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医療ビジネスコミュの医療ビジネスで意外なほど潤うカメラメーカーの“好景気”

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医療ビジネスで意外なほど潤うカメラメーカーの“好景気”
ダイヤモンドOnline 2008/07/03

http://diamond.jp/series/analysis/10022/


「デジカメメーカーが、医療機器で大繁盛している」

 こんな話を聞いたら、不思議に思うカメラユーザーは少なくないだろう。

 高齢化などによる医療機器需要の増大を受け、現在、医療ビジネスは「大隆盛」の様相を呈している。そんななか、気炎を上げるのが、富士フイルムホールディングス、オリンパス、コニカミノルタホールディングス、ペンタックス(今年HOYAへ吸収合併)、キヤノンなど、これまでデジタルカメラで世界的なシェアを取って来た精密機械、情報機器メーカー各社だ。

 世界のデジカメ市場は現在も成長を続けているものの、国内はすでに過当競争に陥っている。そのため、ここ数年のあいだにカメラ事業を止めた企業も少なくない。05年に京セラが国内のデジカメから撤退。06年にはコニカミノルタがカメラ事業を止め、一眼レフカメラをソニーに譲渡した。イーストマン・コダックもデジカメの製造部門を他社に売却している。

 しかし、このような環境下で従来のプレーヤーが元気をなくしているかと言えば、実はさにあらず。各社はカメラ事業と並行して、これまで医療ビジネスでも着々と収益を稼いで来たのだ。モノによっては1台数百〜数千万円もする医療機器は、各社にとって今や一大収益源。すでに世界的なシェアを持ち、利益率がカメラ事業を大きく上回っている企業も少なくない。

 いったい、なぜカメラメーカーが医療なのか?

 彼らが成功している理由は、カメラ事業で培った精度の高い光学・精密技術を、医療機器で存分に活用できるため。「高度なテクノロジーがないと勝ち残れないので、これまでは新規参入者が比較的少なかった」(精密機械メーカー幹部)という市場特性も追い風になっている。

経営資源を集中してV字回復
富士フイルムの「凄み」
 各社の医療事業を分析すると、その勢いは堅調そのものだ。

 その代表例が富士フイルム。デジカメの普及などにより、フィルム事業は2000年頃から急速に落ち込み、今や売上高は全体の数%程度となっている。そこで同社は、04年に中期経営計画「VISION75」を策定。FPD(フラットパネル・ディスプレイ)などの高機能材料、携帯向けレンズなどの光学デバイス、医療機器などの成長分野に経営資源を集中して、数千億円もの投資を行なった。その結果、06年度には見事に「V字回復」を達成。2007年度は売上高(約2兆8470億円)、営業利益(約2000億円)とも、過去最高を記録したのである。

 なかでも成長著しいのが、売上高約2900億円に達した「メディカルシステム・ライフサイエンス事業」。今後2年間で24%の成長が見込まれている。今年3月には富山化学工業を買収し、治療分野への進出も視野に入った。

増収増益を続けるオリンパスの医療事業も、約3530億円規模とかなり大きい。連結売上高の3割強を占めており、営業利益率はじつに3割弱に及ぶというから、驚くほど効率がよい事業なのだ。

 HOYAと合併したペンタックスも、知る人ぞ知る医療機器の老舗だ。合併前の医療事業の営業利益は、全事業の半分あまりを占めていた。「自社の光学技術と相乗効果が望めるペンタックスの医療事業は、じつに魅力的」とHOYAは意気軒昂である。

 依然、デジカメメーカーの印象が強く残るコニカミノルタにおいても、「メディカル&グラフィック事業」を手がけるコニカミノルタエムジーの業績を、医療分野が牽引。売上高は微増を維持している。

独走オリンパスを追撃
「鼻から入れる内視鏡」も人気
 各社とも、医療事業の貢献度はかくも大きい。それでは、実際にどんな製品が売れているのだろうか。

 医療機器と言われてまず思い浮かべるのは、「内視鏡」だろう。参入者が多く、各社はバラエティに富んだ商品開発を行なっている。消化器内視鏡で抜きん出ているのが、世界シェア約7割を誇るオリンパスだ。富士フイルム(フジノン)とHOYA(ペンタックス)がそれに続く。
 
 オリンパスの医療用内視鏡を例にとれば、消化器内視鏡をはじめ、処置具、内視鏡外科手術用機器、治療機器など、ラインナップは豊富だ。消化器内視鏡ではハイビジョン画像を初めて実現し、毛細血管まで鮮明に見えるのが最大のウリ。カメラや顕微鏡事業で培った撮像光学系、画像処理の技術が、いかんなく発揮されているのだ。

 ちなみにこの消化器内視鏡、体内を見るだけでなく、処置具を入れて治療もできる。粘膜の組織採取や止血、早期がんの切除も可能なスグレモノだという。外科分野でも、胆嚢摘出時に腹部を切開せずに、いくつか穴を開けるだけで手術ができるようになって久しいが、それはこういった内視鏡のお陰だ。

 同社がトップを独走できる強みは、「医療現場で長年培ってきたドクターとのネットワークと製品の信頼感に尽きる」(小林哲男・オリンパスメディカルシステムズ経営企画部部長)という。現場の「買い替え需要」さえ見逃さない営業ぶりには、同業他社も舌を巻いている。

 これに対して富士フイルムは、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」に定評がある。「ノドを通す内視鏡と違って吐き気を催さない」と患者の人気は上々で、医療現場の需要もうなぎ登りだ。ペンタックスは、初めてメガピクセルCCD(撮像素子)を搭載した消化器内視鏡システムに注目が集まっている。

医療画像機器に強い
老舗のフィルムメーカー
「医療画像機器」にも、熱い視線が注がれている。X線写真のフィルムや現像機では、富士フイルムやコニカミノルタ(旧コニカ)など、従来のフィルムメーカーに一日の長がある。特にフジフイルムは、「会社創業の1934年直後からレントゲンフィルムの事業を開始し、画像診断の分野では70年以上の実績がある」(加藤久豊・富士フイルム取締役)。実は、日本でカメラ産業が本格的に盛り上がる以前から、基礎となる技術を蓄積してきたのだ。

 現在へと続く快進撃が始まったのは、デジカメの勃興期と時を同じくする1980年代後半頃から。X線で撮影した画像を読み取りデジタルに変換するCR(デジタルX線画像診断システム)や、それらのデータを蓄積して院内のネットワークで共有できるPACS(医用画像情報システム)は、今や全国の主要な大病院に軒並み導入されているスタンダード製品だ。納入実績は、CRが世界約5万7000台で世界トップシェア、PACSが世界約1700サイトで国内トップシェアとなっている。

 一方、富士フイルムと同じくレントゲンフィルム事業のパイオニアであるコニカミノルタも、これに負けじと主に小規模診療所向けに機能やサイズを特化したCR、PACSで営業攻勢をかけている。経営難で減小し続ける大病院と比べて、全国の一般診療所はこの10年間で2万件近く増え続けている有望市場だ。「最近は、裾野が広がる動物病院にも注目している」(椎野富晴・コニカミノルタヘルスケア営業本部病院営業部長)と、市場開拓に余念がない。

 医療画像機器の分野では、低線量で高画質を実現したキヤノンの「X線デジタルカメラ」も人気で、同社はこの製品で大きなシェアを持つ。

 さらに、「眼内レンズ」や「人工骨」が得意なのはHOYAだ。合併前からHOYAが得意としてきた眼内レンズは、白内障で失った視力を回復させるための水晶体、傘下のペンタックスが開発してきた人工骨は、病気や怪我などで失った腰椎、頭蓋骨などの一部を補う人工素材である。「いずれも、今後大きな需要拡大が期待される注目分野」(伊藤直司・HOYA総務部マネジャー)と、関係者の鼻息は荒い。

 まさに大隆盛の医療ビジネスだが、「最近は薬価改定や異業種分野からの新規参入者増加により、市場の見通しはそうそう甘くない」(精密機械メーカー幹部)のも事実。病院の診療報酬が減る一方、自動車メーカーや警備会社大手も、介護ロボット開発や、医療現場の監視システムなどに乗り出し始めている。今後、競争の激化は避けられないだろう。

 とはいえ、目下のところこれほどの強みを持つ彼らのポジションが、大きく脅かされる可能性は低い。世界を席巻したデジカメのみならず、実はこんな成長分野でも気炎を上げているとは、まさに「デジカメメーカー、恐るべし」である。

(ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)




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