新宿スポーツランド西口店コミュの不定期エッセイ「じゃあ、金曜に西で」第１回

第１回「大山のぶ代」


記念すべき第１回目の西スポプレイヤーはこの人にしようと、エッセイを書くと決めた時から思っていた。名女優にして、声優でもあり、脚本や舞台なども手がけ、料理も看板番組を持つ程の腕前で、その名を知らぬ人のほうが少ないんじゃないだろうか、と言うくらい正真正銘の「有名人」が、新宿のど真ん中で全国上位を争う程のアルカノイドプレイヤーとして遊びにきているとは誰も思わないだろう。

１８号も思ってなかった。このバイトを始めるまでは。

バイトを初めて数週間経った頃だろうか、スタッフルームで休憩を取っていると、２階担当の先輩が休憩に入り、徐に「大山のぶ代来てるよ」と声を掛けてくれた。
声優と言う職業に対する憧れと、勿論有名人という田舎者にとっては野次馬根性丸出しで、思わず階段を駆け上がり、遠巻きに氏を見ていたのが最初の記憶だ。それ以来バイトのある日は氏が遊びにきているかどうかを話すのは休憩時間や、閉店後の話題になっていた。

とはいえそれなりのペースで来店されていたので、当然のことながら特別扱いをするわけでなく、一人のお客様としての対応をしていたし、勤務してからリニューアル時の閉店に至るまで、一度もプライベートで声をかける事はなかったし、とてもじゃないが恐れ多くておいそれと気軽に声なんか掛けられなかった。よもやその数ヵ月後、一緒に仕事をするなんてその時には夢また夢の世界。

大山氏がアルカノイドプレイヤーとして有名なのは西スポプレイヤーとしては周知の事実だと思っていたのだが、最近ではそのプレイがＤＶＤとして発売されたり、ファミ通に「西スポに良く行っていた」と紹介されたり、これまたタイムリーな話で、この記事を書く少し前のＴＶ番組「トリビアの泉」に紹介されるなど、そのゲームプレイヤーとしての腕前が最近になって随分と広まっているようだ。
知らない人の為にかいつまんで説明するが、氏は「インベーダー」時代からのゲームファンで、新宿にあるスタジオでの録音がある時など、何時間にも及ぶアフレコの合間を縫い、遊んでいたと言う。
インベーダーブームも過ぎ、難しいゲームや好まれないゲームが増えていく中、アルカノイドに出会った。なので大山氏とアルカノイドはほぼ発売と同じ歳月を共に過ごしてきた間柄故にアルカノイドの攻略度は半端じゃなく、失礼な話だが大山氏のレベルまでアルカノイドを上達させるのは同じ世代ならまずありえないし、若い世代でも一朝一夕で追い抜ける技術でないのは確かだ。試しに今でもクラブセガ新宿西口に置いてあるのでチャレンジして欲しい。１度もやったことのない初心者なら１日どれだけ頑張っても３面〜５面がいいトコだろう。

話は前後するが、クラブセガへリニューアルの際、瓢箪から独楽みたいな話で「１日店長」の話が持ち上がり、まさかここまで快く引き受けていただけるとは思いも寄らず、その時の司会をさせていただいたのは何よりの幸せと、本番前スタッフルームで大山氏がゲームを心から楽しみ、真剣にプレイしていることを丁寧に話してくれた時間は何物にも変えがたい貴重な体験となった。

リニューアル後の現在ではわからないが、西スポでレイアウト変更が行われる際には「アルカノイドをどこに置くか」で話し合いが始まる。売上や時流に惑わされることなく「このお店に必要なもの」として理解と必要性を見出す所が、西スポの「粋」なのかもしれない。

先にも話したがアルカノイドを大山氏がプレイし、ハイスコアを出した時は大抵頭文字がネームエントリーされてある。Ｏ．ＮもしくはＮ．Ｏとアルカノイドのあるお店で見かけたら、それは氏がその日に遊びに来ていた証だ。覗いて見よう。

今後どこまでアルカノイドの話題を振りまいてくれるか解らないが、これからもゲーマーの大先輩として、遊ぶことの面白さ、大切さを広めてくれればこの上なく幸いと我侭な妄想を膨らませ、またお店に遊びに起こしいただけるのを心待ちにする１８号である。