アホが隙ですコミュのお仲間

久しぶりに日記に書ける事件が起きましたのでご報告します。

僕はね、会社から帰るときは八王子駅まで歩きます。
歩きながら妻に電話して、駅まで車で来てもらうという通勤をしてます。

いつものように八王子駅南口に到着し、妻の運転する車を待っていました。
八王子駅ににはサザンスカイタワーとかいう高層マンションがありまして、北島三郎とかスマップの中居君なんかも買ったという噂です。

待っている間、マンションを見上げてたら、最上階から一つ下あたりの部屋が怪しく光っていることに気付きました。

どうやら、天井全体をライトにしているようで、虹色に変化するんです。
マリファナでもやってるんじゃないかってくらい怪しいライティングにしばし見とれていました。

通りすがりの見知らぬ女性数人に「何、この人」みたいな目で見られているのにも気付きつつも、完全に無視して観察し続けていました。
すると、５０代くらいのスーツ姿の男性が声をかけてきた。

「ちょっとすみません」

男性はそう言って話しかけてきたんです。
会社帰りの普通のサラリーマンらしき風貌です。

以前にもここで待っているときに道を聞かれたことがあるので、「またか」と思いつつ返事をしました。

「はい？」

すると、男性は僕の予想に反してこう言いました。

「あの、上のほうを見ていらっしゃいますけど、何か見えるんですか？」

どうやら、僕の視線の先が気になってしかたなく、話しかけてきた勇者だったらしい。
僕は、すかさず答えました。

「いえ、別に」

別にってことはないんですけど、こんなマトモそうなおじさんに「あの部屋の天井が虹色で綺麗だったもんで」とか変質者みたいなこと言えないじゃないですか。

そしたらね、おじさんは僕の返事を食い気味に言い放ちました。

「天国からの声か何か聞こえるんですか？」

まさか初対面の人に「そんなわけあるかボケ」とか言えないので、「い、いや・・」とか戸惑った感を出してみました。

おじさんは立て続けに話しかけてきます。

「僕も聞こえるんですよ」

ぇ・・・

何がですか。
怖すぎるんですけど。
もう全力で逃げたい。
こんな普通のサラリーマンのおっさんが何を言い出すのか。

おじさんは言います。

「月からね、声が聞こえるんですよ」

ﾏｼﾞｽｶ・・・

もはや僕は何も返事ができませんでした。
おじさんは構わず続けます。

「こないだなんかね、そこのカレー屋で食べていて出てくるまで待っていてくれたんですよ。カレー屋から出てきたらね、また声が聞こえて・・」

だんだんテンションも上がってきたオジサン。
かなり嬉しそうだ。

そう。これは間違いなく仲間を見つけた喜びだ。
ドラクエで「スラリンが仲間になった！」と言われたときの感じだ。

オジサンがよわりんを見つけたわけ。
しかし、仲間になった覚えはない。

そんなときに妻がちょうど走ってきた。
僕は「すいません、もう迎えがきたので」と言い放ってオジサンを振り切り、車に近づいた。

おじさんは、僕の台詞を空からの声と勘違いしたのか、まったく話を止めずに話しかけてきてましたけど、僕は無視して車に乗ったんです。

妻は、あまりに親しそうだったので会社の人だと思ったそうです。
親しくしてねーし。

皆さん、これは一切脚色のない話です。
八王子で空を見上げるときは気を付けたほうがいいです。