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怪談百物語コミュの第五十四話 廃屋の病院

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 もう、10年近く前の話だろうか?沖縄から上京して来た友人達と
心霊スポットに行ってみようと言う話になった。正直、僕は余り気が
進まなかった。面白半分でそう言う所に行く事は、余り良い事で無い
事を知っていたからである。

 しかし上京組と、その病院が在る地元の女の子達とに押し切られて、
しぶしぶ仕方なく行く事になった。勿論、夜中に行く、と言う事で
車を手配して、「君津幽霊病院ツアー」を決行するに至った。

 僕は「視える」と言う事で誘われたようだった。まあ、差し詰め
「お化け探知機」と言うところか。w 何か変なものを視たら周囲に
教える、と言う手はずになっていた。w

 問題の病院は、千葉県の君津市に在った。「君津海岸」と言う海水浴場
から割と近い所に位置する病院だったと思う。何年か前、病院が廃院に
なって閉鎖された所らしい、、、、。

 地元では割と有名なスポットらしく、「肝試し」とか「納涼大会」の
名目で、物見遊山の人達が集まってくるらしい。メンバーの中の一人に
千葉の女の子が居て、その子の案内だった。



 結構遠かったのを憶えている。都内を10時過ぎに出発して、到着
したのが夜中の2時過ぎだった。不馴れで土地勘が無い為に途中で
迷子になった事も有るが、随分都心から離れた所だった事を憶えている。

 問題の病院は、高いコンクリートの塀で囲まれていた。しかし、塀の
所々が破壊されて鉄筋がむき出しになっており、出入り出来るように
なっていた。そこもバリケードや有刺鉄線が張られているのだが、誰が
壊したのか、更に壊したり破いたりして、結局隙間だらけになっていた。

 なる程、物見遊山の連中がこうやって壊して侵入経路を確保している
のだろう。門扉もとうに無くなって板張りになっていたが、それも誰か
が叩き割ったりしたのだろう、人一人が通れる大きな裂け目が口を開けて
いた。



 建物はよくある白いコンクリート製の建物だ。これと言った特徴も
無い。窓ガラスはあちこち割れており、夜風に棚引くボロボロの白い
カーテンが、この建築物の荒廃を屋外から見る者に知らしめていた。

 門扉の割れ目から侵入しようと言う話になり、我々は門扉の前に
佇んでいた。パーティーは全部で5人。男(オカマ2人、ノンケ1人)
3人と女2人。

 先ずは僕が外から様子を伺う。割れた沢山の窓をつぶさに観察して行く
と、、、、、「居た」!室内の漆黒の闇の中に、白い靄のように浮かぶ
霊体。あるいは闇夜の烏のごとく、漆黒の闇の中に更に黒々としている、
黒い固まりの霊体、、、。

 よく目を凝らすと居るわ居るわ、、、。物凄い数だ。ゴマンと居る。
皆一様にこちらを観察している。「又変な奴等が来やがった」とでも
言うかのように、、、。

 友人の一人が僕に聞いた。「居る、、、、よね?」

 僕は答えた。「一杯居るよ、、、、凄い数だよ。」

 僕に聞いて来た友人は「視える」らしいのだ。どこそこの窓のカーテン
の陰に居る、等と言っていた。確かに指摘された所には霊体がおり、
確かに彼は「視える」らしい。

 さあ、皆で一斉に入ろう!と言う段になって、僕と一人の女の子は
辞退した。だって、、、、確実に危険なんだもの。狼の群れの中に
飛び込む様なものだ。あんな得体の知れないものがゴマンと居る様な
所に入ったら、何が自分に取り憑くか分かったものでは無い。もう一人の
女の子はどうやら霊感体質らしく、建物を視ていたら具合が悪くなって
きたらしい、、、、。急に貧血を起こしたのだ。

 辞退した女の子は「気持ちが悪い、吐きそう、、、。」と言って車で
休む事になった。僕はこの先に行くと命の危険を感じる事と、女の子
独り残すのはどうかと言う事で、車番兼彼女のボディーガードと言う
名目で病院の外で待つ事になった。



 僕ら2人を残して、3人は大きく開いた闇の中に飲み込まれて行った。
僕は一応止めたんだが、折角来たんだし、と言って3人は建物の中に
入って行った。

 他にも来ているグループが居て、車が2台停まっていた。まあ、誰か
他にも居るなら、大丈夫かな?と思って彼等を見送った。

 路上で煙草を吸いながら、改めて建物を眺める。敷地全体に障気が
満ちている。侵入者を拒む空気が見て取れる。ここは入ってはいけない
のだ。こういう所は人間の誕生から死迄全てのドラマが起きる。念も
残るだろうし、残留思念もゴロゴロしている。こういう所に何も出ない
方がおかしいのだ。

 一応、何か有ったら携帯を鳴らす、と言っていたので、もし何か有事の
際には、飛び込む覚悟ではあった。しかし、、、さっき迄アンテナが
立って居た携帯が圏外になっている、、、、、、。これはどういう事
なんだろうか。





 暫く3人は戻って来なかった。車の中で休んで居た彼女と世間話を
しながら時間を潰す。彼女曰く、「この建物の前に来たら、いきなり
頭が痛くなって吐き気が催して来た」らしい。建物のそこここに何かが
居るのが分かるのだが、それらがこちらに向かってそこはかとない悪意を
持って見つめているので、余計に気分が悪くなってしまったらしい。


 僕達は心細くなりながらも、3人の帰りを待っていた。僕は煙草を
くゆらせながら、彼女は自動販売機のお茶を買って来て、彼女に勧めた。
彼女も溜め息を吐きながら、ボンヤリと病院を眺めて居た。




 暫くすると、男女が数人小さな悲鳴を上げて門扉の所から出て来た。
友人達かと思い、近付いて行ったら違うグループだった、、、。

 声を掛け、中はどうだったか聞いてみた。すると彼等は一様にここは
ヤバい!何か訳の分からないものが沢山居る、長居は無用だし、二度と
ここには来たく無い。と言って足早に立ち去って行った、、、。


 段々、残された僕達は不安になっていった。携帯は相変わらず圏外
だし、連絡の取り用も無い。既に1時間以上が経過している。流石に
ヤバい、と思い彼女を残して突入しようと覚悟を決めた。彼女にその
意志を伝えると、彼女も来ると言う。独りで残されるのは恐いし、3人
の事も心配だから付いて来る、と言うのだ。

 僕らは決心して門扉の所迄来た。漆黒の闇が大きく口を開けている。
どうせこの向こうは魑魅魍魎が跋扈しているのだ。何を視ても驚かない
覚悟をして、粗塩を入れた小袋とまさかの時の護摩札を握り絞めた。



 と、、、、その時。

 「キャー!ワー!」と男女の悲鳴がこちらに向かって走って来る。
病院の門扉の向こう、大きくポッカリと口を開けたエントランスから
人影が飛び出して来る。友人達だった、、、、。

 彼等は僕らを認めると、門扉をくぐり抜けて走り寄って来た。

 3人は息も絶え絶えで、僕らの所に辿り着くと路上にヘタり込んだ。
荒い息が収まると、彼等は口々に建物内で起きた出来事に付いて語り
始めた。



 要約すると大体こんな内容だった。


 最初彼等は門扉をくぐった後、ガラス戸が綺麗に壊れてポッカリと
口を開けたエントランスから中に侵入したらしい。中は完全な廃虚で
割れたガラスや廃材、様々な医療機器が散乱して居たらしい。

 それらを横目で見ながら、受付を通って各診察室に入ってみたらしい。
常に何かの気配が付いて回り、視線を感じて無気味だったが、一応全て
見たいので奥の方へと入って行ったと言う。

 ナースステーションに辿り着くと、人っ子一人居ないのに、ラップ音が
ピシピシ鳴り止まなかったそうだ。足音が聞こえたり、人の気配がすぐ
後ろ迄迫って来たり、3人は追い立てられるように二階へ行ったようだ。

 そして2階に在る分娩室に辿り着いて中を散策していたら、突然、
宙を人魂が飛び交い出したと言う。青白くて儚い心細気な炎は、数十秒間
診察台の上を漂っていたと言う。

 腰砕けした3人はほうほうの体で分娩室を逃げ出し、待ち合い室の
ベンチで煙草を一服し、帰ろうか?とも思ったらしいが、止せばいいのに
各病室回りをしていたらしい。恐いもの見たさとは、将にこの事だ。

 各病室は当然、誰も居ないのに、何かの気配がしたと言う。懐中電灯で
照らすと、一瞬何か白いものがベッドの下に見えたので、恐る恐る覗いて
見たら足音が足早に去って行ったと言う。そう、足だけがチラリと
見えたらしい、、、、。

 そんなこんなで巡回しているうち、3階に到達した時の事。突然、
男女数名が悲鳴と共に廊下を駆けて来たと言う。

 幾分3人はホッとして、声を掛けたら、向こうも安心して3人に
話し掛けて来たらしい。彼等が言うには、この先の手術室がヤバい!
この先は行かない方が良い!と言ったらしい。

 止せば良いのに、3人は彼等に別れを告げると手術室に向かったと言う
のだ。先に出て来た集団は、この時の連中だったのだろう。



 手術室はガランと広くて、部屋の隅に医療機器の残骸が転がっており、
手術台もライトも埃を被って残って居た様だ。

 中を観察して、奥の間(備品を置いたり控え室になってたりする所)に
来たら、誰かが居る事に気が付いたらしい。又誰か居るのかな?と思って
懐中電灯をかざすと、闇の中に白い人影がボンヤリと浮かんだ、、。

 髪の長い女性だったらしい。声を掛けようとして、近付いて行ったら、
彼女の体は微妙に透けていたと言う。後ろ姿だったので、顔は分からな
かったらしいが、俯き加減でこちらを徐に振り返ろうとしたようだ。

 3人は悲鳴を上げて脱兎のごとく手術室を逃げ出し、階下へと急いだ。
きっとパニックになって混乱していたのだろう、、、。1階では無く、
地下迄降りてしまったのだ。

 気が付くと、3人はホルマリンの入った瓶が埃を被ってゴロゴロ転がっ
ている部屋に居たと言う。(標本室とか、病理学室とかの類いだろう)
そこも何だか薄気味が悪いので、出ようと思って続きの間に慌てて
入ったらしい、、、、。

 するとそこはだだっ広いフロアで、壁面に沢山の金属製の戸棚みたい
な物が有ったと言う。壁面収納みたいになっていて、金属製の大きな
トレイみたいなものがそこここに飛び出して居たそうだ。(所謂、ここは
霊安室だと思う)

 夏だと言うのに肌寒い部屋で、僅かな水音と人がボソボソと話す声が
聞こえたと言う。それも最初は1〜2人だったのに、あっと言う間に
ガヤガヤワイワイの大合唱になったと言う、、、、。

 恐さの余り腰が抜けてしまった女の子を男二人で両脇で抱え、元来た
道を必死に引き返したら、階段の所に戻って来たので、なんとか1階の
フロアに辿り着いたと言う。

 3人は青ざめた顔で事の一部始終を話し終えた。



 僕は言った。

 「早く帰ろう」

 僕は彼等の背中に粗塩を振り掛け、御祓いのまじないを唱え、彼等を
促して出発した。

 やっぱり行かなくて良かった。w あんな所、入ったら最後どんな目に
遭うか分からない。「君子、危うきに近寄らず」と言いますが、本当に
そう思いました。

 車中では皆無言だった。洒落にならない恐い目に遭って、テンションが
下がり捲っていたのだろう。



 東京に辿り着いた時は、もう朝の6時を過ぎて居た。僕らは新宿の
ファミレスで飯を食う事にした。

 3人は病院で撮ったと言う携帯の写メールを再生した。殆どがどれも
これもフラッシュ焚いてるのに真っ黒だった。

 だが、、、数枚ボンヤリと写っているものがあり、皆でよく見てみると
そこには、無数の光の点が写し込まれて居た。霊安室の写真だと言う。
他にも奇妙な顔の様なものが空中に写し出されていたり、物陰に人らしき
影が写っていたり、、、、、、。

 一同はシ〜ンとなってしまった。やっぱりあの時見えたものは、錯角
では無くて実在したものだったのだ。


 僕は一言言った。

 「それ、今すぐ削除しちゃいなよ!」

 しぶしぶ彼等は削除していた。w 

 残しておくと碌な事無いですから、、、、。



 当時のメンツ、僕を除く4人は現在アメリカとカナダに散って暮らして
いる。留学した後、向こうで就職して生活しているのだ。

 極たまに連絡が有るが、向こうでも「お化け屋敷」があるらしい。
物見遊山で行った、と言う話を聞いた。




 全く懲りない連中である、、、、。(苦笑)

コメント(6)

免許をとりたての20歳前後の頃はみんなよく胆試しで廃屋やスポットに行きますよね。

オレも10年くらい前に、有名なトンネルに行って若い女性の霊が目の前を横切るのを見たことがあります。よく「お化けには足が無い」とか言いますけど、あれってなぜそんな考えというか概念ができたんですかね?オレが見たのはまったく逆で足から上に向って透けて見えました。
深夜2時で、その女性が横切った先には5mくらいの急な斜面があってその上は大きな霊園でした。
帰りに高速道路を走ってたら事故が起きたらしく突然渋滞。
起きたばかりらしく、周りの車からみんなが降りて前方にドヤドヤと歩きだしました。
50mくらい先の中央分離帯の脇に、運転席側のドアが取れてしまってるサーフが完全にひっくり返ってるのが見えました。
仲間に車で待つように伝えて、ひとりで見に行こうと20mくらい行ったとこで、女性が事故車の15mくらい手前に倒れているのが見えたので、一旦車に戻って女の子は残るように言いつけて男友達と現場まで行きました。
さっき見た霊と同じ人かどうかはわかりませんが、人生で初めて葬儀場等以外の場所で死体を見ました。あれは間違いなく死んでいたと何故か直感的に感じましたね。

『「人」とい名の物体』という感覚でした。

正直、霊より事故のほうが恐かったです^^;
 早速、カキコ有難うございます!そうですね、足が無いと言うお化けも
居ますが、大抵は有ります!(実体験)

 江戸時代の幽霊画の大家、円山応挙先生の描いた幽霊画が最初だと
言われています。w それ以前の幽霊画は足が描かれているものが普通
ですね。「足が無い」と言うのはガセビアです。w

 そうねえ、確かに死んだ人間より生きている人間の方が恐いしさ、
それが普通だわ。電車の轢死体、自動車事故で潰された死体、溺死体、
どれも只の物体でした、、、。

 今迄見た現実の死体はどれも凄惨なものでした。命が有るから人間で
あって、死んでしまえば只の物体なんですよねえ、、、。

 肉体と言う宿を亡くした魂が、当ても無く彷徨っているのが幽霊、
なんでしょうね。

 実害が無ければ良いのですが、あいつらの中には生きている者への
嫉妬を持って接する者も居るのよね、、、、。実害を被ると分かるわ。
寝かせても貰えないもの。w 今度はそう言う話も書かなくてはね?
病院って、最期を迎えるヒトが多い場所ですもんね。
絶対、死んだかどうかまだ分からないで漂っているヒト達が
たくさんいるに違いありません。

一昨年、祖母が入院してて亡くなったので、病院に通っていたのですが、なんとなく感じる瘴気は、建物が古かったから、というものだけではなかったのでしょうね。
もちろん、ボクは、何も見えませんでしたけど。

富士急ハイランドに病院をテーマにした広大なお化け屋敷が
ありますよね?
霊感のないボクにとっては、あっちの方が怖いかもしれません苦笑。
masaT>病院はどこも大抵居ますねえ。勤めてた人は大抵視てるしね。
    病院関係者が集まると、その手の話は多いです。w

    富士急、、、、そんなお化け屋敷あったっけ?一回行って
    みたいわね。絹を引き裂く乙女の悲鳴を上げるの。w
はじめまして、初書き込みです、
僕も一度ダムで水死体が発見された時に偶々仕事に来ていて見てしまったことがあります。確かに人の姿ではなかったですね、でもその時一番印象的だったのは、田舎のダムだったので野次馬も少なかったんですが、その中で一人のおばあさんが「可哀想にねぇ、辛かっただろうに、でも見つけてもらえたし後は迷わず行くんだよ」って全く無関係の遺体に対して涙を流して手を合わせていたのを覚えています。祈りとはああいう物なのかと思いました。

富士急の「旋律迷宮」は以前使われていた病院をそのまま移動してきてお化け屋敷にしたと言う、いわく付きのお化け屋敷です、僕は苦手なので入った事はないですが、スタッフが本物を見たとか、出て来る筈のないものが出て来たとか噂が出てますよ。僕自身、建物自体が嫌な感じがします。
moridon>初カキコ有難うございます。そうですね、僕も土左衛門は
     リアルで見た事有るんですが、あれは人間の形をしていない
     わねえ。

     本当は、縁も縁りも無い人に手を合わせると、くっ付いて 
     来ちゃうから良く無いのですが、そう言う縁も縁りも無い人に
     祈って貰うのって、実は凄く幸せな事なんですよねえ。
     きっと凄く良い人なんだぜ、その婆ちゃん。

     「旋律迷宮」、そう言う名前なんですね?多分、僕はダメ
     です。w 趣味が悪いですね〜。病院の建物をそのまま持って
     来るなんて、、、。

     絶対何か出ますよ。場所を移動させられるわ、見せ物に
     されるわ、きっとそのうち関係者に碌な事が起きないよ。w
     安く買いはたいて、予算を節約、しかも話題作り兼ねてと
     思っているんでしょうが、きっと裏目に出る筈だわ。w
     貴重な情報、有難うございます。

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