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ハロー通訳アカデミーコミュの通訳ガイド(通訳案内士)試験・2007年度問題の解説(日本歴史)

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2007年度第1次試験の解説シリーズですが、今回は、日本歴史問題の解説お送りします。

◆大問1

大問1はガイドラインでうたわれている「地図を使った問題」で、短い説明から関連事項と所在(関連)する都道府県を選ぶ問題です。小問は5題。内容は遺跡・政治・文化(2問)・経済と各分野バランスよく分散され、時代も弥生時代・鎌倉時代・江戸時代後期・江戸時代末期・大正時代と多岐に渡りますが、それだけに難易度はそれほど高くなく、学習した成果の出る標準的な問題と言えるでしょう。

既に多くの方がお気づきの通り、(3)の用語正解は?永平寺ですが、所在する福井県が地図中の選択肢にないことから、解答のしようがありません。そこで仕方なく空白にしたり隣の石川県を選んだりした人も多くいると思われますが、そうした人が不利益を被ることのないよう国際観光振興機構に文書で申し入れをしましたので、その結果をしばらくお待ちください。

(1)は埼玉県の?稲荷山古墳で地図上の?が正解です。ここで、せっかく埼玉県と分かっていながら東京都の?を選んだりした人はいませんか?歴史といえどもやはり地理は基礎になりますから、学習する際は常に地図帳を横に置いてこまめに確かめるようにしてください。

さて、稲荷山古墳出土の鉄剣には銘が刻まれており、表側には西暦471年に当たる「辛亥(しんがい)年」という文字、裏側には倭の五王の一人である雄略天皇の本名にあたる「獲加多支鹵(ワカタケル)」という文字が刻まれており、5世紀後半にはヤマト政権の支配が東国にまで及んでいた証左とされます。伝説に包まれた古代天皇が多い中で、雄略天皇は実存の確認できる最古の天皇であり、それを裏付けるのが稲荷山古墳出土の鉄剣なのです。鉄剣であって竹刀ではありません。そこで「竹刀(⇒シナイ⇒471年)じゃないよ、鉄剣だよ」とついでに年号も覚えておきましょう。

(2)シーボルト⇒?鳴滝塾⇒長崎(地図?)は基本問題です。(4)の寺内内閣退陣⇒?米騒動⇒富山県(地図?)の女房たちも有名です。(5)の幕末の開港後の貿易の中心港を選ぶ問題は少し難しかったかもしれませんが、今でもこの5つの港のうち最も貿易額が多いのはどれでしょう。そう考えれば、正解の?横浜(⇒神奈川県⇒地図?)にたどり着けたことと思います。

◆大問2

説明から人物を選ぶ問題です。内容は政治(とりわけ海外との関わりについて2問)・文化(3問)の2本柱、時代は安土桃山時代〜江戸時代初期・江戸時代前期・江戸時代中期・鎌倉時代・大正時代と、やや江戸時代が多い結果となりました。

(1)の正解「雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)」は高等学校用日本史教科書にも出てきません。これは「高等学校用日本史教科書をベースに出題する」というガイドラインから明らかに逸脱している超難問と言わざるを得ません。(2)の「平塚らいてう」、(3)の「高山右近」は日本史の教科書には出てきますが、どちらもやはりガイド試験初登場となりました。

一方、(4)の赤絵磁器を完成させた「酒井田柿右衛門」と(5)の元寇の時の執権=「北条時宗」はぜひ正解していただきたい問題です。(酒井田柿右衛門については、マラソンセミナーでも、なぜ「赤絵」なのか、そしてなぜ「柿右衛門」と名乗るようになったのかお話しましたよね!)

◆大問3

説明から著書を選ぶ問題ですが、内容的には(3)のみが政治史、他の4問は文化史に関する問題です。時代は平安時代・鎌倉時代・江戸時代後期(2問)・明治末〜大正時代に渡り、ここでも江戸時代のウエートがやや高くなっています。

(1)の円仁(えんにん)の著作『入唐求法巡礼行記』(にっとうぐほうじゅんれいこうき)ですが、これも「ガイドライン」を逸脱した超難問です。また、円仁は最澄に師事した天台宗僧で、最澄が十分学べなかった密教を唐で学んで帰国し、天台密教の基礎を築いた重要人物なのですが、なぜかガイド試験にはこれまで登場しませんでした。

(2)の『愚管抄』はぜひ正解できてほしい問題。(4)の小林一茶の『おらが春』、(5)の文芸雑誌『白樺』は、どちらも通訳ガイドを目指す人であれば知っていてほしいレベルです。(3)の『海国兵談』は過去2回出題されていますが、正解できた人は少なかったと思われます。私も出るとは予想せず、昨年のマラソンセミナーまでは授業で触れていたのですが、今年はテキストからも割愛してしまいました。悔やまれます。

◆大問4

政治史に関する問題が3問、文化に関する問題が2問です。時代は奈良時代・室町時代・江戸時代・明治時代・昭和時代と、古代から現代にまたがっています。

(1)の聖武天皇の「国分寺建立」と(3)徳川綱吉の「生類憐みの令」は基本問題ですが、(2)の管領である守護大名=「斯波氏」は過去1回(しかも20年ほど前に)出題されたきりでしたので、予想外でした。「管領」(かんれい)とは将軍を補佐する中心的な職で、細川・斯波・畠山の3氏(「三管領」と言います)が交代で任命されました。ちなみに、選択肢の残りの4氏は侍所の長官に就くことのできた家柄(「四職」と言います)でした。

(4)の大学の創始者に関する問題は、それぞれの大学出身者に有利な問題と言われても仕方ないと思いますが、迷うとすれば?の「津田梅子・東洋英和女学院大学」と?の「山田顕義・日本大学」で迷ったのではないでしょうか。ただ、津田梅子さんが明治時代初期、岩倉使節団に同行した女子留学生第1号であり、まだ満6歳でアメリカに渡って18歳までそこで過ごしたため、帰国したときには日本語を忘れていて苦労したこと(日本語を話せるアメリカ人に「通訳」してもらって助けられたこともあった)、そして日本女性の地位向上のために現・津田塾大学を設立したことは有名です。なお、東洋英和女学院大学はカナダ人女性宣教師マーサ・J・カートメルによって創設されました。

(5)のGHQによる「五大改革指令」ですが、まさかこれが出るとは思わなかったので、マラソンセミナーでは口頭で申し上げただけだったのですが、記憶力の優れた方やそのときメモされた方、通信で何度も聞き直した方は正解できたかもしれません。誤っているのは?の「普通選挙の実施」で、正しくは「婦人の解放」です。そういえば、「普通選挙の実施」だけイヤに具体的ですよね。

◆大問5

さらに同じ形式の問題が続きます。内容は政治史が2問、社会発達史(都市形成史・交通発達史)が2問、文化史が1問です。時代は飛鳥時代・南北朝時代・戦国時代・江戸時代・昭和時代と、これも古代から現代までカバーされています。

(1)の「懐良親王」(かねながしんのう/かねよししんのう)を選ばせる問題はまたまた「ガイドライン」をはるかに逸脱した超難問です。当分(ひょっとして二度と)出ないと思いますので説明は省きます。(2)の戦国大名と城下町の組み合わせでは紛らわしいのが並んでいますが、?の「浅井長政・近江安土」に違和感を覚えればしめたものです。安土城を築いたのは誰でしょうか?織田信長ですね。よって?が選択すべき答えです。ちなみに浅井長政が築いた城下町は小谷(おだに)といいます。

(3)の「五街道」もできてほしい問題です。?の「東山道」(とうさんどう)は古代の律令制による行政区分(「五畿七道」)の一つですから、これが誤り。(4)の「統帥権干犯問題」から「ロンドン」を選ばせる問題は、「浜口雄幸」が過去1回だけ出題、「統帥権干犯問題」も「ロンドン海軍軍縮会議」もこれまで一度も出題されたことがなかったことを考えると、難しかったと思います。(ただし高等学校用日本史教科書には出てきます)。

(5)の伽藍配置に関する問題は1970年以来の出題ですが、「こんなモン分かるわけない!」と投げ出した人はいませんか?もしいたとしたら、何ともったいない!

ここはまず落ち着いて、「薬師寺東塔」という有名な文化財があったことを思い起こしてください。次に、「東塔」ということは「西塔」もあったはずだと考えれば、塔が2つ並ぶ?と?に絞ることができたはずです。さあ、ここからが考えどころです。あわてずに考えてみましょう。?と?の違いはというと、?では2つの塔が中門の外にあるのに対して?では内側にありますね。この違いに気づけば、次にこう考えます。薬師寺東塔は現代に至るまで大切に保存されてきた。そのためには塔が中門の中にあった方が好都合だろうか、それとも外にあった方が大切にされただろうか、と。常識に従えば、中(内側)のはずですね。そしてそれが正解です。正解は?の配置です。(ところで、マラソンセミナーでは薬師寺西塔が1981年に「昭和最後の宮大工」といわれた西岡常一氏によって復元され、その際、塔は自分の重さで時と共に低くなるのを見越して、200年後に東塔と西塔が同じ高さになるよう西塔を30cm高くしたということをお話ししましたが、覚えていらっしゃいますか?私も、一見関係ない話をしているように見えて、ちゃんと本試験でお役に立てるよう「計算」してお話しているのです(笑)!!)

さて、伽藍配置の問題が37年の時を隔てて出題されたということは、この次同じ問題が出題されるのも30年以上後ということになるのかもしれませんが、せっかくですから、伽藍配置について少し補足いたします。飛鳥時代から奈良時代にかけての寺院の伽藍配置の変遷について見るとき、何に着目するかというと「塔」と「金堂」です。「塔」には釈迦の遺骨である仏舎利がおさめられています。「金堂」には仏像(本尊)が祀られています。その「塔」と「金堂」のどちらに重きを置くかということで配置が変わっていくのです。

結論から言うと、飛鳥時代には「塔」が重んじられ伽藍の中心に置かれたのが、奈良時代には「金堂」が寺院の中心に置かれるようになります。具体的に今年の問題の伽藍配置を見ながら説明すると、塔が金堂によって三方から守られている?が最も古く、次が?です。ただし金堂は一つになり、塔の背後に控えています。そして?になると塔と金堂が並び立ち、移行期にあることがわかります。それが?になるとむしろ金堂が中心で塔が脇役になり、ついに?では塔が中門より外に追いやられてしまいました。

古い順に並べると ?⇒?⇒?⇒?⇒?。それぞれどの寺の伽藍配置かというと、飛鳥寺⇒四天王寺⇒法隆寺⇒薬師寺⇒東大寺です。法隆寺は本来四天王寺より古い寺ですが、670年に焼失して8世紀初めに再建されたため「四天王寺式」よりも新しい配置になっています。(ちなみに法隆寺再建説を決定づける発見となった「若草伽藍跡」は四天王寺式伽藍配置だったことがわかっています)。

◆大問6

「ガイドライン」通りの写真問題で、すべて文化史に属します。時代は飛鳥時代・平安時代末期・室町時代・江戸時代・明治時代と、古代・中世・近世・近代と万遍なく出題されています。写真はほとんどハローのテキストに載っているものですから、受講生の皆さんは高得点をお取りになったと信じます。

(1)は少し見づらいですが、? 「救世観音像」です(紅白歌合戦の小林幸子みたいな派手な衣装が特徴でしたね!)。法隆寺夢殿の本尊ですから、人物は?厩戸皇子。「聖徳太子」という選択肢はありませんが、あわてず正解できたことと思います。

(2)は富士山が見えたからといって「富嶽三十六景」に飛びついた人はいませんか?しかし大事なのは題材ではなく、画風です。この静かで親しみやすい画風は?安藤広重のもので、作品は ?の「東海道五十三次」です。この絵そのものは見たことはなくても、画風から北斎か広重かは見抜いていただきたいものです。そのためには手っ取り早い勉強に頼らず、自分の目である程度時間をかけて直に作品を見るという「手間」を惜しんではいけません。表面だけをサラっと撫でただけの浅い学習では、こういうイザというときに応用が利かないのです。

ただ、見抜くコツのようなものを来年度の受験者のために申し上げると、広重の「東海道五十三次」の場合、絵の四隅が必ず丸く落ちています。北斎の「富嶽三十六景」の場合はそのようなことはなく、四隅はきちんと直角に角張っています。また、北斎の「富嶽三十六景」の場合は、たいてい絵の右上か左上に、縦長の長方形の印が捺してあって、中に「富嶽三十六景」と書いてあります。(ただしこんな方法で見分けるのはあくまで邪道ですから、皆さんはぜひ実際の作品に触れて王道を歩んでいただくことを心より希望いたします)。

(3)は?湖畔・?黒田清輝。バックは芦ノ湖、人物は黒田の妻でしたね。(4)は2階建ですから?慈照寺銀閣・?足利義政。今年銀閣が出ましたから、来年度は金閣がきっと出ますよ!(5)はあんな所にどうやって建てたか未だに不明の?「三仏寺投入堂」・?鳥取県。ラジウム含有量日本一の三朝温泉(鳥取県)の近くでしたね。

以上、大問ごとに見てきましたが、今年の問題の特徴と来年度の受験者のために必要な対策を以下に述べます。

1. 写真と地図を使った問題が昨年に引き続き出題された。これはガイドライン通りである。
⇒こまめに地図、写真を使って場所や特徴を確認するという丁寧な学習を常に心がける。
2. いくつか超難問が散見されたが、過去3回以上出題されたような重要事項の学習で70点は取れる問題であった。
⇒いたずらに間口を広げず、重要事項の学習に重点を置く。ただし、表面的な「暗記」だけでは応用力は付かない。
3. 出題分野を見ると、文化史関連の出題が58点、政治・外交史関連が32点、その他が10点であった。
⇒通史を一通り学習し、時代の流れと関連させて文化史の学習に力を入れる。また、時間とお金が許す限り、美術館や博物館、神社仏閣などに実際に足を運ぶ。それは実際にガイドするときにもきっと役に立つ。

◆日本歴史問題解答
1. ? 2. ? 3. ? 4. ? 5. ? 6. 解答不能 7. ? 8. ? 9. ? 10. ? 11. ? 12. ? 13. ? 14. ? 15. ? 16. ? 17. ? 18. ? 19. ? 20. ? 21. ? 22. ? 23. ? 24. ? 25. ? 26. ? 27. ? 28. ? 29. ? 30. ? 31. ? 32. ? 33. ? 34. ? 35. ? 36. ? 37. ? 38. ? 39. ? 40. ?

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