グランドモフ・ターキン総督コミュのターキンドクトリン全訳

前から訳してはいたのですが、どうもこちらに掲載するのを忘れていたようなので、改めて投稿します。
本文に関しては、いくつかのバリエーションが存在しますが、私は、『Imperial source book』改訂版からです。

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帝国公式声明 ♯001044.92v

To　銀河帝国皇帝　パルパティーン陛下
from　セスウェナ宙域　エリアドゥ　ターキン総督

親愛なる皇帝陛下

近年、私は、文明化された惑星と、騒乱に満ちた辺境の惑星にたいした違いがなくなっていることに思いをめぐらせております。陛下は、私が根拠のないうわさを繰り返すことを、笑ってお済ましになられることでしょうが、私は、いくつかの宙域が公然と反旗を翻すことを、はっきりと聞いたのです。
　これはまた、あなたの諸計画に対する、若い過激な元老院議員たちをも想起させもいたします。これらのことから、私は、われわれの統治体制について、熟考することにいたしました。私自身としましては、私の統治する宙域の海賊たちに手を焼かされております。彼らが他の宙域の奥深くに逃げ込んでしまえば、私の軍は、他のモフ達や、彼を支持する顧問の何某とのいざこざなしに、彼らを追撃することが出来ないのです。仮に、多くの場所で同時多発的にレジスタンスが組織されれば、彼らが犯罪者集団の例から学ぶことは、疑いようがありません。反乱者が優位に立つよう仕向けてやるなど、愚かしいことであります。
　私は、なんとしても帝国の治安を維持し、治下の星々が陛下のご意思に歯向かう気を起こさせないに足るだけの戦力を整えるべく、艦隊を増強しておられることも、十分に承知しておりますが、すべての星系に等しく戦力を配備するには、大いなる時間を要することでしょう。
　それゆえ、陛下におかれましては、私の提案をお考えくださいますよう、切にお願い申し上げる所存であります。

反乱勢力が確固たる物となってしまうまでに、迅速かつ組織的対応を可能とすべく、オーバーセクターの創設を提言いたします。これは、反乱の発生した星系や、社会不安のある星系と頻繁に連絡を取り合う惑星の多い宙域からなり、通常の宙域境界線に捉われることなく編成されます。１つのオーバーセクターに配置された軍は、脅威がまだ小規模であるうちに、迅速に対応することが出来ることでしょう。
　多数の小さな脅威を一掃することは、しっかりと根を張った１つの抵抗の中心を排除するよりも容易であります。一つのオーバーセクターは、問題のある地域にのみ創設され、彼らには、通常よりも大きな艦隊が与えられるべきでしょう。私は、3個宙域防衛軍程度を平均的な大きさとすべきかと思います。

オーバーセクター司令官には、配下に対して直接上申できる権限を与えねばなりません。これは、政治的機会主義者の顧問達が引き起こす、情報伝達の遅延を避けるためであります。

今あるホロネット送受信機に改造を施し、オーバーセクター内の各宙域軍の司令艦に設置し、同じような設備を陛下の旗艦と、インペリアル・シティにも設置いたします。これにより、陛下の軍は、数時間、数日という時間ではなく、数分で現状に対処することが可能となるでしょう。帝国軍は、敵に対処する暇も与えずに、通信し、1つの星系に戦力を集結させ、共闘することが出来るようになるでしょう。

力そのものではなく、力がもつ恐怖を通して支配を行うこと。もし、われわれが戦力を賢く使えば、反乱を考えている幾多の惑星に、我々が脅威的である思わせることが出来ます。我々は、確度の高い共同作戦と、情報の統制を使ってこれを行います。たとえば、複数のオーバーセクター軍が、一連の殲滅攻撃を抵抗勢力の惑星にかけることが出来たなら、ハイパースペースに逃走可能な艦艇を、互いに援護しあって、排除することが可能となるでしょう。作戦は、エリア内の全ての惑星を探索するため、数日の間行われましょう。しかし、作戦の後、我々はメディアに対して、「一個オーバーセクター軍が一日の作戦で（もちろん、特定の日付は教えずに）同オーバーセクター内における各惑星の抵抗勢力を排除することに成功した」と発表し、圧倒的な威力を誇るわが軍の力を市民達に印象付けるのです。そうすれば、無駄と明らかな抵抗の意思は萎え、レジスタンスが現れる機会は確実に減ることでしょう。

陛下、私が論点としたいのは、銀河市民の大半は、我らの統制の外にあるだけでなく、その数でさえも把握できてはいないということなのです。
私は、スターデストロイヤーの効果とは、その大きさにあると考えます。市民達がスターデストロイヤーを見る時、彼らの中に、その見上げている宇宙船が、彼らを攻撃可能であると思い起こさせるなら、彼らの頭には、ばかげた考えではなく、賢明に物事に当たろうという考えが浮かぶことでしょう。
　私が思うに、この効果は、きわめて利用価値が高いと思われます。普通の市民が物事を論ずるうえで用いるのはシンボルです。数量的分析ではありません。
我々が、きわめて強力で、想定される全ての攻撃を跳ね返し、いかなる戦いにおいても無敵にして不死身の兵器を、市民達に見せ付けるならば、それは、帝国のシンボルとなりましょうし、なれば、幾千万の惑星からなる幾千もの世界を征服するためには、少数か、たった一つ、このような兵器が必要とされるだけなのです。
　この1つの兵器は、全星系を制圧できる兵力を持ち、それが引き起こす恐怖は、まだ見ぬ銀河を統治するに十分なものとなるでしょう。直接指令を下すことの出来る総督のいる時代における、元老院の必要性とは何でしょうか？　旧共和国の残滓を一掃し、各星系を恐怖で持って統治するのです。　
恐怖こそ、我らの最大の武器であります。