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とりあえず怖い話。コミュのでびちゃんの、ほんのり怖い話☆ NO、1(後編)【裕沙3】

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(↑前編はこちら)


「いぇえええ! ひゅううう!!」


一緒にカラオケに行ったメンバーはやけに変なテンションだ。

周りの白い目が超刺さってくる。



そうこうしてるうちに、メンバーは自分の最寄り駅に着き、一人、また一人と減って行く。


五人が四人。 四人が三人となった。


三人になっても、変なテンションで相変わらず騒ぎ続けていた。


そこで、おれはある重大な事に気付いた。



【おれの最寄駅は、終点だ】という事に・・・。



泳吉は、おれより5駅前で降りてしまう・・・つまり・・・。




【電車でガヤガヤ数人で騒いでた奴らが次々に降りて行って、最後の一人になったときに妙に静かになって、周りとの力関係が逆転する現象】の被害者に、


このままではおれがなってしまう!!!!



「じゃあな!」

これで、おれと泳吉の二人になった。


頼むから、泳吉静かにしててくれよ・・・。 


その思い虚しく、

酒も入っていた泳吉は、上半身裸で更にテンションを上げ、そして、


「じゃあな! またあそぼうぜ! 忘れんなよ!」


プシュ〜〜〜



・・・あっけなく最寄り駅で去って行った・・・。



・・他の乗客の目線が・・超痛いぜ・・・。


新聞読んだフリしてるおじさん・・ちらちらこっち見てる・・・。

ネタフリのにいちゃんも。こっち見てる。。。


DSやってるオタクも・・・

化粧してる姉さんも・・・

スーツでシャンと座ってるサラリーマンも・・・



皆、こっちにものすごい視線を突き刺してくる!!


ぷしゅ〜〜〜



そんな気まずい空気を何分くらい我慢しただろうか。

最寄駅にやっと着き、おれはダッシュして家に向かった。

向かう途中で重要な事を思い出した。


(あ、帰りに沙織ちゃんの家に寄るんだった!)


沙織ちゃんの家は丁度家に帰る途中に通りかかるから、何も問題はなかった。


 あっという間に沙織ちゃんの家に着いた。


ピンポ〜〜ン


チャイムを押す。


ガチャ


ドアが開いた。

そして、超眠そうな顔の、沙織ちゃんのお母さんが出てきた。

凄く綺麗なおかあさんだ。 30代半ばくらいに見える。


「・・はい?こんな時間にどなた?」


「あ・・・」


よく考えたら、もう夜中の12時を回っていた。


「す、すいません!!! こんな時間になってたとは露知らず、ごめんなさいです!!」


「・・はぁ・・。 アナタ、どなた? もしかして、沙織の同級生の子?」


「は、はいぃ。 八木 裕史と申します。 アダナは【代打の神様】です!」


「あぁ、あなたが・・裕史君?」


「え、 し、 知ってるのでありますか?」


「・・し、知ってるわよ・・・ っていうかなんでそんな変なしゃべり方なのよ・・・。」



「す、すいません。 緊張してしまいまして・・。」


「ま、いいわ。 沙織からちょこちょこ話しを聞いた事はあるわ。 で、何の用かしら?」


「は、はい。実は沙織さんに挨拶をしたいと思いまして・・。 夜分に本当にスイマセン。」


「・・・沙織なら、もう居ないわよ・・・。」


「・・・え?」


「あら?何も知らなかったの?」


「え・・は、はい・・・?」



「沙織はね、東京に就職が決まってね。 今日夕方の列車で、もう行っちゃったわ。」


「え・・・えええええええ!」



「・・・本当に何も知らなかったのね・・・。」



ちいさくなっていく沙織ちゃんは、そういえばなんだか寂しそうな顔をしていた。


そして、今日、あの場所で待ってでも、おれに話しておきたかった事・・・。


おれは、今、なんとなく理解した。


ごめん。。。

ごめんな・・沙織ちゃん・・・。



「・・・裕史君・・・。だったわね。名前。」


「・・あ、はい・・・。」


「アナタ、かわいい耳してるわね。 外寒いし、何か暖かいものでも飲んで行く?」


「い、いいえ。 家すぐソコなんで。 もう帰ります・・。」

「・・っそ。 そういうことなら・・・。あら?アナタ・・・」

沙織ちゃんのお母さんは、おれの顔を一瞬難しそうな顔で見た。

「え? 何か顔についてますか?」

「・・いいえ。 何も・・。ちょっと待ってて。」


そういうと、沙織ちゃんのお母さんは家の奥から何かを取ってきた。


「はい。これ。」


手渡されたもの、それはナベの形をしたキーホルダーだった。


「・・・これ、何ですか?」


「お守りみたいなものよ。 肌身離さず持っていなさい。」


「へ〜。 変わった形ですね〜。」

おれはそう言って、ナベの蓋を取ろうとしたが、ぜんぜん取れなかった。

「フフ。それは、強力な接着剤で留めてあるのよ。 中にすごく効力の強い護身用の石が入ってるのよ。 絶対に開けちゃダメよ?」


「そ、そうなんですか・・。 わかりました。」

おれはそう言って、そのお守りをとりあえず普段常に持ち歩く携帯電話のストラップに付けた。


「それでは、本当に夜分に申し訳ありませんでした。 おやすみなさい。 失礼します。」


おれはいよいよ帰ろう落とした。


「あ、ちょっとまって、」


沙織ちゃんのお母さんは、また呼び止めて、

「はいこれ。」

そういうと、折り畳んだメモをおれに手渡した。


「これ、何ですか?」


「フフ。沙織の携帯電話の番号よ。 後はお好きに。 じゃ、気をつけて帰ってね。」


「ええ!本当ですか! あ、ありがとうございます!!!!」


イッキにテンションのあがるおれを見て、 サオママは、


「素直な子ね。 あ、そうそう裕史君。 何か、変わったこととかあったら、いつでも相談に来なさい。いいわね?」


と言ってくれた。


「・・は、はあ。 どうもお気遣いありがとうございます。」


「じゃ、おやすみなさい。」


「はい。失礼しました。」






帰り道、おれはサオママからもらった沙織ちゃんの携帯に電話した。


しかし、聞こえてくるアナウンスは、

「・・おかけになった電話は、現在電波の届かないところにあるか・・・」

と聞こえてくるだけだった。





そして後日談だが、

その後もこの番号に電話が繋がることは無かった・・・。





 沙織ちゃんの携帯に繋がらないが、おれはその夜何度も電話をかけた。

これで終わりにしたくなかった。

心のもやもやを、振り払いたかった。


でも、電話は繋がる事はなかった。

卒業式の寂しさなんて、ちっぽけに思えた。


おれはきっと、凄く大事なものが目の前を横切っていくのを、

手を伸ばさずに見送ってしまったんだろう。

一度ではなく、

何度も・・・。



家に着いて、おれは眠る気にもなれず、自分の部屋の机でうつむいたままじっとしていた。


ブルルルル

ブルルルル


 携帯のバイブ音が鳴った。


はっとして、おれはあわてて携帯に出る名前を見る。


【アホ泳吉】



「・・・泳吉か・・・。」



プッ



「・・はいもしもし?」


「おお〜〜ぅ。 裕史か〜〜。 おれおれ〜〜」


(こいつ・・あれから更に飲んだな・・・)


「裕史ぃ〜〜 無事家ついたかぁ〜〜〜?」


「あぁ・・着いたけど・・・」


なんか、だんだんカラオケの事とか電車の事とか腹がたってきた。


おれは沙織ちゃんのもやもやもあり、抑えれなくなって、


「おまえなぁ! 電車とか、最後に残される身にもなれよ!」


「はっはっは。 ごめんごめん。」



「周りの視線、すっげー痛かったんだからよ!!!」



「はっはっは。 何言ってんだよ。 おまえ〜









       あの車両、おれたち以外誰も乗ってなかったじゃん〜。」










ピキッッ。




サオママからお守りに、もらった鍋形のお守りが音を立てた。



ふと窓を見ると、五つの人影が映っていた。


・・・どうやら、泳吉が今言ってる事は冗談ではないらしい・・・。



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