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くだらない日記部コミュの【下品】 町のアーティスト

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美術館の横に


ピンクサロンが営業してる我が町。


「たまには美しい物でも」



友人と美術館を犬の糞のように素通りして
ピンクサロンへ。

料金は30分2200円。

「床屋じゃないか」

この日のために散髪までしてきた友人も
デフレに驚きを隠せない。


初夏の乾いた風が

彼のヘアワックス付きの頭頂部を撫でる。

「ババアとか出てきたらどうしよう」

僕はバーバー並の料金ではババーが出現する、
と主張。

友人は
「地元で花火打とうや」
と下半身もすでに着火済み。

「線香花火出てきても知らんぞ」

僕は友人のリビドー(性衝動)に感服の吐息を漏らし、
排水溝のように店内へ。

「ハイ、いらっしゃい。お二人さん?」

レジに居た70歳くらいのおばあちゃんが
気さくに応対。

孫でもいるんだろう。
首元にシャネルのネックレスが光ってる。


友人はイスの座り心地が良い、という理由で

「こりゃ本番できるぞ」

とダイナミックな解釈。


「好きな子、選んでね。」

おばあちゃんはそう言うと

店の壁に無造作に貼ってある
プリクラを指差した。

「これはマズい」

ピンクサロンの指名写真が
プリントクラブ。

僕は片仮名の多い事、店の経費が極端に削られてる事に
アブノーマルを感じたが、

友人は
「こりゃギャル出てくるぞ」
と文明開化。

僕らは適当に若そうな子を指名して
薄暗い部屋へ。
隣同士に鎮座する僕ら二人。

友人はもう下半身丸出し。
校庭に放置されたじょうろのよう。

「出産やん」

僕は小汚いソファーに深く腰掛ける彼が
神々しく思えた。

すると
突然、店内のBGMが停まる。

さっきまではトランス系の音楽だったのに
いきなり
「X JAPAN」の「紅」が鳴り出した。

軋む店内。

同時に友人が指名した
サラサラヘアーの金髪女性が登場。

彼は挙手し、
「ヘーイ!」と
まるで待ち合わせ。

しかし、現実とは無慈悲。

サラサラヘアーの金髪女性は、
サラサラヘアーの金髪のヅラを被った


さっきのおばあちゃんだった。

シャネルのネックレスもイタズラに光る。


「ひとり、ふた役?」

僕は学生時代のホールもキッチンも
一人でこなしていたバイト先の先輩を
思い出した。

先輩は大学を中退した。


僕は友人はキレる、と思った。
「金返せコラァ」と
おばあちゃんに折檻すると思った。

しかし、彼は大人だった。

文句ひとつ言わず、おばあちゃんに
おしぼりで自身の息子を
キレイキレイして貰ってる。

それは優しく、やわらかく、
まるで芽吹いたばかりの
ツクシの水滴を払う春風のよう。

僕は彼が
ホームヘルパー2級の資格を取得していた事を
思い出した。

逆介護。

彼はここでも勉強をしていた。

「筆記試験だけじゃない。実技でなんぼ。」

僕は中学時代の恩師、粕田先生の言葉を
反芻した。

英語の粕田先生は中国人と交際していた。


つるっ。

彼のうまい棒は、そうめんのように
おばあちゃんの口に吸い取られた。

「お父さん・・・」

彼は孫悟飯と同じセリフを吐くと
脱力し、
すべてをおばあちゃんに委ねた。

ドンドンドンドンドンドン・・・

店内のBGM「紅」が
激しいドラミングに入った。

その刹那、
おばあちゃんは
激しく頭を上下に振り出した。


首を痛めるかも知れない
そのプレイスタイル。



「YOSHIKI」


僕は感動を覚えた。
こんな小さな町にYOSHIKIが
来てくれた。

友人の息子に激しく、そして中華あんかけのような
刺激を与えるために
YOSHIKIが来てくれたんだ。

僕はそういう音楽に全く興味なかったが、
なんとなく感動した。

「ぐふふふふう」
と友人は戦争孤児のテクに悶えた。

そして「紅」のアウトロで
友人は、果てた。
頬もちゃんと紅潮していた。

よく闘った。

僕は北斗の戦士を称えた。

友人の髪は汗でしっとりと濡れていた。

見事な安産じゃった。


友人の左手にはおばあちゃんの右手が

乳児を緩やかに包む新品の毛布のように
そっと添えられていた。

「よう、やったのう」

僕には
おばあちゃんがお産婆さんに見えた。

「なあんだ、結局好きなんじゃん」

僕は新たなカップルの成立に
ペロっと舌を出した。

ジーンズのポケットには薄荷味のガム。

でも爽やかな気分になった僕にはもう
必要なかった。


銀紙に包まれるのは、この二人なんだから。

「ペパー・ミント」

僕はそう二人にウインクを送ると

BGMがマイケル・ジャクソンのスリラーに
変わらないうちに
駆け足で店を後にした。

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