、そこから遡るようにして探っていかなければ、想像力は伸びません。

仮に、ギリシャ彫刻の時代から現在へ至る道筋を辿ってみましょう。ギリシャ彫刻時代について、我々が今この場で思い描けることは、実に表面的で平面的で画一的なイメージでしかないはずです。なぜなら、普段我々はそんなことを考えてもみないからです。
それよりはまだ、村上隆やゲルハルト・リヒターや飴屋法水についての方が、広がりのある印象と知識を持っているのではないでしょうか。

ある歴史について考える時に重要なのは、繰り返しますが、想像力です。それも、手に取るような、実際に触れてみるような、想像力です。
僕らは、その辺をフラフラ歩いている奈良さんは想像できますが、ボッティチェリの衣服の裾に触れるだけの強靭な想像力は持っていないし、それが普通です。しかし、例えばボッティチェリについて知るということは、その衣服の裾にあたかも触れているかのように実感と触感を持って粘りのある想像力を発揮することであり、そうでなければ何の意味もなく、またその為に必要なのが、現在位置に立つ我々が、この場所から想像力の触手をヒュルヒュルと伸ばしていく、ということなのです。

以上の理由により、アートの歴史は現在から遡るようにして想像および創造をされていくべきだと私は考えます。

「でもそれじゃあ、レンブラントの時代(17世紀初め)に辿り着くまでに、現在からそれまでの間にいるピカソ(20世紀)やゴッホ(19世紀)を経由しなきゃいけなくてメンドイよ」というせっかちな人もいるかもしれない。そういう人はその時点で、レンブラントの時代に行くだけのモチベーションと想像力の基礎体力、つまり吸収力を備えているので、ぜひ直で(ちょくで)レンブラントに当たって欲しい。つまり僕が言っているのは、「興味のない時代について教えられる、今あるオーソドックスな美術史」ほどつまらないものはなくて、もうそういうのはやめようぜ。っていう話なのだから。

コメント(2)

こんにちは。コメントありがとうございます。今日はちょっと箇条書きにしてみたいと思います。

■1)
美大へ入るまでの過程が、実は想像力を萎えさせていく、というのはその通りですね。
また同時に、受験の絵を描いている最中に、生の絵具をべちゃべちゃと塗るのが受験料をドブに捨てるようなものだとは、僕も思います。シッカチーフ・ブランやメディウムや炭酸カルシウムをふんだんに使うべきなのです。
実際、仮に18,19の受験生がゴッホやルノワールに憧れたとしても、生絵具でそのように予備校で描いていたら、やっぱり「もっと炭カル混ぜないと乾かないよ」と言われるでしょう。

■2)
しかし一方で、saintphallさんのお話があったから思うのですが、あの予備校時代の絵って(わかる人にしか伝わらないと思いますが)、凄いカッコいいですよね。僕は好きなんですよ、凄く。時々何かの機会でふと目にすると、そこには抗いがたい魅力があります。
というのはしかし当然で、音楽(やジャズ)に理論があるように、予備校では常に、パッと目に入った途端に印象に残るような視覚を昂揚的に刺激する理論を探求しては結果を出す(或いは出せない)という、生徒を通じての実験(ラボ)を執拗に繰り返しているわけで、そこから生まれるシステマチックな絵がつまらないはずがないんですよね。

■3)
何を言ってるのかというと、やっぱりそこまで一つの手法を通して「面白い」分野に立ち会って、尚且つその手法を手に入れてしまった後では、そこから抜け出すリスクはなかなか負いたがらないというのがむしろ自然だと思うのです。
そして言うまでもなく、その予備校的ラボ化に塗れた(悪い意味では必ずしもないですが)世界で最も大事にされるのは、「何が表現されているか」ではなく、「どう見えるか」だけです。だって、描く理由は「合格する為」とか「”上手い!”って褒められる為」に決まっているからです。

■4)
またそれと同時にsaintphallさんの話を読んで思ったのは、やっぱり、ゴッホやボッティチェリが彼ら自身のように描いたのは、その時代のその画材や技術があったからですよね。よく言われる話ですが、モーツァルトが今生きてたらコンピューターで音楽作ってたとか、紫式部が生きてたらワープロ使ってたとか(それはあんまり変わってない気がするけど)、ようするに、本当にゴッホの影響を受けた現代の人が、ゴッホのように描き続けるだろうか、という事も考えます。
最初はあの手法だけをただマネしてみるかもしれない。でも、ゴッホが持ってる要素っていろいろあるはずで、フォロワーはそのどれを展開していってもいいはずなんですよね。あのべっ甲のようなテクスチュアに惹かれ続けるのもよし、詩的なブルーに打たれるもよし、誰も感じないような或る要素を受け継ぐもよし、といった感じで。
思うのですが、今活躍している作家の中で、「俺、ゴッホに影響受けたんだ」と言って「どこがだよ!」って突っ込まれる人って結構いるんじゃないでしょうか。

■5)
話を戻しますが、たとえばこの項で僕が『歴史の学び方』というテーマを通して言っているのは単純なことで、

「歴史を自分に活用する為に取り込むには、取り込む道具として想像力が必要で、想像力を有効に使うには、過去から現在へ向かうレールに乗せるのではなく、現在から過去へ向かうレールに乗せなければ機能しないよ」

ということです。
その点から見れば、saintphallさんの仰る「考古が好きな方」のされていることはまさにそれで、現在から過去に向かって想像力がグググッと押し拡がっていく、世界が広がる、それまで知らなかった好きな知り合いが増えていくという、ダイナミズムを感じておられるのだと思います。

■6)
またさらにそこから繋げれば、仮に予備校期、大学期である種の想像力の枠を固定されてしまったとしても、まあ、「やる人はやる」と言ってしまうと身もふたもないというか、何も言っていないに等しい上に間違いな気もするのですが、でも本当にゴッホとかボッティチェリが好きなら、その人なりの滋養の受け方を通して自作に昇華していくのではないかな、とか、さらに風呂敷を広げれば、こういう八方塞がり的な状況というのは、美術界に限ったことではないという気もします。
だって、大学の先輩なんて、ホントくだらない奴ばっかりじゃないですか。経験的にっていうか、ルサンチマン100パーで言いますけど。僕なんかたまたま赤塚裕二先生っていう良い先生には恵まれましたけど、でも、それにしてもさ。

■7)
という流れでひとまず話を切ると、予備校・大学期のもたらす弊害っていうのは仰る点ではその通りで、でもその中にも抜け道や抜け穴は沢山あるはずで、それを教えてくれる人がいたらいいよねっていう話で、このコミュではそういう役割も必然的に担っていくんじゃないかっていう気もするんですが、ちょっとキレイにまとめ過ぎでしょうか。

尚、他にも気付いたことや思い出した事があったら、随時追記していきますので、どちら様もお気付きの点がありましたらよろしくお願い致します。

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