JCPと国民統一戦線の建設コミュの高知県知事選挙にあたっての日本共産党高知県委員会の見解【転載】

高知県知事選挙についての見解
（１）これまでの県知事選について
（２）尾﨑県政の評価
（３）今回の県知事選について
2019年9月3日　日本共産党高知県委員会

11月に実施される高知県知事選挙で、現職の尾﨑正直知事(３期、51歳)が4選不出馬を表明し、次期衆院選挙で高知2区から自民党公認で出馬することをめざすと表明した。また自らの後継として浜田省司氏を指名し、浜田氏自身27日に立候補会見も行った。こうしたもとで、日本共産党高知県委員会は、今度の県知事選にあたり、次のような態度と方針で臨む。

（１）これまでの県知事選について

尾﨑県政は、自民、公明、民主、社民の推薦を受けた、いわゆる「オール与党」型の県政であり、尾﨑知事自身も自民党政権の官僚出身で、自民党政治と距離の近い政治家である。同時に私たちは、橋本前県政の積極面を継承する姿勢、党県議団の論戦と県民の運動により、くらしを守る施策での制度的後退がなく、県民の願いに応える積極的な施策を展開してきたことなどから、2期目、3期目の県知事選挙では対立候補を立てず、論戦と運動で県民の立場に立つ側面を前進させるという対応をとってきた。

（２）尾﨑県政の評価

高知県は、国の悪政のもとで、第一次産業の低迷、若者の県外流出など人口減、少子高齢化など厳しい環境におかれ、県民の雇用とくらしを守ることが切実に求められている。また、南海トラフ地震から県民の命と暮らしを守る対策も待ったなしである。こうした県民の命とくらしにかかわる切実な課題に対して、尾﨑県政は、全国で最も弱い財政力、自民党多数の県議会という制約のもとで、一次産業など地元資源に光を当てた産業政策や医療福祉を雇用面からも重視する施策、学校図書支援員の創設、スクールソーシャルワーカーの手厚い配置、耐震リフォームの積極的推進、旧陸軍44連隊跡の購入など、わが党の提案とも共通する積極的なとりくみを実施してきた。国政にかかわる問題でも、米軍機の低空飛行訓練に対して騒音測定器を設置し中止を求め、国が隠し続けた米ビキニ水爆実験被災者に対しては、健康相談会を実施し国に救済を要望している。原発についても「脱原発の方向性の堅持」の立場から、四電の株主総会でも同様の主張をし、伊方原発の1号機、2号機の廃炉に貢献したと言える。

一方で、目先の学力テストの「成績向上」を目標とした競争と管理の強化による教育行政は、深刻な教員不足など歪みを生み出し、わが党は予算修正の提案をし厳しく対峙してきた。スポーツツーリズムへの前のめりの対応も様々な問題を含んでいた。

また、尾﨑県政の最大の弱点は、県民のくらしの厳しさ、地方衰退の元凶となっている国の悪政と対決できないことにある。日本共産党は、農産物の輸入自由化、くらしと営業を破壊する消費税増税など、異常なアメリカいいなり、大企業中心の自民党政治を放置していては、「県政の努力も無に帰する」と、その姿勢を厳しく指摘してきた。しかし、その弱点は期数を重ねるごとに顕在化してきた。

TPPについては、当初は反対を表明したが、現在は「自由貿易は大切」「しっかり国内対策を」と容認に変更した。消費税増税については、8%時には「今あげるべきではない」「景気や弱い立場の人に大きな影響を与える」としていたが、現在は「社会保障の安定財源として最もふさわしい」と10％増税を容認するだけでなく、積極的肯定に踏み込んだ。とりわけ、安倍首相が執念を燃やす憲法改悪について、側面支援する姿勢を強めてきたことは重大である。2期目には安保関連法案について、安全保障環境の変化を理由に「集団的自衛権の一部容認」を主張し、県民に衝撃を与えた。その後は、大規模災害を理由に「緊急事態条項」の創設を訴えるビデオメッセージを改憲派の集会に送っている。最近では、地方の人口減をもたらした自民党政治の批判を抜きに、参院選挙区の「合区解消」を改憲理由として掲げ、県民を改憲の土俵にのせる役割を強めてきている。

（３）今回の県知事選について

尾﨑氏が、自民党公認で国政に転身するということは、現場の実態をもとに国に提案・要望するという同氏の積極面を支えてきた県政という足場を失うことになる。そして、国の悪政の流れに自ら身を投ずるものであり、これまでのような積極的役割を果たせる保障はまったくない。また市民と野党の共同で勝利し、県民の願いを国政に届けて奮闘している現職が存在している高知二区にあえて立候補することは野党共闘に敵対しその打倒を狙ったものである。

後継に指名された浜田省司氏は、立候補表明の記者会見（27日）などで、尾﨑県政の継承を表明したが、最大の弱点・国の悪政への追随という点も継承しかねない危うさを露呈した。大阪府副知事時代に担当したＩＲについて「カジノの面積は3%程度だから」と容認、国保の統一保険料化による全国一の値上げも府知事と一体になってすすめてきた。憲法についても「70年たって一つも変わっていないのはどうか。とにかく議論を」と述べ、改憲を促進する立場に立っていることも明らかとなった。また「自民党県議団からの要請を受けて決意した」「国政与党の自民党から力をいただけるのは感無量」とまで述べていることも重大で、多数の自民党県議団、そして安倍政権の出先機関のような県政になる強い危惧を持つ。そして、この安倍政権の政策の忠実な執行者だった高級官僚を外から呼び込み、県民に押しつけようとするやり方も看過できない。

私たちは、これまでの県政のどの部分を活かすのかで、県政の進む方向も180度違ってくると考える。今後の県政運営にあたっては、県民のたたかい・運動とあわせて築いてきた積極面をさらに前進させるとともに、教育行政のゆがみ等の是正、県民を苦しめる国の悪政と対決する姿勢をしっかりもった県政へと前進させる決意である。

こうした点から、日本共産党高知県委員会として、この間の市民と野党の共同をさらに発展させる立場に立って、幅広い県民のみなさん、他の野党のみなさんとよく話し合い、共同し、対立候補を立て、真に県民のくらしといのちに寄り添うあたたかい高知県政実現のために全力をつくすことを表明する。

以上