タクティクスオウガを活かす！コミュのニバス

①ニバスの存在は、物語とは別に存在している。物語の外から物語をつつきまわし、いじくりまわす。ニバスはそんな役回りをしている。
　ギルダスはどうだったろうか。ギルダスは中心人物ではない、しかし与えられた脇役という役柄をしっかり果たす名脇役だった。彼は物語に不可欠な存在だったといえば言い過ぎかもしれない、しかし彼なくして様々な場面は語られなかった。
　その彼はアンデッドとして主人公の前に現れる。アンデッドとなること、アンデッドとしてデニムたちと戦うこと、アンデッドとして苦しむこと。そのいずれもがギルダスの意思ではない。意思ではない上に物語の主要な流れとはまったく関係がない。流れというのは単なる時系列を意味するものではなく、様々な人物の思惑、時代の流れが汲み取られた上で差される一手一手をこの場合意味している。具体的に言えば、古都ライムでデニムたちを逃そうとした流れと、アンデッドとして現れたギルダスの意思とはまるで無関係である。
　流れと無関係でありながら、ギルダスはアンデッドとして配置される。必要なのはそこにいて戦うだけの役割であり、ギルダスの強さであり、ギルダスの意思ではない。意思がない以上もはや戦うことに意味はない。いや、意思はないのだが助けようとしたデニムと戦わざるを得ない状況に置かれている以上は、実質的に意思に反している。
ギルダスは最期に言う。「そうか……デニム、おまえ無事だったのか……よかった……な…」これは紛れもなく彼の本心である。