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なんとかケータイ小説コミュのマサコさんの素敵な一日

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マサコさんは、今日も愛犬のツルゲーネフと一緒にお散歩です。
もちろん、小学校に上がったばかりの息子の健太君も一緒です。

マサコさんは本当は健太君と二人きりでお散歩に行きたいのだけれど、決まってツルゲーネフが付いて来るのです。

散歩の道中には、いつも色とりどりのたくさんの花が植えてある高橋さんのお宅があり、良い匂いを通りに漂わせているパン屋の木村さんのお店があり、庭先でお砂場セットで遊んでいるユミちゃんがいる斉藤さんのお宅もあります。

散歩のとき、先頭を歩くのは決まってツルゲーネフです。
その誇らしげな顔がマサコさんの気に障るのですが、マサコさんはツルゲーネフに花を持たせてあげることにしています。

何しろマサコさんは32歳の大人なんですから。

それに、そのうちにドーベルマンがいる角の木下さんのお宅が近付くと、手前のゴミ収集所に積んである雑誌や色褪せて捨てられてしまった縫いぐるみに気を取られたフりをして、ツルゲーネフが先頭を譲ることを知っているからです。

睨み一つでドーベルマンの尻尾を丸めさせたマサコさんは、駆け出したいような誇らしげな気分でした。
でも、手綱を引く健太君を気遣って何とか思い止まりました。
ツルゲーネフだけならともかく、マサコさんが本気で駆け出したら、健太君は引き摺られてしまいます。

そんな可哀相なことはできません!

子どもの頃のマサコさんはリレーの選手だったのです。
それに、何と言ってもマサコさんは健太君のお母さんなのですから。
マサコさんの首輪の鈴がチリンと澄んだ音で鳴りました。

こうして今日も二人と一匹のお散歩が終わり、お家に向かって揃って歩き始めました。

すると、ちょうど門のところで、会社帰りの良夫さんとばったり出くわしました。

良夫さんは、マサコさんの夫で、健太君のお父さんで、ツルゲーネフとマサコさんの飼い主です。

良夫さんはいつものようににこやかに微笑んで『ただいま』と言いました。
それから、健太君の頭を撫で、ツルゲーネフのお腹を撫で、マサコさんのホッペにチューをしました。

『やだ、良夫さんったら子どもの前で』

マサコさんは少し照れましたが、良夫さんの変わらぬ愛を感じて胸が熱くもなりました。

『さぁ、少し冷えてきたからお家に入ろうか』

そう言って、良夫さんと健太君とツルゲーネフは玄関の扉を開けて中に入って行きました。

マサコさんはみんなを見送って、自分も小屋に入りました。
良夫さんが日曜大工で作ってくれた小屋はなかなか良い出来で、マサコさんの体のサイズにピッタリです。

それから数時間が経ちました。

良夫さんたちが居るお家の中からは、暖かな灯と笑い声が洩れています。
やがて、灯が落とされ、夜の静けさが辺りを満たし始めました。

『健太君はもう寝たかな?良夫さんは飲み過ぎてないかな?』

家族思いのマサコさんが夜空を見上げると、ちょうど流れ星が一つ鮮やかな直線を引いていきました。

『明日も良い一日でありますように』

さっき良夫さんにチューされた左のホッペに手を当てながら、マサコさんは流れ星に向かってそう願いました。

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