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[PBMixi]Bookmark Travelerコミュの【Official】初期情報

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 夏のある日の事でした。
 ここは街の真ん中にある、巨大図書館。
 その大きさは日本で最も大きいといわれ、詳しくない限りは奥まで進めば必ず迷う、とすら言われる大きさです。
 良く貸し出されるような本は入り口、および貸し出しカウンター近くにあるから問題ないのですが、世界各地から集めてきたという 希少本や重要な本などは奥の方に、まるで厳重に監禁しているかのように置かれています。
 毎年、一人は迷い込んで捜索されている、ともっぱらの噂です。中には行方不明になった、なんて都市伝説まで生まれています。
 そんな図書館に、あなたは訪れていました。
 夏の日差しに涼を求めて?
 いつも図書館の常連だから?
 友人や恋人との待ち合わせにでも使ったのでしょうか。
 理由は多々あれど、あなたは間違いなくその日の正午、図書館にいたのです。
 ぶつん、と音を立てて一瞬全ての明かりが消えました。
 停電かな、と思ったのもつかの間、すぐに明かりは復帰したので誰も気には留めていません。
 しかし、不思議な事が一つ起こりました。
 あなたはいつの間にか、一枚の栞を持っていたのです。
 それは槍のような形…少々ディフォルメしていますが、確かに槍の形をした青い栞でした。
 何故だろう、自分だけかな、などと自問しつつも、どこか不思議な雰囲気を持つその栞を、あなたはポケットにしまいました。
 ふと前を見ると、自分と似たような、しかし形の違う栞を持つ人を見つけました。その人は、片手に本を抱えています。
 何だ、自分だけじゃないのか、と小さなため息をしたあなたは、しかし目を見張る事になります。
 その栞を閉じた本にはさんだその瞬間、その人は突然意識を失ったかのように倒れてしまったのです。
 どさり、と音を立てて落ちる本。呆然としているあなたはすぐに意思を取り戻し、倒れた人…ポニーテールの少女へと駆け寄ります。
 抱えてみると、まるで眠っているかのように息をしています。しかし、呼んでも揺らしても一向に意識を取り戻す様子がありません。
 そして、すぐそばに落ちた本へと視線を移します。彼女が持っていた本は、「Alice in Wonderland」。不思議の国のアリスでした。
 半ば直感にも似たフィーリングで、栞の閉じてある所を開いてみると…それは途中から文字の消えた白紙ページになっていたのです。文字は途中から薄くなり、消えていっています。
 ポケットの中の栞が、まるで何かを訴えかけたような、そんな感覚の中。あなたは、同じ所に栞を挟み、そして本を閉じました。
 
 はっと気づくと、そこは森の中でした。見覚えのない、どこなのかも解らない森の中に突然放り込まれて、あなたは困惑しています。
 すると、近くから小さな悲鳴が聞こえました。明らかに女性のものであり、そして声の違いがある事から二人以上だ、という事までは瞬間的に解ります。
 何はともあれ、駆け出していくと、そこには確かに女性が二人……そして、それを何と表現すればいいでしょう、不定形でもやもやとした、真っ暗な闇のような黒の中に、赤い目のような明かりが二つ。そんな不思議なものが複数、彼女たちを囲んでいたのです。
 その内一人は鮮やかな金髪の、エプロンドレスを着た少女です。そしてもう一人は、先ほどの本を抱えていた少女でした。彼女は一本の剣を持ち、しかし慣れていない様子でぶんぶんと振り回しながら、何とかその不思議なもの……明確に少女たちへと敵意を持っているような、「それ」にたたきつけています。
 助けなきゃ、そう考え、しかし彼女のような武器がない、という事にたどり着き、辺りを見回します。
 と、どうやら「それ」に見つかったようです。囲んでいた内の一体が、こちらへと向きを変え、飛び掛ってきました。
 とっさに右腕を振ります。とりあえず襲ってくる「それ」から身を守ろうとしたその動作は、しかし思いよらぬ結果を生みました。
 どさん、と弾かれた「それ」は苦しそうにうごめき、そして消えたのです。
 少々ずしりと重い右手には、青く輝く槍があります。
 そこに本来あったのは、あの栞です。状況を考えると…とても信じられた事ではありませんが、それはあの栞が変化したものなのだ、と考えるのが妥当なようです。
 しかし、そんな事に迷っているより先に、あなたはその槍で彼女たちを助けるために駆け出しました。
 
「ありがと、これでウサギを追いかけられるわ」
 全ての黒い化け物を消え失せさせた後、金髪の少女がそう言いました。
「そんな、気にしなくていいのよ。気をつけてね」
 ポニーテールの少女がそう話し、あなたもうなずきます。
 そして金髪の少女は、手を振って駆け出しました。
 彼女の姿が見えなくなると、少女はあなたへと振り向き、ぺこりと小さくお辞儀をしました。
「ありがとうございました。…あの、もしかしなくてもあたしと同じで、本の中に?」
 本の中。その言葉の意味を図りかねて、そして本の題名に気づきました。
 不思議の国のアリス。先ほどの少女は、確かにその本の表紙に描かれた少女の姿だったのです。
 呆然とするあなたに、少女は眉毛を困らせつつも、笑顔を見せました。
「あはは、うん、仕方ないよ。あたしだって信じられないもの。…でも、たぶんここは本の中だと思うんだ。
 でも、どうやって出れば…」
 うーん、と彼女とともに悩みます。
「…とりあえず、この武器邪魔だよね」
 と、彼女が言った途端、彼女の武器…剣は、瞬時に小さな栞へと変化しました。
 彼女をまねて、邪魔だと思って見せると、あなたの武器…槍もまた、手に入れた時の栞の形へと変わりました。
「あ、ならもしかして帰りたいって願えば」
 彼女は消えました。
 
「とんだ事になっちゃったね」
 あはは、と笑う彼女。結局帰り着いた二人は、栞を挟んでいた部分のページが元通りになっていたのを見て首をひねりつつも、本棚へと戻して出てきました。
 そして駅へと続く道の上、彼女は明暗とばかりに「そうだ」とつぶやきます。
「ね、メアド教えてよ。何かもう他人って気がしないしさ」
 ナンパ?と聞き返すと、彼女はあははと笑いました。
 そうしてメアドの交換を済ませます。彼女の名は、如月美紀(きさらぎ・みき)と言うそうです。
 そして駅に辿り着き、彼女と別れたあなたは、どこかから小さな声を聞きました。
 『助けて』
 その声はとても小さく、か細かったのが印象に残りました。
 
 数日後、新聞で一つのニュースが、小さく載りました。
 『図書館で白紙の本が出回る』
 今まで蔵書で普通の本だったはずが、途中から白紙に変わっている、そんな本が1冊だけではなく、複数にわたって出始めたというのです。しかも、その中にはあの不思議の国のアリスも並んでいるようでした。
 ふと手元を見ると、小さな栞。
 と、同時にあなたの携帯にメールが一通届きます。差出人は、でした。
『新聞読んだ? あたしたちに出来る事って何かな?』
 
 さて、どうしましょう?

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