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笑えた話コミュの【怖】元水泳部の俺 がこの一件以来、水恐怖症に なった

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407: 水恐怖症1 2007/04/03(火) 02:02:38 ID:LUthtziZ0

俺は元水泳部だ。

だけど、今は水が怖くて幼児用のプー ルにも入れない。 その原因となった話をしようと思う。

数年前の冬、友人のS宅に呼び出され たのは夜10時も回った時だ。

翌日は休みだったし予定も無かったか ら、呼び出しに応じる。 Sは女癖が悪くてイザコザに巻き込ま れる事数回。 自己中だから友人も少ない。 今回も振り回されるのを覚悟だった。

部屋に着くなり、Sが服を投げて寄越 した。 夜釣りに行くのだと言う。 軽装だったから、確かにこのままで 行ったら寒い思いをするだろう。 コートだけで良いと言ったのだけれ ど、汚れると言われて一式借りる事に した。 自己中なSにしては気が利く。

俺とSは体型がよく似ているから、借 りた服はピッタリだ。 Sの服を着て帽子まで被ると、鏡に映 る自分がSソックリで不思議な気分が した。

408: 水恐怖症2 2007/04/03(火) 02:03:23 ID:LUthtziZ0

行き先は車で30分程の沼。 釣りは詳しくないからドコで何が釣れ るという知識は全くない。 言われるままに餌をつけて糸を垂らし た。

月明かりで、水面に浮かぶ浮きが揺れ るのを、ぼうっと眺める。 釣りは誘われればする程度だし、暗い し、会話もないし、暇だ。

それにしても、こんな時間に俺を釣り に誘うなんてSも余程暇だったのだろ う。 ふと思い出してSに訊ねた。

「そういえば、彼女は?」 翌日が休みともなれば、大概は彼女と 一緒に居たはずだ。 特に今付き合っている女はベッタリす るのが好きだとノロケられていたし。

「あぁ、その事なんだけどさ。」 ふいに真面目な顔をしてSが俺を見 た。

「幽霊、信じるか?」 俺の問いを無視した問いで返されたけ ど、Sとの会話では良くある事だ。

ぶっちゃけ俺は幽霊だの妖怪だの信じ ないタチだった。 そう答えるとSは笑った。

「だからお前を呼んだんだよ。」 そう言って、Sは俺が嫌いな(苦手と いう意味ではない)類の話をしだし た。

409: 水恐怖症3 2007/04/03(火) 02:03:56 ID:LUthtziZ0

あの女な、自殺したんだよ。 一緒に海を見に行って、そこで喧嘩し て。 ヒステリーおこしてさ。

俺、頭にきて女を置いて一人で帰って きたんだ。 家に着くなり警察から電話。 女が俺の連絡先を書いた遺書を残して 海に飛び込んだんだと。 近くにいた釣り人が見ていて、すぐに 連絡してきた。

・・・死んでた。 遺体は1週間前に上がったそうだよ。 10日くらいは水に漬かってたみたい だな。 それからだよ。 風呂にお湯張れば、風呂の中に女の 顔。

川を見ればコッチを見てる。 しまいにゃ、味噌汁や珈琲の中からも 出てくる始末だ。 どうやら水が溜まってる所に出てくる みたいだ。

410: 水恐怖症4 2007/04/03(火) 02:05:45 ID:LUthtziZ0

俺は大笑いした。 どうやら、自己中なこの男にも罪の意 識は人並みにあるらしい。 だって幽霊が本当にいるなら死んだ直 後から出るんじゃないか? そう言うとSも笑った。

「じゃあ、お前怖くないよな。実はそ こに今も居るんだ。」 そこ、と指差したのはSから少し離れ た水際だった。

もちろん俺は怖くない。 「ここか?」 立ち上がって、その場所に立った。 Sも立ち上がって隠れるように俺の背 後に立った。

「なんだよ、怖いのかよ。」 普段からは考えられない脅えようが可 笑しかった。

「あの女、目が悪かったんだ。コンタ クト無しじゃロクに見えないくらい。 」 Sがボソボソと俺の耳元で呟く。

ドン、と背中を押されて俺は沼に落ち た。 落ちたといっても、岸と沼の高低差は 30センチも無い。

くわえて、沼は浅くて尻餅をついた俺 の臍までしか水は無い。 「ふざけんなよっ!」 立ち上がって岸に上がろうとしたと き、何かに足が絡まった。

411: 水恐怖症5 2007/04/03(火) 02:06:32 ID:LUthtziZ0

藻かゴミかと振りほどこうとしたけれ ど、足が上がらない。 Sは引き攣った笑いを顔に貼り付けて いた。

「悪いな。」 足に絡まったモノは脛を這い上がって きた。 目をやると、ブクブクに膨れた手が月 明かりに照らされて異様にハッキリと 見えた。

本当にテンパッた状態だと悲鳴も出な い。 手が伸びて腿を這い上がり、腰に届い た時に水から頭が覗いた。

生前の彼女を見たことがあったけれ ど、面影は何一つ残っていない。 腰に抱きついて俺を水の中に引きずり 込もうとする。

助けを求めようと岸を見ると、Sの姿 は無かった。 エンジンの音が遠ざかっていった。 女は完全に俺に覆いかぶさった。 死ぬ。殺される。

そう思ったとき、ふいに身体が軽く なった。 耳元で声が聞こえた。 「また置いていくのね。」 息がかかるくらい近いけれど、空気は 動かない。 「つれてって」 生臭い匂いがした。

412: 水恐怖症6 2007/04/03(火) 02:07:10 ID:LUthtziZ0

体中が氷漬けになったように冷たい。 沼から這い上がって、どこをどう歩い たのか記憶にない。

気が付くと、自宅の玄関で子供みたい に泣いていた。 沼の水を吸った衣類を脱ぎ捨ててゴミ 袋に詰め、シャワーを浴びる。

どんなに熱いお湯をかけても、背中が 冷たい。 布団にくるまっても寒くて寒くて、我 慢できずに元凶のS宅へ車を飛ばし た。

Sも普通の状態じゃなかったのだろ う。 鍵が開いていた。 扉を開けた瞬間、背中から何かが抜け たような気がした。

「おい!S!!」 ふらりと奥から出てきたSは、俺を見 るなり真っ青になって震えだした。 ぶん殴ってやろうと手を伸ばして、S の視線が俺の後ろにある事に気が付 く。

「おまえ・・・水、ないの に・・・・・」 背後から生臭い匂いがした。 ここに1秒でも居たくない。居てはい けない。 目を瞑ってSを突き飛ばし、躓きなが ら部屋を飛び出した。

414: 水恐怖症7 2007/04/03(火) 02:07:40 ID:LUthtziZ0

翌日、友人数人を誘ってS宅に向かっ た。 死んでいたら最後に会った俺が疑われ るだろう。 妙に現実的な事を考えながら友人達に 先を譲る。 やはり鍵は開いていた。

先に入ったやつが呼びかけているが返 事は無いようだ。 上がるぞ、と声をかけて上がりこんで もまだ俺は部屋の外にいた。

「S!おいS!?」 慌てた声に、やはり・・・と溜息が出 た。

自業自得とはいえ、最後まで面倒に巻 き込まれてしまった。 「おい、なんだよコイツどうしちゃっ たんだよ。おい、俺が分かるか?」 様子がおかしい。

どうも死体を見つけ た雰囲気ではない。 覚悟を決めて部屋に入ると、友人達に 囲まれてヘラヘラと笑い続けるSがい た。 目の焦点があっていない。 頭からグッショリと水を被ったように 濡れている。

「シッカリしろ、S!」 ヒヒヒ、と壊れたSは笑い続けるばか りだった。 呆然と立ち尽くす俺の背後に、また生 臭い匂いの気配が立った。

「ありがとうねぇ」

俺は、この一件依頼、海にも沼にも プールにも近づけなくなってしまっ た。

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