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ハロー通訳アカデミーコミュの通訳ガイド(通訳案内士)試験・2007年度問題の解説(一般常識)(その1)

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では最後はいよいよ一般常識です。一般常識問題は例年、大問1・2は「産業・経済」、大問3・4は「政治・文化」に当てられていますが、今年もそれが踏襲されています。また、大問1・2で50点、大問3・4で50点と、「産業・経済」と「政治・文化」が均等に配分されているのも例年通りです。このことから、出題者は2人いて仲良く分担して作っていると想像されますが、その証拠に、大問の指示文をご覧ください。大問3・4の末尾には大問の合計点が几帳面に記されていますが大問1・2にはそれがありません。同一人物であればスタイルを統一するはずで、おそらく別の人物が問題を作成したと思われます。(かといってそんな「発見」が何をもたらすわけでもないのですが・・・・・・)。

◆大問1
小問が4つ。内容は(1)経済援助(2)経済連携(3)「格差」問題(4)規制緩和と、どちらかというと「経済」に重点を置いた問題です。配点は全部で 22点です。

小問(1)の前半は、戦後日本が恩恵を受けた経済援助、後半は現在日本が供与している経済援助に関する問題です。「世界銀行」が出てきますが、「世界銀行」は高等学校用現代社会教科書では扱われていません。かといって「最近の時事問題」とも言えず、「ガイドライン」から逸脱した出題と言わざるを得ません。

「世界銀行」(略して「世銀」)とは「国際復興開発銀行」(IBRD:International Bank for Reconstruction and Development)の通称で、1944年の「ブレトン・ウッズ協定」(第二次世界大戦後の国際通貨金融制度に関する歴史的な協定)に基づき、加盟諸国の出資により設立された国際的な銀行(国連の機関)です。長期資金を供給し、戦後復興と経済開発を援助してきました。しかし、仮に世界銀行について知らなくとも文章を読めば空欄( A  )・( B )を埋めることは十分可能です。

( A )は「北アルプスの観光地」、「発電所」から?黒部ダム、( B )は「日本が世界に誇る高速鉄道」から?東海道新幹線であることがわかります。この2問は「一般常識」というよりもむしろ、「日本地理」や「日本歴史」の知識がモノを言う問題でした。空欄( C )についても、選択肢から?ODA (=Official Development Assistance「政府開発援助」)を選ぶことはさほど難しくはなかったと思いますが、いかがでしょう。

皆さんがご存じないかもしれないのは?PPPと?DACかと思いますが、これらは知らなくても気にする必要はありません。参考までに申し上げると、 ?PPP:Polluter Pays Principleとは「汚染者負担の原則」のこと(マラソンセミナーではやりましたよ!)、?DAC:Development Assistance Committeeは「開発援助委員会」といって、先進国で構成するOECD(「経済協力開発機構」)の下部機関です。発展途上国援助をOECD加盟国間で調整し、促進する役割を担っています。

ODAに話を戻しますが、文中では日本の2005年実績値は世界第2位となっています。ただ、今年4月のOECDの発表によると、2006年実績値(支出純額)では、日本はイギリスに抜かれ第3位になりました。3位転落は24年ぶりのことだそうです。これでODA実績は現在、1位=アメリカ、2位=イギリス、3位=日本となりましたが、日本のあとにフランス、ドイツが迫っており、近々第 5位に転落する恐れもあるようです。

小問(2)は経済連携に関する問題。WTO:World Trade Organization(「世界貿易機関」)が進める多国間の貿易自由化交渉が実質凍結状態に陥るなかで、2国・地域間の「自由貿易協定」(FTA: Free Trade Agreement)や、より広義の経済活動全般を対象とした「経済連携協定」(EPA: Economic PartnershipAgreement)の締結に向けた交渉が今や主流になっています。そうした情勢を踏まえた時事的な出題です。

文脈から、空欄( D )には ?EPA、( E )には?FTAが入ります。

( F )は難しかったかもしれませんが、「2002年に発効」から?シンガポールが正解です。?のマレーシアとのEPAは2006年7月に発効しました。?の中国との経済連携は、今年の4月中国の温家宝首相が来日した際、経済連携強化でやっと合意したところで、まだ協定の締結交渉にも入っていません。

小問(3)は今話題の「格差」問題に関する出題です。しかしこれは文章をよく読むだけで正解できる、文字通り「常識」問題です。2行目に「賃金制度」という言葉もありますから、空欄( G )には?所得、( H )には?年功序列制が入ります。

小問(4)は規制緩和に関する問題ですが、これは「最近の時事問題」でも「現代社会教科書」記載事項でもなく、再び「ガイドライン」を逸脱した難問です。といって頭に血がのぼっても仕方ありませんから、冷静に文章を読んでみましょう。

これまでに「構造改革特区」という言葉をお聞きになったことがあると思いますが、ここで慌てて( K )に「構造改革」を入れないようにすることがまず重要です。文脈から、?構造改革があてはまるのは( I )の方だと気づかねばなりません。( K )にはもっと細かな、具体的な言葉が入るはずです。

次に、( J )にはどうやら法律名が入るらしいということが分かれば、?所得税法と?地方自治法と?旅館業法の3つに候補が限定されます。さらに、続きを読むと、その法律の緩和によって「( K )特区」なるものが誕生したとありますから、空欄 ( K )とセットで考えた方が良さそうですね。そこで( K )に入りそうなのはどれかと選択肢を見ると、?日本語教育?ロボット?グリーンツーリズムの3つにしぼられます。さあ、この3つのうちどれが「特区」になりそうでしょうか?「グリーンツーリズム特区」なんかありそうじゃありませんか。そしてそれが正解です。( K )には?グリーンツーリズムが入ります。とすれば、それに関連する法律は何でしょう。「旅館業法」ですね。( J )には ?旅館業法が入ります。農家などが民宿を営む上での規制がこれによって緩和されました。

◆大問2
文章は1つ、それに関して問が5つの問題です。内容は問1は経済、問2と問5は産業(観光業・航空産業)、問3と問4は時事的な出題です。配点は、全体で 28点を占めています。

問1は「円安・円高」の基本概念がわかっているかどうかの問題。正解は?と?です。?円をドルに交換するとき、1ドルに対して100円用意すればよかったのが120円必要になったとすれば、それだけ円の値打ちが下がったわけですから、「円安になった」と表現するということ、それから、?円が売られユーロが買われれば、円は安くなりユーロは高くなるというのは基本的な理解を試す問題です。(マラソンセミナーを受講していただいた方はバッチリでしたよね!)。

他の選択肢のどこが誤りか簡単に見ていきましょう。?は「円安誘導」が誤りで、プラザ合意後はドル安にするために「円高誘導」が合意されました。実際、プラザ合意のあと日本は「円高不況」に見舞われました。そしてそれに対して政府・日銀は金融緩和を行い、それが度を超したために「バブル経済」に陥ってしまったという戦後日本経済の基本的な流れは、ぜひとも知っておきたい事柄です。

そもそも「プラザ合意」とは何か。そういう疑問をお持ちの方のために申し上げると、1985年9月、米・英・仏・西独(当時)・日の5カ国の蔵相(財務相)が集まり、ドル高を是正するために各国が協力するという合意がなされました。会議が行われた場所が米ニューヨークの名門プラザホテルだったために、そこでの合意を「プラザ合意」とよびます。ドル高時代から円高時代にスイッチした歴史的出来事ですから、1985年という年号とともに、ぜひ銘記していただきたいと思います。

?は「1980年代後半」が誤りです。プラザ合意後確かに円高になりましたが、1ドル=80円台を切るところまで円高になったわけではありません。戦後史年表を見ますと、1988年11月11日に大統領選(共和党のブッシュが当選)を受けてドルが急落し、同17日に東京外国為替市場で1ドル=121円 52銭の高値を記録したとあります。プラザ合意の8ヶ月前の1985年1月の為替レートが1ドル=240円前後でしたから、80年代後半を通じて120円前後に、すなわち円の値打ちが2倍にハネ上がった(円高になった)と覚えておくといいでしょう。ちなみに、1ドル=80円を割り込み、1ドル= 79.95円の史上最高値を記録したのは1995年4月19日のことでした。

?で、各国と前後して日本が変動相場制に移行したのは 1973年2月14日、第一次石油危機(1973年10月)の半年ほど前のことでした。変動相場制に移行したことによって、各国のお金が商品のように売り買いされ、それによってお金の値段が下がったり上がったり(変動)する時代となったのです。

問2。訪日外国人旅行者数の国・地域別順位に関する問題。これは通訳ガイドを目指す者としてはぜひとも正解したいところです。もし3つとも覚えていなかったとしても、韓国が1位であることさえ知っていれば、?か?かの2者択一問題に帰着します。そうなるとあとは、文章をよく読めば正解にたどり着くことができます。すなわち( イ )は最後から2行目にもう一度出てきますから、そこを読めば( イ )は台湾でなければならず、よって正解は?となります。

問3。空欄( エ )を埋める問題。これもほとんど国語の問題です。直前に関東地域と関西地域を除外するような表現があるのに加え、後ろに「国際空港」がくっつくことができる選択肢といえば、?中部しかありません。( オ )は来年の主要国首脳会議(サミット)開催予定地ですから?北海道とわかります。

問4も2008年北海道・洞爺湖サミット開催に触発されて作られた問題ですが、これはかなり意地の悪い問題です。「主要国首脳会議(サミット)」は日本で過去4回開催されたとわざわざ前置きしているため、その過去の開催地を問うているように聞こえますが、実は問題にしているのは一番最近(2000年)のサミット1回分のことだけなのです。どういうことかというと、過去4回日本で開催されたサミットのうち3回(1979年・1986年・1993年)は東京が開催地だからです。問題文をよく読むと、(蔵相会合・外相会合を含む)とあります。これがヒントです。すると正解は?沖縄県(首脳会合開催)・?福岡県(蔵相会合開催)・?宮崎県(外相会合開催)です。そういえば2000年7月のこのサミットは「九州・沖縄サミット」と言われていましたね。

問5は観光の発展にちなむ航空産業に関する問題ですが、これは三たび「ガイドライン」を超える難問です。ただ、マラソンセミナー日本地理では、東京国際空港(羽田空港)が国内線を中心に1日700便以上の飛行機が発着し、1年間の利用旅客数(2005年)は約6225万人、これは日本一だと申し上げたような気がするのですが、いかがでしょう?ということで、まず?が正解です。実は東京国際空港(羽田空港)の年間利用旅客数(2005年)は、アトランタ、シカゴ、ロンドンに次いで世界でも第4位。世界第27位の成田国際空港を大きく引き離しています。

?はあり得ないことが直感的にわかると思いますが、?を正解と思った人は多かったのではないでしょうか。確かに成田国際空港第1滑走路は関西国際空港第2滑走路と並んで日本最長ですが、後半の「別名、新東京国際空港という」というのが誤りです。「新東京国際空港」は「成田国際空港」の旧称であって、通称として使われているのではないのです。「いや、わが家では今でも成田のことを新東京国際空港とよんでいるゾ!」と抗弁しても正解にはなりませんので観念してください(笑)。

残るのは?・?です。一体どちらが正解でしょう。よく飛行機を利用される方はご存じかもわかりませんが、?の「スターアライアンスのネットワークに加盟している」のはANAであって、JALではありません。よって正解は?です。参考までに、「スターアライアンス」とは、ユナイテッド航空、エア・カナダなど、現在18社で構成され、世界152都市842以上の空港に就航する世界最大級の航空会社のネットワークのことです。

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