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杉本拓コミュのコンサートレポ:イエラシ、アンカーシュミット、角田@キッド

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2月10日に明大前キッド・アイラック・ホールで行われた、ジュゼッペ・
イエラシ、トーマス・アンカーシュミット、角田俊也氏のコンサートに
行ってきました。

ちょっと早めに会場に行っていたのですが、ぞくぞく集まるお客さんに
びっくり。意外、と言っては失礼かもしれませんが、座布団で座って
みる人が多数出る盛況ぶり。50人近く入っていたんじゃないでしょうか。

最初は、アンカーシュミット氏のソロから。まずは、キーボードなしの
古いシンセ(70年代のものだそう)を使った、ブチブチした音の点描
ノイズ的な演奏。徐々に音の密度を上げていき、いわゆるノイズ的に
かなり激しくなった後、終息。その後、サックス・ソロに。アルト・
サックスの首の部分を外し、マウスピースをボディに直につけた状態で
演奏します。通常よりもちょっと軽い、安定度のない音。循環呼吸を
使った、切れ目のないドローン状態の演奏。ドローンの中に、濁りの
ある音や、びりびりした音が入ってくる、氏のいつものスタイルです。
しばらく演奏した後、今度はサックスの首部分を取りつけ、普通の状態に
して再びサックス・ソロ。また微妙に変わった音色の中、ドローン演奏に。
壁際に向けて吹いたとき、音が横の方から聞こえているような効果が
出ていて面白かったです。アンカーシュミット氏、以前は、サックスの
中に缶を入れたりして、ビリビリ効果を出していたこともあるのですが、
終了後に聞いてみると、今回は吹きながら歌ったり、咥え方の工夫などで
効果を出していて、小物は使っていないとのこと。缶コーヒーなどの、
サックスの中に入る小さいサイズの缶はヨーロッパには無いし、みたいな
ことを言ってました。

続いて、ジュゼッペ・イエラシ氏のソロに。E−Bow(磁力で弦を持続的に
振動させる機器)にギター弦の切れ端のような金属片をのせて振動させ、
その音をひろってディレイなどのエフェクトで変調しながらの演奏です。
ビィィッー、という弦振動を増幅させた音が重ねられたり、変調されたり
した後、徐々に低音のドローンが重なり、またもっと高い持続音が重ね
られていく、アンビエント風な演奏でした。聞いてみると、CDに入れてある
音源も少し混ぜて使っていたとのことでした。
アンカーシュミット氏、イエラシ氏とも、この分野では正統的(?)な
演奏で、そんなに驚きはありませんでしたが、心地良い、いい演奏でした。

セットチェンジのための休憩の後、いよいよ角田俊也氏の室内楽に。
事前に、角田氏のコメントが観客に配布されました(写真中央と右)。
それには、美術家である氏がこのように音楽家達との演奏をするに至った
経緯が説明されているのですが、これが深い思索と示唆に富む文章なので、
是非ご一読を。
ステージ上、客席から見て左から宇波拓(コントラギター)、木下和重
(バイオリン)、大蔵雅彦(サックス)、杉本拓(フルアコのE・ギター)が
並んで座っています。それぞれ演奏者の足元にはスイッチがあり、
その先には床に裸で置かれた白い平面スピーカー・ユニットが繋がれて
いて、それぞれその上にはビスやナット(宇波氏)、校庭の砂(木下氏)、
マッチの棒部分(大蔵氏)、貝殻の破片(杉本氏)がのせられている状態です。

最初の曲(?)は、演奏者達がそれぞれ演奏する中、会場の壁などに
反射する音を角田氏がガンマイクでひろい、一定レベルより上の音だけが
出力されるようにして、その変調された反射音と生音を同時に聞く、
というもの。変調された反射音は、ちょっとガリガリした感じに
なっていて、演奏者の生音との混ざり具合がとても面白く聞こえてきます。
角田氏はガンマイクを持って、狭い範囲ではありますが動き回って、
ステージ周辺の反射音を拾います。演奏者は、それぞれ自由に演奏して
いるようなのですが、角田氏をじっと注視しながら演奏する大蔵氏の
息音中心の音が、変調されてもあまり変わらずに聞こえるのが面白い(笑)。
多少ハウリングが起きてはいましたが、それも面白い効果に思える時も
多かったです。

それから、次の曲に。演奏者は振動する金属片を楽器に触れさせて、
ビリビリ、ガリガリといった音を出しながら、指定されたポイントで
足元のスイッチを踏みこんで、平面スピーカー上の物体を振動させて音を
出して行きます。ギター、バイオリン、サックスという楽器から出る
振動音と、スピーカー上の物体のガサガザとした音が重なります。
ちょうどインスタレーションと演奏の中間点のようなパフォーマンスで、
見ていて非常に面白い。それから、バックにせせらぎ的なノイズが
聞こえだし、それが大きくなっていき、スピーカー上の物体の振動
ノイズが微かに聞こえる中、あるポイントで、演奏者全員が短く強い音を
一瞬出す、といった状態になり、何度かそれが繰り返されて終了。
後で、角田氏がどなたかの質問に答えて言っていましたが、このパートは、
演奏者の音が微妙に揃わないところにポイントがあったそうです。

しかし、本当に面白く、刺激的なパフォーマンスでした! 写真であげた
文章からも角田氏の音/音楽に対する鋭い洞察は明かなのですが、
それを元にして氏は、音は振動である、という事実や、それがどう存在し、
どう知覚するかという観点から、音楽の側からみれば全く新しい地平を
切り開いているように思えます。しかもそれが、ただ難しい観念的なものに
とどまるのではなく、ワクワクするような楽しさ、高揚感を伴っているのが
素晴らしい。大入りの観客数にも納得する一夜でした。個人的には、
前日の大友オーケストラの素晴らしい演奏を凌ぐ充実感を得られたと思います。
角田氏は苦笑するかもしれませんが(笑)。


今回、杉本拓氏は演奏者の一人ということで、あまり前面には出ません
でしたが、最近とくに関わりの深い角田氏のパフォーマンスということで、
杉本コミュにレポを掲載させていただきました。

コメント(6)

いやぁ、これはこれは詳細なレポート、ありがとうございました!
うひゃーーって感じです。

>それから、次の曲に。演奏者は振動する金属片を楽器に触れさせて、
ビリビリ、ガリガリといった音を出しながら、

これですが、金属板はコンタクトマイクやメロディーIC、超音波センサーとして使われる圧電セラミック盤です。
これはそこにかかる圧力を電気振動に変換するもので、センサーにもなり発音もするものです。
なので小さいスピーカーですね。
これが一番大きく振動する周波数をCDプレイヤーから再生させています。
つまり細かく揺れてるのです。
これを物体に触れさせると、ボールがドリブルのような感じでぶつかりあって音をたてています。
顕微鏡で見たら叩いているようなものですね。

今回は自宅でテストした時と音が違ってえらい慌ててしまって、全く冷静さを欠いていました。

冒頭の演目のハウリングもあり、ということを言っておくべきでしたね。
これはリハの時、2人の拓さんには話してたんですが。

次回はまた全然違う出方をします。
今は図形の対角線に興味あり!
詳しいコメントありがとうございます!
終了後話題になっていた、角田氏のダンス(?)、見逃してしまい
非常に残念!
あのシンセ、EMS Synthi-Aというやつですね。
http://images.google.com/images?hs=yL3&hl=ja&client=opera&rls=ja&q=EMS%20Synthi-A&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=&sa=N&tab=wi
http://www.teknobo.com/gallery/ems_synthia.html

ケーブルじゃなくてピンでパッチングをするのが特徴で、トーマス氏がピンを口にくわえながら抜き差ししていたのが印象的でした。
トーマス氏、両手できばってツマミ回してましたよね。
しかし、40万ですか。ヴィンテージものって高い…。
角田氏のダンス(?)

へ?
何のことすか??
いや、マイクを持ってこけたポーズが…。

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