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とりあえず怖い話。コミュのでびノートν(38話目)

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…ぜぇ…ぜぇ…」



「こらぁ!馬上遅刻だぞぉ!」


「…す、すいません…」



…1時間目の授業開始から、8分が経過した頃、

遅ばせながら、着替え終わったオレはグラウンドに到着した。



「オロロ…。

馬上君、寝坊ですかぁ?

いけませんよぉ〜ネムネム」


たまたま近くにいたネルが声をかけてきた。


「う…うるさい!

…だが、一時間目体育で命拾いしたな!

フン!」


「オロロ?

????」



…ちっ。

結局、オレが顔を上げた時点で、ネルは眠っていなかった。

…ノートに名前を書くのは、今日のところはお預けだ。



 この日は運動会の練習で、簡単な組み立て体操を行った。

…オレは…一般の生徒よりも体力があるはずなのだが、

皆の足を引っ張りまくった。


…どれだけ不器用なんだよ…オレ…。







 …そして放課後。


「ネムネム…じゃ、馬上君、私帰りますねぇ〜。

…あ、素直に何か言いたくなったら、いつでも声をかけてくださいぃ。

その時は喜んで起きますのでぇ〜。

ではではぁ〜」


 ネルは眠そうに目をこすりながらも、笑顔でそう言って帰っていった。

…チッ。

…今日のところは見送るが…いつか絶対にノートに名前を書かなきゃいけないな…あの女は。

…完璧に…完璧に危ない存在だ…オレにとって。



 オレもカバンに荷物を詰め、学校を出た。


 今日は菫村と顔をあわせる事も無く、一人で学校の外に出る。

帰りしな、筒井の姿を職員室で見かけたのだが、なにやら忙しそうにプリントを抱えていたので、声をかけずにそのまま素通りした。



 学校を出た後、オレは病院に向った。

昨日父さんの見舞いに行く予定たったのを見送っていたから。






 …ガチャッ。


ドアを開ける。


「…あら?まさおくん!」

病室に入ったオレに、京子オバサンが声をかけた。

父さんは眠っているようだ。


「おばさん…いつもすいませんね…父さんの見舞い」


「いいのいいの。

…それより聞いて!


お父さん、明後日退院できるんだって!」


「…え?本当?」


「うん。

長かったけど、終わりが見えれば、嬉しい気持ちになるわよねぇ」

そっか…やっと退院できるんだな父さん…。

よかった。

本当に良かった!


「…おばさん…グスン…ホント、ありがとう…。

おばさんがいなければと思うと…オレ…」



「え?
あらあら、

泣かないで泣かないで。

フフフ。

…あ、そうそう。

それとね、もう一つ報告があるの」


「…え?報告?

何?」


「フフ。

…ま、それはお父さんが目を覚ましてから、本人に聞いてちょうだい。

自分の口から言いたいって、言ってたしね」


「…ほう…?

そ、そうなんですか…」


「…あ、おばさん、洗濯物取りに一旦帰ってくるから、
お父さんの事お願いできるかな?」


「あ、ああ。

全然大丈夫です。

…ってか、ほんとすいません…洗濯物も任せっぱなしで」


「フフフ。

だからそういうのは言いっこ無しよ。

…どう?中学生らしい生活送れてる?」


「本当におかげさまで…。

おばさんには感謝しっぱなしです」


「よかったよかった。

…じゃ、おばさんちょっと行ってくるから、お父さんからちゃんと報告聞いといてね」


「あ、はい」


ガチャッ…バタン。


オバサンは病室を出て行った。



「…そっかぁ。退院か」


父さんの寝顔を見る。


…父さん、入院前と比べて、かなり痩せたなぁ。


…病院の食事だもんなぁ。


痩せそうなゴハンばっかりだもんなぁ…。


…父さん、退院したら、今度は凶野家じゃなくて、【外卵】の親子丼食べに行こうな。



「ん…ん…」


「…あ、父さん起きた?」


「あぁ、まさお来てたのか…よいっしょ」


「…あ、ムリに起きなくてもいいよ!」


「ハハ。

大丈夫大丈夫」


父さんは、少し顔を歪めながらも上体を起こし、ベッドに腰掛ける姿勢になった。



「父さん、明後日退院できるんだって?

おめでとう」


「…ん?ああ、

京子おばさんから聞いたのか?」


「うん。

…あ、それと、もう一つ報告があるっておばさんから聞いたんだけど…何かあったの?」


「…え、

…あ、ああ。

そのことか。

…う、うん」


「何?

気になるよ教えて!」


「あ、ああ。

うん。

ハハ…。


その…だな…」


…何だろう…。

父さんはヤケにモジモジしている…見ているこちらが非常にもどかしい…」



「もったいぶらずに教えてよ父さん〜〜」



「う〜ん。

モジモジモジリ…」



…ダメだ。

もどかしさを通り越して、イラッとしてきた…。



「父さん、男ならスパッ!と言えよ!

この腰抜け野郎!」


「な、何!」


父さんは【腰抜け】と言われるとカチンと来て思い切りが良くなるタイプだ。

そのため、子供の頃のアダ名は【マイケル・J・シゲックス】だったらしい。


ガタッ!!


父さんはベッドの上に立ち上がった。


「と、父さんあぶないよ!!

座って座って!」


「うるさいこの愚息!!

言ってやるよ!

重大発表だコノヤロー!

耳の穴、かっぽじって、よく聞くヨロシ」


なんで最後中国風…。



「じ、実はな…。

父さんと京子おばさん、

…結婚…しようと思ってな…」


「…え?」















      …は?




「な、何それ…」



「あ…いや…。

驚くのも無理は無いよな…。

…というか…まさおはどう思う?

…今父さんが言った事…」


「…え?

…いや…

どうって…。


…意味が…よくまだ整理できないというか…。

わからないというか…」



「…そりゃ…そうだよなぁ…」


父さんは頭をポロポリ掻きながら、またベッドに腰掛ける。



「それって…冗談?」


「いや…本気」


「…あの…なんでそうなったのかな…」


「ん…。

まあ…色々看病してもらって…思う事とかあったんだよ。

…京子オバサンも今は一人身だろ?

…あ、それがメインの理由とかってワケじゃないけど、

…本当に、がんばって看病してくれて…。

…う〜ん…。

まあ、色々芽生えたっていうか…」



「…母さんは…」


「…ん?」


「…母さんは…どう思うのかな。

…自分の夫が、自分の姉と結婚するなんて…」


「…。

…そうだな…。

…母さんは…嫌がるかな…やっぱり…」


「…いや、

嫌がるとかそういうんじゃなくて、

…母さん…悲しいんじゃないかな…。

母さんは、もう死んだから誰とも一緒にいられない。

…母さんはきっと、

心の中に父さんを置いて、今でも父さんを大事にしてるんだと思う…。

…でも、その父さんが別の人と結婚するって…どうなんだろ…」



「…う〜ん…。

…まさおは…反対か?」


「…わからない。

わからないよ…急に聞かれても…」


「ごめん。

そうだな。


…まあ、まさおも歳とって、恋するようになったら解る日が来るかもしれないよ」


…恋するようになったらだって…?


…恋なら…してるよ!!


 …でも…でも…。

死んだ母さんの事を考えて…なんでその母さんの姉と結婚できるんだろう…。


…そういうものなのか?


大人って…そうなのか??




「…ごめん、父さん。

今日オレ帰るよ」


「…え?」


「…退院の日はちゃんと来るから…じゃあ」


「あ、ま、まってくれよまさお…」


ガチャッ…バタン。


病室を出た。


「…あ、まさおくん」


病室を出ると、丁度京子おばさんが戻ってきたところだった。



「…オレ、今日は帰ります」


「…え?あ…」


オレは京子おばさんに目もあわせずに、その場を後にした。



 そして「ただいま」も言わずに家に入り、すぐに自分の部屋に行きベッドの上で横になった。



…自分の心が…うまく整理できない…。


…祝福したほうがいいのか?


…母さんは?


…母さんは…ひとりぼっちじゃないか…。


…母さんには、オレが居るからいいのか?


…父さんは、もう母さんに必要ないのか…?


…母さん…


母さん…


…あ…。



オレは嫌な事を思い出した。


…母さんは…


そう、母さんは…


  …母さんは、あそこに居る…。


でびノートの被害者が集まる、あそこに…。


…死んだ時の苦痛を抱えながら、あそこに…。


…何だよ…。


 …何、父さんを責めてんだよオレは…。


…オレが…一番最悪に最低に悪いじゃないかよ…。


 …母さんに寂しい思いをさせるとか以前に…。


母さんを地獄のようなあの場所に追いやってしまってるじゃないかオレは…。



 ベッドから起き上がり、前のめりに座る。


そして顔を伏せる。



 …何やてんだよオレ…。


オレオレオレ…。


  …オレ…ほんっと最低な奴だなぁ…。


(つづく)

コメント(1)

あら〜あせあせ
以外な展開うれしい顔

てっきりおばさんはお父さんの、保険金をガッポリせしめるかと…
で、まさおにえんぴつ本

考えすぎでしたあせあせ

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