左藤義明～神に見捨てられし男～コミュの第六話左藤家初上陸其ノ弐

私は驚きのあまり気づいたら携帯でムービーを撮っていた

これを他の人にも伝えたいと思ったからだ

しかしその希望は義男によってとざされた

近くにある物を投げてきたのだ
おそらくムービーの撮影開始音に気が付かれたのか
それとも人の気配を感じ物を投げたのか(それもどうかと思うが)

いずれにせよ危機を感じた私はボタンの押し間違えからムービーを消してしまったのだ

すると物音に気付いた義明が一階におりてきた

「酔っ払ってわけわかんなくなってるから気をつけて」

とすまして言ってはいたが
何が悲しくて
わけわかんなくなるまで酔っ払ったのかはとても聞けなかった

その後何時間か宿題をしていたらトイレに行きたくなり

私はふたたび一階におり
義男の姿がないのに気付いたが
気にせずトイレに向かうと
トイレと風呂の空間が同じになっている
(ユニットバスではなく仕切りのようなものがある)

それも風呂からは義男の唸り声が

私は急いでトイレを済ませたが風呂を出て来た義男とこの狭い空間で鉢合わせた

私は目を疑った

なんと右手に持っているのはジンロではないか

アル中どころの騒ぎではない
酒がお友達とでも言いたいのであろうか

だが義男の顔を見ると焦点が定まっていない

というか眼球が左右にずれている

どうやら私の存在に気付いていないらしく
早々とその場を去ったが

気付かれていたら何をされたかわかったもんじゃない

虎穴に入らずんば虎児を得ず

という言葉があるが

私は虎穴に入っただけの
骨折り損のくたびれ儲けであった