ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ミエルヒトコミュの12、幽体離脱

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
--------------------------------------------------------------------------------

「○○県の方から霊障害についての依頼があったんだが、○○日に車を出せるか?」

Sからかかってきた電話に私は今までになく喜んでいた

なんせ、前回の水神の件ではかなりの大金を手に入れてたのだから、Sからの電話は金の匂いがするのだ


もちろん即時にOKをだした


当日になってSの家の近くへ迎えに行くと、彼の横にもう一人男の子がいた


何歳なのだろうか?学ランを着ている

頭はトゲトゲで針のようだ

今風のやんちゃっ子といったところだろうか

車を停めると二人はすかさず車内へ入ってきた


B「よろしく〜Bです」

私「あぁ、どうも。えっと依頼者の方?」

S「何を言ってるんだ?依頼者は他県にいるんだ」

そうか…じゃあ誰だ?


B「俺ッスね、○高の2年なんすよ!Sさんとこの団体で活動してるんっすよ。つまり俺も霊障害者です」


凄いキライなタイプの人間だ!
チャラチャラした奴は凄く苦手だった

なんでこんな奴連れてきたんだ?
報酬金を山分けするときに私の分が減るじゃないか!と言いたかった


Sのおばあちゃんの団体は現在は約13名くらいの人がいるらしい

他県の人を合わせると100人近くになるとかならないとか

様々な霊障害を持つ人たちがいる



カーナビに目的地を入れた後、車内は異様な盛り上がりをみせた

Bが持参したCDを流せと言ってきた

ドゥッドゥドゥッチャカチャカチュー

車内にヒップホップが流れ出した

私「なによこれ?なんて言ってるのかわかんないし」

Bは音楽に合わせてYO!とか言っている

ウザイ…

だんだんイライラしてきた

助手席に座っていたSをみると何故か彼もノリノリだった

歌詞さえ完璧に覚えているようだ

私「Sもこんな音楽きくの?」

S「あぁ僕はヒップホップのサウンドがとても好きなんだ」

似合わない…

私のイライラと比例して車のスピードがあがった

一刻も早くこのうるさい雑音から抜け出したかったからだ




お陰様で目的地には予定よりもかなり早く着いた


そこは普通のマンションだった

すこし拍子抜けした

前回は屋敷のような家だったのに
今回は普通のマンションか…報酬金の期待はあまりできないな

私は半分以上、金の事しか頭になかった


Sは依頼書に書かれた部屋の番号を探した

二階の一番端の部屋だった

インターホンを押すと中から爽やかな女性の声が聞こえる


出てきたのは20代前半の綺麗な女性だった



女性「あっ、霊能者の方々でしょうか」

S「まぁそんな所です。○○寺の住職さんに依頼書を送るよう頼んだのはあなたですよね?」


宗教団体への霊障害についての依頼は基本的にお寺などから寄せられる

お寺では対処できないような霊障害をSのおばあちゃんの団体に依頼するのだ

もちろん宗教によっては、おばあちゃんの団体に対して否定的な者も居るらしい

だから連携できる寺や宗教も限られている
それにも関わらず、年間100を超える依頼があるそうだ。半分は勘違いや軽い霊障害だけれど、それでも50件近くはヤバい霊障害だ。それだけ霊障害は起きている。

女性「今日はよろしくお願いします。どうぞ上がってください」

整理整頓された綺麗な部屋だった

しかも霊体もない

また水神みたいな姿が見えない怨念タイプの厄介な奴なのか…

それでは、私やSだけでは対処できない。 Nさんのような優れた方がいないと

まさかアホそうなBがNさんのように知識を持ち、かつ、能力が優れているのか?

まさか…



B「なぁ、霊体がこの部屋にいるのか?」

私「えっいないけど…霊体は見えないタイプなの?」

B「あぁそうだよ。ほとんど姿はわからない。」

あぁそうだ…じゃねぇよ!見えないなら何で来たんだよ???





女性「あの本当に私大丈夫何でしょうか?あと高校生の方もいらっしゃるんですね…」
宗教団体のくせに平均年齢の若い私たちが不信に思えてもしかたないだろう。女性はすこし疑っているように見えた

S「大丈夫です。よとにかく夜、あなたが眠るまで待たせてもらいます」

女性の了承を得て、合鍵を借りて、女性が眠るまで外で時間を潰す事にした

女性の霊障害がどんなもので、なんに困っているのか、いつもSは私に説明をしてくれない

多分私は見るという分野だけに使われているのだろう 。確かにそれしか脳がないが、少し悲しかった。

私たちは女性が眠りにつくまでファミレスで時間を潰す事にした


私「どういう状況なのか教えてよ!いつも何も教えてくれないじゃない!」

S「あぁ、そうだったね。彼女の霊障害は恐らく幽体離脱だよ」


私「えっそんな事?わざわざ来る必要はあったの?」

S「普通の幽体離脱なら来る必要なんてなかったさ、ただこの女性は特殊なんだよ」


幽霊離脱は心配事や不安な事が多い人が起きやすい

生き霊とあまり変わらないのだが、決定的に違っているのは体と霊体が切り離されていないことだ

生き霊は体から完全に感情が幽体化している。つまり生きている人間とは全く別物のとなる。そして場所や人に憑くものである。以前私の部屋に居たAさんがその例だ。

幽体離脱は体から霊体が切り離れずに浮遊するため夢として脳に記憶が蓄積される確率が高い

だが、幽体離脱は危険な状態ではない
霊体はある一定時間すれば人体に戻るからだ


例えば幽体離脱にはこんな事例がある。ある女性が誘拐され監禁された。それから数週間後警察によって遺体として発見されたのだが、その遺体発見の前日にその女性の母親と妹がある夢を見た。近くの山の中に入る夢で、山の斜面にその遺体となって発見された女性がうずくまり泣いているという夢だ。
この夢を同時に見た母親と妹は警察にそのことをはなし、それがきっかけで遺体発見に結びついた。

これは不安や心配ごとからくる幽体離脱だったのではないかと推測される。ちなみに日本の話ではない。

Bは私たちの会話に興味がないのかずっと携帯をいじっている


S「この女性は幽体消費体質だよ」

私「えっ?どういう意味?」

彼らの宗教団体の中では幽体消費体質型という分類があるらしい


なんでも、霊と同じようにエネルギーを消費する

つまり他の霊と同じで時間が経てば消えてしまうのだという
稀に霊体と人体が切り離されることもあり、生死には関わらないが継続すれば危険な状態になりかねない
霊体が消費される、または切り離され消えてしまうと、精神的にダメージがある。


場合によっては物に接触することもできるため、トラブルになりかねない

今回この女性の霊障害で困っている事は次の通りだ
・幽体離脱した日は必ず、起きてすぐ吐き気がする
・寝ても寝ても何日も寝ていないようなダルさがある
・幽体離脱したとき必ず、ある場所に行ってしまう。その場所には本当は行きたくないのに。





S「それに、他に調べなければいけないこともあった」

私「なにを?」

S「御札だよ、以前にも病院であっただろ?依頼書に御札を高い値で買ったと書かれていた。だからもしやと思ってね。さっき買った御札を見せてもらったよ。僕らが作った物で間違いない。」



以前病院で霊道に無闇に御札を貼り付け、霊の通り道がなくなった時の話しだ。あの時の御札はSのおばあちゃんの団体がつくったモノらしい


御札は無償で提供していたのだが、身内の誰かが霊障害に困っている人に売りつけているらしい

それが現在の団員なのか元団員なのかはわかっていない

B「だいたい、御札ってそんなに効果はあるの?ただの紙に字書いただけっしょ?」
Bが携帯をいじりながら言った
私もそうは思うが、何故かこいつが言うと激しく嫌だ

S「たしかにただの紙だし、霊を消滅させる事が出来るわけでもない。ただ、素材の紙は霊を寄せ付けないし、文字にも魔よけの効果はある。現に御札が貼ってあったあの部屋の周辺に一体も霊は居なかっただろ?ただ、彼女が困っているのは幽体離脱の消費型であって、霊ではない!今回の霊障害であのお札の使い方は間違ってる!」
ちなみに座敷にある障子、あれに使われる紙も霊が入り込みにくい。昔から自然と魔よけに効く素材が家庭内でも使われているのかもしれない。


それから、まがった事が大嫌いなSは暑苦しいほど熱弁していた
私といったら、眠くてしょうがなかった。

時計が二時を回った頃私たちは女性の部屋へ向った

女性から借りた合鍵で部屋をあけた

女性は眠りについている。すーすーと柔らかい寝息が聞こえた。

起こさないように忍び足でベッドへ向う

まだ、変化はない様だ

と思ったが、なにかおかしい

女性は仰向けに寝ているのだが、なんだか白いモヤのようなものが上半身から伸びている



その状態から数十分後だった、ジュルジュルという音は無かったが、そんな音がしてもおかしくないような、異様な動きで霊体が女性からゆっくりと這い出した

まるで、幼虫がサナギから飛び出す感じだ

さらに異様だったのが全体的に霊体が伸びているのだ

マジックミラーみたいに細くみえる

目と鼻と口の間隔が伸びて手の平の分ぐらい開いている

そして胴体が全てが霊体として現れた

それは垂直に、真っ直ぐ低空飛行しながら壁を突っ切ってマンションの外に出て行った

霊体は体とつながったまま伸びている


マンションは一番端だったため、壁を越えると外だ



Sは霊体が出て行った壁に押しピンを刺し印をつけた。何のためかわからないが、霊体がどの位置から出て行ったのかの把握するためだろうか
私たちは部屋から出て霊体を確認した

霊体は壁をすり抜けていたのだが、すり抜けてすぐ、重力に従うように真逆さまに地面に向って垂れていた

S「B、もうすぐ出番だからな。」

B「任せてくださいよ〜」

妙にはりっきているが彼に何が出来るのか?

S「おい、今から君は霊体の姿の正確な情報を伝えてくれ」

私「へいへい」


女性の霊体は餅をびょーんと伸ばしたようになっていた。ちなみに、足は女性の体と繋がっており胴体が離れて伸びていっている。
先端は太く、胴に向かって細くなっている


私たちは徒歩で霊体を追いかけた

霊体はご丁寧に道にそって進んでくれているため見失う事はなかった



3つくらい信号を渡り、広い道路に出た
霊体はというと顔のあたりは見えないくらい先の方を移動しており、伸びた胴体を追って進んだ

私の目には霊体は青紫に見えていた

Sには白っぽく見えており、Bには全く見えていない

途中、Bが何かにつまずいて転んだ

私「なにやってんの?」
すこし強い口調でいってしまった
それがいけなかったのかBは少し悲しそうな顔をした

S「しかたないよ、Bの霊障害なんだから」


転ぶ事が霊障害?


B「俺の霊障はさぁ〜【触れる】ことなんだよ。よく何もないところで転んだり、何かにぶつかったりしたからさ…ほらお陰で傷だらけだ。」

Bは頬やおでこに古傷があった
それに、頭にもキズによってできたハゲもあり、ツンツンの髪の隙間から見えた
B「そのせいで、バナナってあだ名付けられたんだ」

私「バナナ?なんで?」

B「なにも無い場所でバナナの皮踏んだみたいに転ぶからな。小さい頃から他にもいろんなあだ名付けられてバカにされたけどな」


笑いながら話す彼は強いと思った。
なんかさっき冷たい言い方してしまったかもしれないな。
すこし反省した





霊体はグングンと伸び、団地に入っていった

アパートが立ち並び、中央には小さな公園もある


その公園に伸びた胸の部分と左腕が取り残されていた。
首から上と右肩から右腕にかけてがさらに伸びている。顔と腕の部分がさらに伸びて行ってしまっている。

S「そろそろヤバいと思う。昔にこのタイプの幽体離脱者に出会ったことがあるが、この距離を移動した時にはもう切れていた。この霊体も、もう切れてもおかしくない」

キレてしまうとどうなるのか、決して死に至るまで霊障害出はないが、精神的な安定を保てなくなり体調を崩したりするのは必須である。さらにエネルギーを消費するということは、他の霊体から影響を受けやすくなってしまうため、二次災害的な霊障害を及ぼしかねない

私はSとBに霊体の詳しい情報を伝えながら追いかけていた

私「霊体をどうやって元に戻すの?」

S「Bが捕まえてそのまま頭を連れ戻す」

捕まえるって!?

Bは霊体に触れることができる
厳密には触れているのではなく、自分の霊体がむき出しになっており、それがくっつくように混ざり合って接触するらしいのだ


ちなみに私も霊体がむき出しのため接触するような事もある
しかし常に剥き出しではないためだろうか、触れることが出来ないことの方が多い

私「じゃあ部屋に居る時に引っ張って霊体を連れ戻せばよかったんじゃない?」

私が下に伸びる霊体を指差した

S「先端のエネルギーが濃い部分をつかまなきゃいけない。そうしないと千切れてしまう。それに霊体がどこから出て行くか確認しなければいけなかったため、先端の頭をつかむことが出来なかった。」




霊体が千切れると体内で霊体が完成するまで時間がかかる。と言う事は、かなり体に負担だ。Sが心配するのも無理はない。



それから霊体の頭と右手を見つけた

あるアパートの一階の部屋の壁にへばりついている

私「誰の部屋かな?」
S「さぁ、でもこの部屋に住む人が悩みの種なんだろう」


私はBに霊体の位置を指示した

Bは普通に霊体を掴んだ

そっと胸のところで霊体を抱き締めるように大事に持っていた

そのまま来た道を戻る

家に戻ると、霊体は自ら人体に戻った

来た道を戻るにつれて先端部分に伸びていた霊体がニュウルニュウルと集まってきた



家についくと霊体が自ら女性に戻った。
しかし女性は起きなかったので、私たちは一旦部屋を後にした



朝までファミレスで時間を潰す事にした

私「そういえば、B学校は?大学生は春休みだけど、あんた普通に高校はあってるよね?」

B「学校は時々しか行ってない。やっぱ霊障害しんどいしさ。」

そう言ってBは笑った

やっぱりコイツのキャラは苦手だが、すこし自分とダブる部分があった。


Sは一晩中、「霊障害に負けず高校にはちゃんと行くべきだ。」と熱弁したいた

だけど、苦しみのわかる私は学校に行った方が良いなんて言えなかった


朝になり、私たちはファミレスのテーブルに頭をつけて寝ていた。

頭はボサボサで、見せられるようなものではなかった。


それから女性の部屋へ向った

朝早いというのに女性は綺麗な整った髪で現れた

S「まず、聞きたいことがいくつかあります。あなたが夜中に訪れるあのアパートには誰が居るんですか?」

女性は少し考えた後、言っている意味がわかったらしく話し始めた

女性「私の霊体があのアパートに行ってるんですね。なんとなく夢で覚えています。昨日はあなた達も夢に出てきました。あのアパートには少し前に付き合っていた人が住んでいます。二股を掛けられていて、もう一人の女性に子供が出来たとかで結婚するそうなんです」

S「そうですか・・・・。あなたの幽体離脱したときの霊体は他の人よりも消費が激しく、かつ、人体から離れる危険性が高いです。そこで、この部屋から霊体が出られないようにします。」

そういってSはカバンから御札を取り出した

女性「あっそれ!」

S「そうです。あなたが以前、高い値段で買った御札です。言っていませんでしたが、これは私の団体で作った御札なんです」

女性「あの、お金はないんです。払えません。それにその御札貼っても効果なかったし。」

S「無料ですよ。すこし事情がありまして、この御札が売買されているらしいんです。今回は正しい場所に貼れば効果はあります」


そういって、Sは幽体離脱した晩に壁に押しピンで印をつけておいた場所に御札を貼った

S「あなたの霊体はココから出て行きます。ココを塞がなくては幽体離脱も防げません。他の場所にいくら御札を貼ってもダメなんです」

それから、大事な話があると言われ、私とBは外に出された

どうやら、御札の話をするようだ

私「ねぇ、学校楽しくない?」

B「どうかな・・・」

私「そっか」

それ以上なにも言わなかった
いい言葉が見つからなくて

私「学校行かなくてもさ、団体にはいろんな人が居るから、高校以上の体験が出来るよね!仲間もいるしね。」

私が無理して励まそうとしているのがわかったのか、Bは少し笑っていた


それから少ししてSが険しい顔をして部屋を出てきた

御札を売りつけた人物がわかったのか。聞けるような雰囲気ではなく、無言のまま車へ戻った







地元についてSを車から降ろした後、少しの間Bと二人で話す時間があった

私がどんな高校生活をおくっていたのかという質問が多かった

私の高校生活での霊障害とのうまい付き合い方について語った

B「学校はつまんないけど、今度のテストくらいは受けに行ってくるわ」

そういってヒップホップのうるさい音と共に彼は帰って行った。

感想はこちらからお願いします。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45229698&comm_id=4470901

13、キツネ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45229880&comm_id=4470901

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

ミエルヒト 更新情報

ミエルヒトのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング