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とりあえず怖い話。コミュのでびノート2(第六話)

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【まとめトピ】はこちら↓
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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



稲生が死んだ。


イジメを苦にした自殺という形で…。




…何だよ…。

何なんだよ…。



アイツは…。


アイツはたった数週間のイジメにも耐えられなかったのか…。



…アイツがオレに対してやってきたイジメは、アイツが受けたイジメの何十倍の重みがあると思ってるんだ?



…稲生…卑怯だよ…。



…こんな簡単に逃げて…。



…オレはどれだけ耐えてきたと思ってるんだ…。







ガラガラガラ…。



「いらっしゃ……やあ、ボウヤかい」


「…どうも…」


学校が終わり、オレはフラフラとオジサンの店にまたやってきた。



「…どうしたんだいボウヤ。今日はなんだか元気が無いねぇ。

思春期かい?」



「…まあ、そうです…」


「…むむ。今の、ツッコむところなんだけど…」


「…はぁ…。オジサン、とりあえず例のお茶を一杯お願いします」


「お…おう、了解。


…っていうか、最近ボウヤここを喫茶店か何かと勘違いしてはいないかい?」








 オジサンがいれてくれたお茶を飲み、少し落ち着いたオレは、


昨日の晩稲生が自殺した事をオジサンに聞いてもらった。



オジサンはいつものようにウンウンとオレが話し終わるまで相槌をうってくれた。



…そうか。


オジサンはいつも、オレが全部話し終えるまで聞き続けてくれるんだ。


そうやって全部吐き出したオレに対して、オレが求めている一言を言ってくれる。


…だから…オジサンに話を聞いてもらうといつもスッキリするのか…。



オジサンと出会って数週間。


オジサンのそういう気遣いがなんとなく解った。






「…そう…か。

今、ボウヤはどんな気分なんだい?」



「…オレをイジメてた奴が死んだのに…なんだか変に悔しい感情がありますね…」



「…そうかい……そうだろうそうだろう」


オジサンはウンウンと頷く。



「…正直、阿部や宇田部がああなった時は、スッキリした感情が少なからずありました…。

…まあ、怖さの方が大きかったんですけど…。

…でも、今回はなんか少し違うんです。


…なんていうか…。


【オレをいじめていた奴】がそのまま死んだりしたら、

それは単なる天罰って考えれるんですが、


そいつが【オレと同じようにいじめられてる奴】ってなると…。


…いじめられてる辛さが解ってるオレには、逃げ出したように感じられて…。



…オレはあんなに耐えたのに…」



「…うんうん。

たしかにそうだねぇ…」



「…オジサンならどうですか?


自分が絶えた苦しみを、


自分に与えてた奴が受ける事になって、


…ソイツは人には平気で苦しみを与えてた癖に、


いざ自分の番となると辛くてすぐに逃げ出すなんて…」




悔しさかどうかはわからないが、僕の腕や体は少し震えていた。



「…オジサンだったらどう思うか…か。

…そうだねぇ。


まあ、オジサンがもしボウヤの立場だったとしたら…。


別に何とも思わないかもしれないねぇ」



「…そうですか…」



…結局、


さすがのオジサンも、今回の事はヒトゴトなんだな…。




…少し裏切られたような気持ちになったオレに、


おじさんは更に続ける。




「…だってさ、

ボウヤはまだ生きてるじゃないか。

…【死ぬ】っていうのは、

イジメよりも楽な事なのかい?」




…死ぬことが…

   …イジメよりも楽…?




「…だってさ、

ボウヤは今生きてるって事は、

死んだ経験は無いワケだろ?」



「そ…そりゃそうですけど…」



「…じゃあ、一概に【イジメの苦しさから逃げた】なんて言えないんじゃないかい?

【死】に逃げるって事は、


【死】がイジメよりも楽じゃないと成立しないじゃないか」



「…オジサン…。

何ですかその理屈は…。

稲生は逃げた。

イジメが辛いから自殺したんだ…。

きっと…きっと…


…変な理屈で、僕を操作しようとしないで下さい!!!」



「…ん…。

そうか…。

悪かったね…」



オジサンは少し寂しそうな顔をした。



「…あ…す…すいません…。

…オジサン、オレを心配してくれて色々言ってくれたのに…」



「ハハハ。いやいや。

ボウヤも、最初ここに来た時より、大分自分の意見を言えるようになったと思ってね」



「そ…そうですか…」



「あぁ。

…まあ、オジサンも所詮は不完全な存在だ。

人間なんて、皆不完全。

100パーセント正しい大人なんてのも居ない。


だからオジサンの言ってる事は間違ってるかもしれない。

…でも、オジサンは今まで生きてきた経験から、きっと正しいなと思う事をボウヤに伝えてる。


…だから、おかしいと思えば聞き入れる必要は無いけど、

オジサンの言葉は参考程度に心の中に閉まっておいておくれ」



「…はい…色々とすいません…ありがとうございます…」






…なんだかんだで、今日もオジサンに話を聞いてもらってスッキリした。

落ち着いた。



…オジサンの言った言葉…。



【死はイジメよりも楽なのか?】



…稲生がイジメを苦に自殺した事は間違いないだろう。

…間違いないだろうけど…でも…。


死がイジメよりも楽かどうかは別だ…。


僕はどうだった?


死がもしイジメよりも楽ならば、

僕ももしかしたら死を選んでいたのか…?



…そこまで考えた事もなかった。




…僕は死を選ばずに、イジメを耐える道を選んだ。


…それって実は…死はイジメよりも辛いと、本能か何かで感じとっていたから…?



…。


…。



…。


…いや…。



…もうやめよう…。



こんな事まで考えるとキリが無い…。









 オジサンの言葉を参考に色々考えていると、


稲生がイジメから逃げた事に対するイラダチは消えていた。



…イジメから逃れる為に死を選んだ稲生は、


果たして本当に楽な道を選んだと言えるのだろうか?





…頭の悪いオレはそこまで解らない…。




…解らないけど…でも、



なんとなく、色々感じ取った今のオレの心は、



なんだか稲生が気の毒なような、そんな気持ちが強くなっていた。




…稲生が死ぬ前日。


…帰り際、稲生はオレに何かを言おうとしていた。


…その内容はつまらない事だったのかもしれない。


…でも…もしかしたら稲生は…。



…そうやってオレに何かを話して、スッキリしようとしていたのかもしれない…。


…そのエネルギーで、イジメに耐えようとしていたのかもしれない…。



…なんだかそう思うと…。



また…


…また…オレのせいで、稲生が死んだようなそんな気分になった…。











翌日。



いつものように登校し、教室に入る。



…教室の中は、心なしか静かに感じた。



…阿部達がオレにしていたイジメが無くなった。


その直後に始まった、稲生に対するイジメも無くなった。



…なんだかオレにとって今の教室は、


まるで【嵐の去った後】のように感じられた…。










ガラガラガラ…。





「オイ〜!HRだ!席につけ〜〜〜」



HRの時間になり、いつものように担任の原黒が竹刀を持って入ってきた。





皆がそれぞれ席に着く。




…ん?





何だろう?


原黒の後ろに、二人の人影が見えた。





 教卓の前に立ち、皆が着席したのを見届けた原黒は「オホン」と咳払いをした後、けだるそうに口を開く。



「…え〜まあ、アレだ。

ここ数日、このクラスで色んな事件が起った。


阿部があんな事になったり…。


宇田部がインフルエンザで亡くなったり、


…稲生が自殺したり…。




…この短期間で、これだけ集中して生徒が怪我をしたり亡くなったりするのは、さすがにおかしいという事で、


今日は刑事さんが来ててな。


今日のHRは、ちょっとその刑事さんの話を聞いてもらおうと思う。


…それじゃぁ、刑事さん、どうぞ」


原黒が入り口に向って声をかけると、入り口付近に立っていた二人の男のうち一人が入ってきた。



「…どうも、警視庁捜査一課の【元 慶二】です。

…あっ、皆さん、そんなに硬くならないで下さい。


…今日我々がここにやってきた一番の理由は、


【今後皆さんの身に危険がおこらないようにする】という事なんです」



ザワザワ…。

 
   ザワザワ…。



教室がざわめいた。


きっと、刑事さんのいう【身の危険】というのに不安感を感じたんだろう。




「…あっ、そうざわつかないで下さい。


…今回、皆さんのお友達が三人ほど、不幸な事になりました…。

まずは亡くなった二名と、大怪我をされた一命に対して、いたたまれない気持ちである事をお伝えしておきます。



…で、まあ、こんなことをいうのもアレなんですが、

変にぼかしてもややこしくなると思うので、単刀直入に言います。



…今回のこの一連の不幸、


もしかしたら…このクラスの中に犯人が居るのかもしれない…と、我々捜査一課は睨んでいるのです」



「はぁ!?」


  「ええっ!!?」


 「な、なにそれ…怖い…」


ザワザワ

  ザワザワ

  ザワザワザワ…。



「ちょっと、落ち着いて下さい」

あまりのざわつきに、少し慌てえる刑事さん。



「オラァ!!!落ち着けガキ共ぉ!」

バシィ!!


生徒のざわつきを見て、竹刀でおもいっきり黒板を殴る担任。



…やっぱり大きな音というのは抑止力があるのか、教室のざわつきは治まった。



「…さ、刑事さん、続きどうぞ」


「…ど、どうも…」


担任にペコリと頭をさげる刑事さん。



「…まあ、このクラスに犯人がいるかもしれないというのは、あくまで仮説です。


…しかし、念には念をとの想いで、


今日からこのクラスに、一人、転入生として一緒に授業を受けてもらう生徒が居ます。


お〜い、吉君!入ってきて!」



刑事さんがそういうと、教室の入り口付近に立っていたもう一人の男がゆっくりと入ってきた。




…少し小柄で、髪が長く、猫背の青年だった。




「…え〜、彼のお父さんは警視総監をやってましてね。

彼は普段、アメリカのハーゲード大学に通ってまして、

…あっ、でも、歳はみなさんと同じなんです。

ただ、IQが278ほどありましてね。

…まあ、そこまで頭がいいもんだから、普段バイトでFBIとかの捜査にも協力してるんですよ。


…で…今回、たまたま彼、里帰りしてましてね。


この事件を知った彼のお父さんは、犠牲者がこれ以上出ないようにとの事で、彼をこのクラスに入れて犯人探しをしようと考えたワケです。

…あっ、でも誤解はしないでくださいね。

最初に言った通り、あくまで、この一連の事件に犯人が居るというのは仮説です。

もしかしたら、全ての事件は【たまたま】だったのかもしれません。

…ですが、念には念を。


…皆さんは、どうか今まで通りの生活をしていてください。



…あっ、彼の紹介を忘れていましたね。


彼の名前は【吉 来三(よし くるぞう)】


苗字が【吉】なので、カタカナで縦書きで強引に読むと、【エロ】って見える事から、


皆からは【エロ】って呼ばれています。


みなさんも、気兼ねなく【エロ】って呼んであげてください。



…さ、それじゃあエロ君、自己紹介を」



刑事さんは【エロ】の背中を軽く叩いた。



「…はじめまして…エロです…」


【エロ】は軽く下を向きながら、人差指の爪を咥えてそう言った。



エロはその後、クラス全員の顔をジロジロと見つめ回した。



…そしてオレと目があった瞬間。


オレの背中を何か冷たいものがつたった。




エロの眼光は、なにやら物凄いオーラを放っているように感じた。



「…この中に犯人が居るとは思いたくないですが…


…どうやら、この中にこの一連の事件の犯人が居るような気がします…。


…普通の生徒として、普段は過ごさせていただきますが…何かの時にはご協力宜しくお願いします…」


エロは冷静な口調でそう言った。

…そして、その直後、エロはまたオレの目を見た。


…オレは…とっさに目を逸らしてしまった…。






…まるで全てを見透かすかのようなエロの目力…。



オレの頭の中には、家の机に閉まってあるでびノートの映像が浮かんでいた。



(第七話につづく)

コメント(11)

とうとう、エロがぁ…出てきた(笑)
警視庁の父だとKIRAだけど
外国帰りでネロに被せてるのかぁ〜exclamation & question
展開が楽しみ〜晴れ
でもIQって180以上も計れるんだね〜知らなかった〜ぴかぴか(新しい)


エル+ネロ=エロ

しかし、吉 来三には吹いたwww
細かな仕草やセリフもデスノを元に工夫されてるのが面白いですね。
ぶっちゃけて言うと、デスノート読んだことありません。

映画のCM見たりとかで、簡単なセリフやあらすじ知ってるくらいです。

むしろ映画すら見た事ないんです。

だからおそらくパロディとして読んでも全然違うとおもいます^^;

すんません!
あっ、デスノートかexclamation ×2
今更気付いたげっそり
原作は最後…だったけど、コッチはどうなるのか楽しみですウッシッシ

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