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D・駄/文コミュの名前のない世界

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以前書いていて、途中で埋もれていった駄文。

コメント(3)

ある日、

郵便ポストに一通の手紙が届いていた。

私宛に。

封筒は少し汚れている。

裏を見るが、何も書かれておらず、

差出人は不明。

綺麗に、封蝋で手紙が封印されている。

真っ赤な、まるで血のような綺麗な封蝋。

一瞬、封蝋に目を奪われるが頭を振り、気を取り直して手紙の封を開ける。

中には小さな紙が一枚。

その手紙も色あせ少し年代を感じさせるもの。

文章は至極簡潔。

『この度、貴方様を我が屋敷に御招待します。

ぜひとも、ご参加ください。』

その文章の下には、日時と場所が書かれていた。

見るからに怪しく、

疑うしかなかった。

手紙にも差出人の名前はなかった。


疑うしかないが、

場所を見ると家から近く、

興味半分で、

行くことを決めた。

残りの半分は、

何故か、この手紙に惹かれる部分があったからだ。





このときは、

あんなことになるなんて、

思ってもみなかった。



名前のない世界―
その日は、毎日暑かった日を忘れるぐらい快晴ではあるが、少し肌寒い涼しい日だった。

着いた場所は、とても大きな建物。正確には、お屋敷。
といっても、庭に生えている森に隠れていて、見えている建物は屋根や一部の窓しか見えないが。この建物を囲んでいる塀が奥に続いており、ここがあまりにも大きい敷地であることが分かる。

近くにこんな処があるなんて知らなかった。

私は、もう一度、屋敷を見る。

私がここまで来るのに夢中だったのか、寝惚けていたのか、それとも、この大きな建物を見たことで忘れてしまったのか、此処までの道のりの記憶が、ないー。
家を出てからの記憶が曖昧だ。

自分のドアを開けて、出かけてきたのは分かる。それほど、深く考えこんでいたのだろうか。今となっては疑問が残る招待だからか。
視界の端に映るカーブミラーを見る。『私』が、私を見ている。見つめられている気分。何故かそう思ってしまう。手が微かに震えている。私は、鞄をきつく握った。
私は前の建物を改めて見る。
門はとても大きく古びている。よく映画などで出てきそうな西洋風の門だ。
門から建物は大分歩かなくてはならない。それほど庭が広い。
庭はあまり手入れをされていないのか、綺麗とは言いがたいが。
木や草は乱雑に生えており、玄関に続く道には枯葉が足の踏み場もないほど積もっている。
しかし、此処から見える屋敷の大きさは例えようがない。



招待してくれた方は、凄いお金持ちだろう。

多分、・・・景吾ぐらい。
と、頭の中で、幼馴染の顔を思い浮かべていた。


「何してるんだ、綾。こんなところで。」
「!?えっ?景吾?どうして此処に?」

吃驚した。まさか、今考えていた人が目の前にいるなんて思いもしなかった。

私の幼馴染でもあり、同じ学校の同じクラスの跡部景吾が不信そうに私を見る。

「お前こそ。・・・俺たちは、どこの誰かしらねぇ奴にこの屋敷に呼ばれたんだよ。」
跡部は苦虫を噛み潰したような顔だ。
「そうそう。ホンマは、来たくなかったんやけど。せっかくやし?」
「俺は、跡部たちが行くって聞いたから付いてきたC〜!!」
跡部に続き、忍足侑士、芥川慈郎が綾を見つけ話してきた。
「忍足君、ジローちゃん。日吉君まで」
よく見ると、跡部の後ろには後輩の日吉若もいる。
「遅れて、宍戸さんや鳳も来るはずです。」
綾の視線に気づき、日吉が小さく付け足す。
「そうなんだ。あと、ガックンや萩君や樺地君が来てたら全員集まったのに・・・」

全員の顔を思い出しながら私は呟いた。

いつもなら跡部の後ろには樺地が仕えて、芥川を背負っている。
その後ろで宍戸は鳳と話していて、日吉は嫌そうな顔をしながらみんなの後についてくる。そして、忍足と向日の元気に飛んでいる姿が目に付くはず。その姿を穏やかに笑いながら滝が見ている。
いつもある光景がない。そのことに少し残念になった。
『いつもの風景』が見られないことに・・・。

そんなことを考えていると跡部がいつもとは違う真剣な声で私に話しかけた。
「綾。・・・まさかお前まで・・・」
その声に疑問を思い、顔を上げ跡部を見る。
「?あっ、そうそう私もこんな手紙が来て・・・。」
私は鞄から封筒を出し、跡部に見せた。

跡部も招待されたのなら、この手紙が来ているはずだ。

跡部は封筒を受け取り、無言のまま開け中を見る。
表情は変わっていない。
しかし、私には跡部の表情が変わったことを気づいた。
そして、跡部はただ一言呟いた。
「同じだな・・・。」
「ほんまや。」
忍足も跡部が持っている手紙を覗きこんでいる。

手に持っている手紙は跡部たちに届いた手紙と同じ内容だったようだ。
「・・・この前言っていたのはこのことだったのか・・・。どうしてお前一人で来てんだ!いや、何故来た!」
突然、怒った声で跡部が言う。綾は驚き、うまく言葉が出ない。
いつもの跡部らしくない。
「いや、だって・・・。」
「だってがあるか!差出人が誰だかわからねぇ!正体不明で怪しいだろうが!!」
理由も聞かず、一方的にしゃべる跡部に綾は怒りが込み上げてくる。
「それなら、景吾だって来てるじゃない!!」
跡部のほうが身長が高い為、見上げるようになるので凄みはない。
「俺たちはいいんだよ。」
跡部は綾の顔を見ずに言う。
「何それ!勝手じゃない!」
その動作に綾は更に怒りが増す。
「まぁまぁ、二人とも落ち着きぃ。」
思わず、忍足は二人を止めようとするが、
「「忍足(君)は黙れ(って)!!」」
息もぴったりに二人は声を揃え、忍足を黙らせる。
「ひどいわ〜」
その迫力に押され、忍足は項垂れた。

「・・・あれは?」
日吉の声に全員が振り向く。数人がこっちに向かって歩いてきた。
「跡部か。」
冷静な声で跡部を呼ぶ声。聞きなれた声の主を見るため跡部は後ろを振り向く。
綾は跡部にまだ言い足りないが、跡部が綾から離れたため、そこで言葉を飲み込んだ。
「手塚」
「お前まで呼ばれていたのか。」
手塚は、跡部たちを見る。
「お前まで・・・ということは、手塚お前もか・・・」
その言葉に、跡部は顔には出ていないが驚いていた。
「ああ、俺以外に・・・。」
手塚は振り向き。
「やあ。久しぶりだね、跡部君、忍足君、芥川君、日吉君」
手塚の後ろから顔を出しながら不二が声をかける。
「あ〜!!不二じゃん!!ひっさしぶり〜!!」
不二の顔を見るなり眠たそうだった芥川のテンションが上がる。
「いきなり大声にならないで下さい。芥川先輩・・・。」
近くに居た日吉は芥川の大きな声に耳をふさぎ、睨んだ。
「あんた、変わらないね」
いつの間にか日吉の横に越前が立っていた。
「・・・越前」
日吉は越前が近くに居ても驚くことはなかった。
「なんでか、俺まで呼ばれたんだよね。」
帽子を被り直しながら、誰に言うでもなく越前は言った。
「・・・」
日吉は越前をみる。越前は首を振るだけだ。何故此処にいるのか分からない、と。
「何や?これ・・・なんでこいつらまで。おい、跡部・・・」
忍足はこのメンバー集まった意味が分からない、軽く混乱していた。
「う〜ん、それは分からないけど。実は俺まで呼ばれているんだよね〜。」
その場にそぐわない明るい声。
「「千石!」」
「どうもどうも〜皆揃ってるね〜。」
手を振りながら千石清純は近づいてきた。
跡部は千石に近づく。
「千石、お前もこの手紙を貰ったのか?」
跡部は手に持っている手紙を千石に見せた。
「うん。それと同じ。俺はてっきり何かの懸賞があたったのかと思ったのに・・・。どうやら違うみたいだね。」
最後は意味深く笑顔で千石は話した。
「・・・。」
その言葉に跡部は黙る。

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