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とにかく書きたい!コミュの自主作品。勝手に載せちゃいます!(><#)

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自主製作で書いた作品です。
なんせちゃんと書いたのが初めてなものでガタブルですが 汗
駄文ですがよければ目を通してやってください!!(^^





『ルナ:プラネット』





”大きくなったら、ぼく宇宙飛行士になるんだ”






あたしの大好きだった男の子は小さな頃
目を輝かせていつもそう言っていた


でも

それは
よくある子供の頃の他愛ない『約束』で




大人になったあたしは
約束も大好きだった男の子の事も忘れてしまっていて




夢も



仕事も



恋愛にも






絶望していた







「別れてくれ、楓」
突然仕事帰りに彼氏の雅樹に話があるからと会社近くのカフェ呼び出され、来た
そうそう言われた一言。
雅樹の言葉にフリーズしそうになる頭を叩き起こしてなんとか返事を返す。
「別れてくれって…なんで?」
口調が震える。
動揺が伝わってしまう。
思わず下を向いたあたしに雅樹は深いため息を吐き言葉を続けた。
「上司が見合いを勧めきたんだ。社長がぜひにとおっしゃってきて…」
下を向いたまま、何か言いかえなさいとと頭では考えても口が思うように動かな
い。
「俺達、このままだらだら付き合ってても仕方ないだろう?…もうお互いの為に
別れるべきだと思うんだ」
そう言うと、雅樹は腕時計を見て「じゃあ」と慌ただしく席を立ち上がる。そし
て伝票を手に取りそのまま店を出ていった。


結局、何も言えなかった


雅樹は仕事が一番で
はっきり言って自分のスキルアップする事以外興味がなかった
それでもいつかあたしが一番になれる気がしてた
付き合って一年、勝手に彼の事を分かったように思いこんでた


だけど


結局
彼は仕事がすべてだったんだ
終わりはあっけなさすぎた


目が回りそうなぐらい溜まりに溜まった仕事もほったらかして
何やってるんだろう、あたし………


その目から拭い切れない涙が溢れていた





*******





疲れた体を引きずって部屋に帰るなり、そのままベッドに倒れ込んだ。頭痛がす
る…。薬を取りに行く気にもなれず寝ころんでいると突然、電話のベルが部屋中
に鳴り響いた。
「(…誰?)」
数回ベルが鳴り響くと留守電に切り替わり電話越しから懐かしい声が聞こえてき
た。
『もしもし、楓?
いるんでしょ?たまには声ぐらい聞かせなさい』
久々に聞く母親の変わらない様子に少し笑ってしまった。
電話を取りに起きあがる。
「もしもし、母さん?今帰ってきたのよ」
『久々ね。元気でやってるの?たまにはこっちにも帰ってきなさいよ?』
脳裏に雅樹の顔が浮かぶ。心が痛む。忘れてるのにはちょうどいい骨休めかもし
れない。
「………そうだね。来週あたり帰ろかな。」


『あ、そうそう、あなたニュース見た?』


母親の突拍子のない言葉に思わず聞き返した。
『ニュースよ、ニュース。見てないの?あの来週のロケット打ち上げの……』
「知らないわ。忙しくてテレビも見てないんだもん」
『昔あんたが仲良しだった早月さん家のとうやくんがそのロケットに乗るらしい
のよ!』

「…とうや?」




“大きくなったら、ぼく、宇宙飛行士になりたいんだ”




記憶が一気にフラッシュバックした。懐かしい名前に思わず夜中と言うのも忘れ
て声を上げてしまった。

昔、小さな頃に
将来の夢を教え合った大好きだった男の子


『斗夜くん』のこと


 




*******






朝になってニュース番組をチェックしたとたん、あたしがどれだけ今世間知らず
かを思い知った。世間はそのロケット打ち上げの話題で持ちきりで。しかもその
ロケットに若手飛行士が乗るとどの番組でも騒いでいた。

新型スペースシャトル『ウインド』に若干23歳の宇宙飛行士、早月斗夜氏が搭乗!!

新聞にも書かれていた。


ずっと忘れていた

母親同士が仲が良く、小さな頃よく遊んでいた斗夜くん。でもお父さんの仕事の
都合で小学生の時にアメリカに引っ越してしまった。それからずっと会ってなか
ったのだが、最近ご夫婦がまた帰ってきたと母親が言っていた。そこで、斗夜く
んの事を聞いたそうだ。

「すごいなぁ…」

夢ほんとに叶えちゃったんだ







*******







会社の有給を利用して一週間、実家に帰ることにした。
新幹線で三時間
田舎でもなければ都会でもないあたしの街は夢を叶えたいと家を飛び出したあの
頃から何一つ変わらないままだった。

「お母さんーただいまー」
と、懐かしい実家の玄関を開けると母親が昼食の用意をしていたのだろう。その
においに顔がほころむ。
「あら、お帰りなさい
早かったのねぇ」
「こんにちわ、楓ちゃん」
リビングに行くと、母親と見慣れない母親と同い年ぐらいの女性が一人向き合っ
て座っていた。
「こんにちわ…?」
怪訝そうなあたしの顔を見て女性は
「もう覚えてないわよね?斗夜の母親です。楓ちゃん綺麗になったわねぇ」
「ああ!斗夜くんの!」
斗夜くんの家に遊び行くと、おばさんが手作りのクッキーを焼いてくれた。あた
しはそのクッキーが大好きだった。
おばさんを抱きしめるとおばさんもあたしを抱きしめてくれた。









******








「楓ちゃん、実は今斗夜も帰って来てるのよ。久しぶりにあの子もお休みをもら
ってね」
女三人でお茶を飲みながら話をしていると、突然、おばさんが言った。
「斗夜くんが…?」
ティーカップを口に運ぶ手を止めおばさんの顔を見る。
「そう。たぶんそこらへんをぶらぶらしてるんじゃないかしら?」
「…」
「…久しぶりなんだし、会ってきたら?」

と、黙り込んだあたしを母親は促し外に放り出した。

でも
どんな顔で会えばいいんだろう。
今の顔なんか分からないし。テレビに顔映ってなかったし。
昔の顔しか分からないのに探せなんて無理がある



それに





斗夜くんだって
あたしの事忘れてしまっているんじゃないだろうか








********









商店街や人通りの多い辺りを中心に探しはじめたが、こんな人だらけじゃ逆に誰
か分からない。それでもめげずに昔の面影を探したが見つからないまま夕方にな
ってしまった。
半ば諦めてた事だ
でも心のどこかで斗夜くんに会えるのを期待していた
「(仕方ない…帰ろう)」
深いため息をつき
河川敷を重い足取りで歩いていく。










「…楓…?」







聞き慣れない声に名前を呼ばれ立ち止まる。
振り返るとそこには見慣れない青年が1人、驚いた表情でこちらを見ている。


知ってる
どことなく残る面影に
あたしを名前を呼ぶ優しげな声







「斗夜くん」




「ほんとに楓?…なんでこっちに?今東京にいるって聞いたんだけど…」「…仕
事休んで…久しぶりに…」
見つめられる瞳にそらせない視線
やけに緊張する
あたしの返事に彼は優しく微笑んで
「そか。俺も実は…休みもらってさ。……楓、久しぶりだな」







その笑顔にあたしは一瞬で





恋をした







****







「懐かしいよな」
日が傾き始める中、川岸に座って二人で話し始めた。
「昔はここでよく二人で遊んだよね」
「ああ、鬼ごっこだろ、隠れんぼ…あと」



「「夢の教え合い!」」



二人の声が重なり、思わず笑う。こんな他愛のない話で。
「すごいね、夢叶えて。来週は宇宙から地球とか見ちゃうんだよね」
「やっと叶うんだ。何年もがむしゃらに勉強したんだ」

斗夜の嬉しそうな横顔に同じように空を見上げた。


キレイな茜空


「楓は叶えたのか?」
「え?」
「女優になるって夢」
斗夜の言葉に言葉を詰まらせる。



そう夢を追いかけて家を飛び出した
でも現実は夢みたく甘くなくて



あたしは諦めてしまった



「…ううん。やめたの、夢見るのも追いかけるのも。疲れちゃったから」

諦めてしまったあたし
夢を叶えたあなた
今のあなたは遠い人になってしまった


あの頃みたいには戻れないね



「らしくないな」


斗夜が冷めた口調で言い放つ。
「え?」
「真剣だったよ、あの頃のお前は」
二人の間に長い沈黙が流れる。彼の言葉にいろんな感情が交差する。
「…分からないよ、斗夜くんには。夢を叶えた人に諦めた人の気持ちなんか分か
らない」
立ち上がって斗夜を見る。今にも泣きそうな気持ちを押し殺して。
「どんな気持ちで
諦めたのかも知らないくせに…軽々しく言って欲しくない!!」
走って河川敷を登ろうとした瞬間、体が背後に引っ張られる感覚におそわれる。
一瞬何が起きたのかも分からなかったが、背中の暖かい感触に心臓が高鳴る。
そして斗夜に抱きしめられてるのに気付いた。
どんどんあたしを抱きしめる力が強くなる。

ふと、雅樹の顔がよぎる。その瞬間、彼を突き飛ばす。
あたしの目から大粒の涙が流れる。なんで泣いてるのか分からない。そして震え
る口調で斗夜に言い放つ。
「思わせぶりな事しないでっ!!」
滲む視界の中、走って河川敷を後にした。
あたしは後ろを振り向けなかった。







*****







それから
一週間が経ち、また変わらない日常が戻ってきた。短い休暇はあっと言う間に過
ぎた。

あれから斗夜くんとは会わなかった。
母親の話だと、あれからすぐ訓練に戻ったらしい。
どうしてあたしを抱きしめたのかも
分からないまま、聞けないまま
最後はあたしの傲慢な言葉で




あたし達は別れた。




きっと恋をしても
あたしたちは結ばない運命で。初恋は初恋で終わるんだと実感した。





一昨日
斗夜くんの乗るスペースシャトルが月に向けて旅立った。2ヶ月と言う長い長い
旅だ。
あたしはニュースで出発を見送った。




もうあたしにはブラウン管から頑張れというエールを送ることしか出来ないから







宇宙のどのあたりにいるんだろう


何をしてるんだろう

なんであんな酷いこと言ったんだろう


謝りたい






そんなことを考えるばかりだ。


「…ただいま、一昨日宇宙に旅立ったスペースシャトル『ウインド』の搭乗員、
早月氏と中継が繋がっています…」

仕事中の雑音の中、テレビから聞こえるニュースキャスターの言葉に思わず顔を
上げた。





その先には、彼の姿







『宇宙から見える地球は本当に美しいです』






聞きたかった声に持っていた書類の束を床に落とす。

「何かどなたかに伝えたい事などありますか?」

キャスターの言葉に、彼はあの優しげな笑顔を浮かべる




『はい』







『宇宙から帰ったら、ここから見える美しい地球の事、この前言いそびれた事、
全部伝えたい人がいるんです』









雑音は彼の言葉にかき消され、精密機械みたいに彼の声だけを聞き取るあたしの
頬に涙が自然と流れた。








『楓、君に…』













テレビを通じてあなたがあたしに微笑みかけたように思えた。










帰り道






夜空を見上げよう
あたしもあなたに伝えたい思いがあるから










『あなたが好き』








大きな声でそう叫ぼう








宇宙(そら)にいる
あなたに向かって








あなたに聞こえるように






コメント(3)

これは、なんとも、綺麗な話ですね。宇宙にいる人か。。。ロマンチックです。

途中の抱き締められるところでは、どきどきしちゃいました。うえっ、いきなりっすか!! 斗夜やるなぁって感じです。

また、新しいのができたら読みに来ます。頑張って書いて下さいね。
はじめまして☆
早速ですが読ませて頂きました。

全体を通して微笑ましくとても情緒的な表現だと思いました。とても初めての作品とは思えません。楽しませていただきました^^
優しい優しいお話しですね。心がじんわり温かくなりました。
楓の微妙な心理がよく伝わってきて、とても素敵なお話しだと思いました。
また新作読ませて下さいね(^^)

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