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セカイのおわりコミュコミュの第3話セカイのおわり〜故郷

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「ですから、何度も言いましたよね?当初の予定どおりに配送してください。
ええ、そうです。その日に全てです!ええ、ベッド、タンス、食器棚にそう
注文したもの全てです!わかってます!洪水がくることは!」

電話の向こうではまだ諦めきれない店員が何か言おうとしてる。

「いいですか?代金は全て払いましたよね?当初の予定どおりでお願いします。」

電話をきり、怒りを鎮めるために私はタバコに火をつけた。

まったく、引っ越しを頼んだ運送屋、電気屋それに今の家具屋まで、何なのよ?

ようやく二人ここまできたって言うのに・・・

よりによってまさか、こんな事になるなんて思いもしなかった。

いえ、私は今だって信じない。

この世の終わりがくるなんていうことは・・・

大体、いきなり総理大臣が発表した内容を

「はいそうですか」なんて受け止められるわけないじゃない。

町はパニックに陥って皆右往左往している。

訳のわからない宗教家が現れ、

「我こそ真実の神、私についてくれば救われる」と絶叫している。

あなたについていけば助かるっていうの?

そんなわけない…

私はあいつと一緒に楽しく暮らしたかった、それだけなのに・・・

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

あいつ、啓吾と出逢ったのは今から1年前。

私の後輩健二くんとインディーズでCDを出すと聞き、久しぶりに連絡をし、
飲みに行った時啓吾はそこにいた。

何かに怯えつつも、野心を覗かせる表情が私には引っ掛かった。

「こいつね、ある意味バカなんですよ。だって一流大学を出て一流の企業に
就職したのに『自分のやりたいこととは違う』って一年で退職したんすよ。
でね、親御さんから『勘当だ!』って言われてね…」

「健二さんいいじゃないですか、そんなことは。それより
東子さんでしたよね、芝居もお好きなんですか?
普段はどんな劇団をご覧になっているんですか?」

啓吾のの問いに私は

「えぇっとね、カリフォルニアバカンスって知ってる?あそこの劇団は
かなり好きだな・・・」

「えっ?カリバカですか?俺も好きです」

啓吾が嬉しそうに話した。

「え〜?そうなんだ、この前の公演見た?次の公演ももうすぐだよね」と私

「おいおい、なんか二人かなり盛り上がってますね、なんだか俺じゃま?」

健二くんの言葉に私たち二人、目をあわせて笑った。

「悪いけどここで失礼するわ、ちょっとこの後野暮用があってね」

と健二くんが帰っていった。

私と啓吾の二人きりになった。

後輩の健二くんの知り合いだし、年下なのはわかっていたが、
実際歳を聞いて驚いた。

10歳も下だった。

「東子さんて歳より若く見えますよね、実際の年齢を聞いてちょっと
驚きました」

「ばかはね、歳を取らないの」と私がふざけて答えると啓吾は

「そんなことないですよ」と大袈裟に答えた。

「ありがとう、嬉しいな」私が微笑むと啓吾も嬉しそうに笑った。

しばらくCDの曲のことを話したあと

「時間も時間だから帰ろうか」と私が言うと

「じゃあ、駅まで一緒に」と啓吾が言った。

反対方向に帰る二人、先に電車が来たのは啓吾の乗る電車だった。

啓吾が電車に乗り私に手を振る。

その時の啓吾の目は笑ってはいたがどこか寂しげだった。

その目を見た瞬間私はその電車に飛び乗っていた。

「どうしたの?」啓吾がびっくりした顔で私に尋ねた。

「一緒にいたい…」私がそう言うと啓吾はそっと抱き寄せてくれた。

まさか、年下の啓吾を好きになるなんて思わなかった。

ましてや、初対面だった私を啓吾が受け入れてくれるとは思わなかった。

それから私たちは時間が取れる限り一緒にいるようになった。

周囲の人間はどうせ長続きしないと思っていたようだ。

でも、お互いがいないとダメになっていた。

啓吾と健二くんのライブが決まったその日、啓吾が私に言った。

「ねえ東子、今度のライブが終わったら、俺の生まれた茂実町に行かないか?
そして俺の両親に会ってくれないか?」

「えっ?」

この状況がうまく飲み込めない私に啓吾は続けた。

「だから、東子さん、俺と結婚してください」

「ちょっと待ってよ…」

私は溢れ出る涙を拭うこともできなかった。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

ライブも好評のうちに終わり、啓吾と二人茂実町を訪ねた。

「あれ?マギー師匠?まだやってたんだ」

「誰?」

「俺の小さい頃からこの町のそこの演芸場に出てる芸人」

「へえ、面白いの?」

「いや、よくわからない」と啓吾は笑っていた。

「ふぅん、面白くないんだ・・・ねぇ、なんでかな?この町って
初めて来たとは思えないんだ、すごく懐かしく感じるの」

私がそう言うと啓吾は嬉しそうにこう言った。

「東子、結婚式はあそこの教会で挙げないか?そしてこの町に住まないか?」

啓吾の言葉に私は大きく頷いた。

啓吾のご両親も私を歓迎してくれた。

そこから話はとんとん拍子に進み、この町一番の高層マンションに暮らすことを
決めた。

そのマンションを下見に行った時お隣りの方がドアを開けこちらの様子をうかがっていた。

「あっ、お騒がせしてごめんなさい」と私が言うと、その女性はバタンとドアを閉めた。

高層マンションの27階、お隣りとの関係は希薄なんだろうなとは思った。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「では、挙式はいつになさいますか?」

「8月16日にお願いします。この日は私たちが初めて出逢った日なんです」
啓吾が牧師さんに伝えると

「素敵ですね」と牧師さんは優しく微笑んだ。

そんな大事な日が人類が滅亡するかもしれない日だとはその時は思わなかった。

二人で住む部屋で一人、立て続けに配送確認の電話を受けていた時、それは届いた。

テレビでも話題になったボックス、おちゃらけた絵『ボックスぼくさー』
が描いてある。ふざけたネーミングのこの箱に私は何を入れよう?

ウェディングドレス?
ダメ!これは自分が着る。

マリッジリング?
ダメ!啓吾と二人で永遠の愛を誓うの…

私のことはいい、それより啓吾という存在を知らせたい。

そうだ!この中には啓吾たちのCDを入れよう。

啓吾が自分の思いを伝えたくて作ったCD「ふるさと」を

そして運命の日

私たち二人は式を挙げた・・・

コメント(24)

登場人物がこうリンクしてくるとは!
すっごい構想練られてますね〜
見事っ!!

そしてこんなどストレートなプロポーズを受けてみたいもんです。
膨らむ妄想。もくもく。

気になる話の続き。わくわく♪♪
や。すごいなー

なんか、自分の劇団でてきて、照れます
お気づかいすみません。
でも、あの、ほんと、はい。今度参加するときは僕とか全然ほっといちゃっていいですからね(笑

しかし、世界はどうなろうと愛し合うっていいよね
面白い&他の話とのリンクがあって上手いなあ…

順番が早まりましたので、僕が次の書き手なのですが、こんな作品の後には出しにくい…。今日明日中には書き切りたいです。
世界の終わりに、
未来ある愛し合うふたり
悲しくも、なんか燃えるシチュエーションですねー



なおハムさん>
交代してくださってありがとうございます。
順番が早まってしまって申し訳ありませんが、がんばってください。楽しみにしています。
わーい(嬉しい顔)うめこさん
ありがとうございます。

私『妄想』しだしたら、止まらないんすよげっそり

おばばの憧れ『若い男子』との恋を描いてみました。
わーい(嬉しい顔)オナモミさん
いえね、二人の共通の話題を何にしようかと考えたら、架空の団体作るよりいいかな?って思っただけなんすよ(笑)

セカイのおわりの日も勝手に指定しちゃいました。

終戦記念日じゃなんだからその翌日にしてみました。
わーい(嬉しい顔)なおハムさん
ありがとうございます。

ただの『妄想おばば』戯言です。

なおハムさんがどんなストーリーを書き上げるのか楽しみにしてますよわーい(嬉しい顔)
わーい(嬉しい顔)ブレちん
『セカイのおわり』だからこそ書けた感じっす。

他の方々がどんなストーリーを作り上げるのか、すごく楽しみだわぁ〜ハート達(複数ハート)
すごいーexclamation ×2
色んなところのつながりexclamation ×2
書き始めてみてより一層すごさを実感しましたぴかぴか(新しい)

幸せが始まるところで終わってしまうのは、幸せなのか不幸なのか…考えちゃいます手(パー)
俺も幸せなのか不幸せなのか
その点が気になりますね
わあ。マギー師匠出た(笑)

すごい うれしい。めちゃ ニヤニヤしてしまった。
まさかマギー師匠が、おデート現場になるとは思わなかった(笑)

リンクしてたりカヨさん技師ですね!
終わりが始まりって深い。
終わりがけして不幸ではないってこと。
終わりに大切な人と居れることが幸せなんだなぁ。と思いました。
素敵です。お疲れさまでした!!!
わーい(嬉しい顔)あゆ男さん
ありがとうございます。

セカイ最後のときを一番大事な人といられるのは幸せなことではありますが…
わーい(嬉しい顔)恭弘さん
難しいですね。

私自身よくわかりませぬ。
わーい(嬉しい顔)マギーさん
ありがとうございます。

私もこの世とお別れするときは、一番大事な人と一緒にいたいっすげっそり
カヨ姐さんお疲れさまでした。
「はじまり」チームのOZ!です。

姐さんのCDは私が責任を持って…ゴニョゴニョ…(笑)

今までの世界観を巧みにリンクさせて姐さん業師ですね〜わーい(嬉しい顔)

自分の手元に来るまでの経緯も分かって2度美味しいですね。楽しめましたわーい(嬉しい顔)
これ読んでて、登場人物の顔は基本的に脳内映像には出ないのに…(逆光とかフレーム外)

東子だけ顔がカヨ姐なのはなぜ?(笑)
わーい(嬉しい顔)OZ!さん
読ませていただきましたよ。

電気もない世界にCDっていじわるだよな。
って最初から思ってましたから(笑)

でも後の話で活用されたのが嬉しかったです。
わーい(嬉しい顔)EDOやん
はい、妄想婆の創作物ですからね。

『啓吾』がEDOやんがモチーフでないことは明らかげっそり
「ふるさと」のCDを奇跡の曲名ぴかぴか(新しい)と思って使わせてもらいました、つかっちょです冷や汗
童謡ちっくな歌詞をつけてしまった後でヘビメタバンドだったらどうしようと
心配していましたが、安心しましたあせあせ。。。
前の話とリンクさせてる部分がさすがですね。
男女の話がほんわか温かくて、それでもって切ない気持ちになって・・・
面白かったです。お疲れ様でした!
わーい(嬉しい顔)つかっちょさん
ありがとうございます。
『はじまり』の10話を読んだときに、嬉しくなりました。

凄く素敵な使い方をしていただいて感謝々々です。
東子はいい奥さんですねぇ。
自分の事はいいから、啓吾のことを…だなんて涙

はじまり最終話で感動的に登場した歌だったから、過去も気になっていたけど…
いやいや、過去にも感動的なエピソードが秘められてましたね。

チラッと登場するマギー師匠が好きでした(笑)

カヨさん、
お疲れさまでした。

わーい(嬉しい顔)たえちゃんさん
ありがとうございます。

『おわり』から『はじまり』のセカイに伝えられたそれぞれのものがいろんな物語になったのがめちゃ楽しかったです。

たえちゃんさんの話も凄く楽しかったですよ。

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