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ウラジミールの文章置き場コミュの戯曲「シュタッカート(仮)」後篇 

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俺;それにしても影のような素早い男。奴の狙いも沢口サホ君か?
俺以外で彼女を探る者。
それは彼女の周辺に存在する超次元物質ダークマターに気付いた何者か…
NASAとか?FBIとかか?いやここは日本だからJAXAとか?国家公安警察か?
いずれにせよ彼女は狙われている。
さて、時空破断検知システムの精度をUPすることにより、
あの反応が彼女の体のどこから、検知されるのかがわかった。
地面から約70センチ程の位置。フトモモの付け根から下腹部にかけて…
恥骨?恥骨からダークマターですか?
そこで、俺は考えた。
彼女が狙われない為に、放射線遮蔽(シャヘイ)物質により、
彼女の下半身から発するダークマターの波動を遮断する。
つまりこのアルミホイルを織り込んで作り上げたストッキングを着用してもらえば。
(ストッキング出し、照明切り替えもしくは短い暗転)
沢口サホ君、先生ちょっとお願いがあるんだ。
毎週、水曜日な。水曜だけでいいんだ。先生が作ったこのパンストを履いてくれ!
先生な、お前を守りたいんだ。お前の下半身、具体的にはフトモモの付け根から恥骨にかけて、ダークマターの反応が出てるんだよ。
だからこのパンスト履いてくれ。
いや違う、お股がダークだなんて言ってない、ダークマターだよ。
これ履き心地悪くないぞ。先生ちゃんと試着してみたんだ。っておい、待て、逃げるなよ。
(短い暗転)
俺は校長室に呼ばれ、2週間の自宅謹慎処分を受けた。
なぜだ、なぜなんだ!
しかしもっとショックだったのは、

サホ;「先生キモチ悪いです。もう話しかけないでください。」

俺 ;って真顔で言われた事だ。何か、大切なモノを失ってしまったような気がする。
………。だが俺は、やらねばならん。
謎の超次元物質ダークマターを解明し、謎の男から沢口サホ君を守るのだ。
そして水曜日にのみ反応があるという謎を…
待てよ、水曜日…下半身.…恥骨…
…つまり彼女が水曜日に履いていたパンツを手に入れれば…
(暗転・明転、もしくは明りの位置切替)
��(夜)
(暗転の中、僕の音声が流れる。)
僕;日曜日、秋の収穫祭パンツ狩りの初日。
干してあった沢口サホさんのパンツは右目で見ても光らなかった。
でもとりあえず収穫した。
月曜日、秋の収穫祭パンツ狩りの第2日目。干してあったパンツはやっぱり光らない。
ちなみに昨夜の下着紛失に用心したのか、男物のパンツと一緒に干してある。
なんか悪い事しちゃったなあ。気の毒だから収穫せず。
火曜日、秋の収穫祭パンツ狩りの第3日目。やっぱり光らない。収穫なし。
(明かり変わる)
水曜日。秋の収穫祭パンツ狩りの第4日目。今日こそ光るパンツに出会えますように。
(眼帯をずらすと、パンツに明り)
おお見える!流れ星を吸い込んで、見えなくなった僕の右目に、ただ一つだけ見える輝き。
それが彼女のあの日のパンツ。ついに見つけた、僕の一すじの希望!

俺;なにっ、超次元物質ダークマター反応あり!あの男の目だ!
(照明元に戻る)
僕;その声は、この前どなってきた男。そして、ええと、ええと化学の先生。

俺;あ、あの時の怪しい男、お前2年の…うちの学校の生徒だったのか…。

僕;そうだったのか。

俺;ここで何をしてるんだ。

僕;果実の収穫です。

俺;果実だと?ソレは沢口サホ君の水曜日のパンツ。
やはりぎゅんぎゅんきているな。

僕;水曜日のパンツ?

俺;彼女は7枚のパンツを曜日ごとに割り振ってはいていたんだ。ソレを渡せ。

僕;いやです。これは僕の生きる道しるべだ。

俺;それは超次元物質ダークマターだぞ。知っているのか?

僕;僕は沢口サホさんの事が好きなんだ!

俺;おい、人の話きけ。
異空間の裂け目から漏れ出た超次元物質ダークマターが何らかの理由で
沢口サホ君のパンツに付着して…

僕;好きだ〜!沢口サホさんが、好きだ〜!

(俺、僕の口を手で押さえる)

俺;落ち着けバカ。みつかっちゃうだろうが。
  わかった。好きといったな。俺だって好きだ。

僕;先生も彼女の事が。

俺;ああ。

僕;いじめられっこで、キモイと言われて、友達もいない僕と、
 40代独身で、中年太りでキモイ、非モテで加齢臭もしだした先生が、

俺;俺達は似ている。でもちょっと言い過ぎだぞ。

僕;僕は…僕は変態だ。盗んだ下着を着込んでいる。    (脱ぐと下着を身に着けている)
でも、先生だってそうだろ。

俺;ああ。俺達は同士だ。                      (脱ぐと下着を身に着けている)

僕;先生!

俺;生徒!

(曲かかる)
僕;それから、意気投合した僕たちは、時間も忘れて語り合った。
 沢口サホさんの魅力について。どんな下着がより興奮するかについて。
 そして先生が人生をかけた研究テーマ、超次元物質ダークマターについて。
 ブラジャーとパンツ姿で熱く語り合ったんだ。
(曲おわり)
俺;夜が、明けた。朝日が照らし出す、この醜い姿が、俺たちの本当だ。
 さあ、そのパンツを先生に。

僕;いやだ。このパンツは渡さないよ。

俺;どうしてもか。

僕;どうしてもだ。

俺;頼む。そのパンツが必用なんだ。

僕;ならば勝負だ。

俺;いいだろう。けど先生、体力には自信ないぞ。体力の勝負は俺達らしくない。
 そうだろう。

僕;だから僕たちの、この本当の姿でする勝負。チキンレースさ。

俺;なに?

僕;ここから僕らの学校まで約2.5キロ。
僕と先生はじゃんけんして、ここから、グミチョコレートパインで進むんだ。
より校舎に近づいた方が勝ち。途中で棄権したっていい。

俺;しばらくしたら朝練の生徒が登校し始める。
見つかれば、学校内での俺達の基本的人権は抹消されるだろう。

僕;先生、怖いの?

俺;怖いの?ああ、そうだな。
だが俺は、ありのままの姿で走る方を選ぶ。お前に勝ってそのお宝をつかむ。

僕;決まったね。それでは、

二人;勝負!最初はグー、ジャンケンポン。    (僕チョキ、俺パー)

僕;勝った。チヨコレイト。しゅたっ。

二人;最初はグー、ジャンケンポン。

俺;よし。パイナツプル。しゅたっ。    (僕グー、俺パー)

(曲、「Take on me」かかる。曲に合わせて勝負が続く。)

(曲の途中で)

僕;これが僕だ。本当の僕だ。なんかキモチイイ。
 そしてこんな僕なんかと真剣に勝負してくれる本物の変態。僕以外にも居たんだ!
 これでいい、これでいいんだ。

俺;よく考えたらコイツ、いいとこなしのいじめられっこなんだから失う物なんてないだろう。
 俺は捕まれば仕事を失うかもしれん。
うっかり勝負に乗っちまったが、明らかに俺の方が不利だろう。
 だいたい超次元物質の研究がしたかったのになんで俺、こんな恰好でこんな事してるんだ。
 …だけどこれが本当の、俺なのか。
 女物の下着で朝焼けの街を疾走する俺。なんだかもう、いろんな事がどうでもよくなってきた。

(しばらくしたら照明、赤の点滅が入ってくる。パトカーのサイレン鳴り出す。)

警察;そこの二人、止まりなさい。通報のあった変質者だな。そこの変質者二人、止まりなさい。
止まれ!止まらんと撃つぞ!

(二人、両手を上げる。暗転。)

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