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月刊映画狙撃 試写室爆破増刊コミュの最近、DVDを見た『隠し砦の三悪人』リメイク

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 昨年見た時の感想メモがあったので、投稿します。

 改めてDVDで再点検したけど、的は外してないんじゃないかと。

 誰か、東宝映画の富山省吾に読ませてください。

 ---------------------------------------  2008年6月28日メモ

 『隠し砦の三悪人』 リバイス・レビュー   (イヌケン、大いに語る)

 ようやく観ました。有楽町日劇3。最終回にお客は20名程。

 興行的には惨敗だったようです。一ヶ月少し掛けて興収9億円位らしい。
 全国315スクリーンを開けての成績としては、かなり厳しい。
 
 6月21日に封切られた『インディ・ジョーンズ4』の二日で8億円以上の稼ぎ出し…の前には、遙かに霞んでしまっている。
 封切り前の目標興収20億超には届かなかった。

 これについては、どこがダメだったのか…とっくに分かっている。
 企画の時点で危惧していた通りとなった。
 ここまで成績が悪いとは想定外だったけど。
 
 映画の出来は…というと…。

 まあ、良い…方だとは思う。東宝映画・東宝の制作としては……。
 例えば『インディ・ジョーンズ魔宮の伝説』よりは、内容的に十分楽しめた。

 以下、気になったところのメモ。


 【オマージュ】見え隠れする傑作へのリスペクトの断片

 『タイタニック』 
   火祭り:山名の民たちの宴のシーン、三等客の船底の踊りのシーンだな。
   もちろん原作映画にもあるけれど…。

 『ローマの休日』 
   身分違いの慕情と別れの図式。使命ある立場のものの立ち居振る舞い。

 『カリオストロの城』 
   雪姫と武蔵との別れ。後を追いたいが国を率いる立場として出来ない辛さ。
 『幸せの黄色いハンカチ』
   隣国へ亡命した民が果たして自分を受け容れてくれるか…と不安がる。

 『戦国野郎』 
   運んでいる金塊が偽物の囮で、実は本物は別動体が無事運び終えていた。

 『ムカデ戦記』漫画  
   モグラと呼ばれる穴掘り集、山の民の件。『墨攻』の森秀樹の戦国漫画。

 『スリーキングス』 
   金塊を運ぶ…亡命…という件。金塊を手に入れないバージョンでも良かった。
       
 うん、全体の印象は岡本喜八の『戦国野郎』(1963)にも似てると思いました。

 敵の城を築城するために農奴のように使われている場面は、『マスク・オブ・ゾロ』とか『ワイルド・ワイルド・ウェスト』『魔宮の伝説』とかを想起させます。


 【 撮影 】合成シーンと通常撮影のギャップ

 「馬」

 逃げる山名の敵兵、それを追う雪姫、六郎太の馬上チェイスシーン。ちょっとモーションブラーがうるさかったり背景が合成っぽいところがあるけれど、アクション繋ぎは悪くなかった。
 
 ところが森の中をやってくる敵の馬のシーンとか、カメラの引き:ロングショットが多すぎ。撮影部が楽しすぎです。
 敵、追っ手の馬がやってくるシーンは圧迫感のあるスリルショットなんだから、もっとローアングルで足運びのアップとか地面からの仰角構図が欲しかった。地べたのカメラを馬が飛び越えても良かったな。
 
 「剣戟」

 基本的に、良かったです。
 いくつかのシーンで、剣の切っ先をもっと見せた方がいいなあ…とか、奥行き構図が欲しかったとこが。

 最後の対決シーンなど、トリッキーなカメラワークで接戦を見せても面白かったかも知れない。

 「姫」

 火祭りシーン、囚われシーンなど、太りすぎ。
 感情込めた芝居の横顔の不細工振りに驚く。横顔演技の面立ちが弱点だ。
 明らかに七郎太の横顔のようなシャープさ、が無くなっている。
 ストレス太りか…。ラストカットも厳しかった。
 

 「風景」

 パノラマ感のあるランドスケープは、良かった。
 あと敵の城の立体構造(垂直方向)も、良かったわな。
 ひとつ欲を言えば、シークエンス毎のキーカラー設定をもっと大胆にしても良かったかと…。
 茶色の場、赤の場、黄色の場、黒の場、緑の場、青の場、白の場、…というように。


【演技と配役】

 六郎太:阿部寛   ベスト。竹中直人でも見てみたかったが…。

 武蔵 :松本潤   覚悟してたより演技良かった。
           髭は似合わなかったが…。道明寺よりも遙かに良い。

 新八 :宮川大輔  コメディリリーフ。良かった。もっと口癖つけてもよかったな。
 雪姫 :長澤まさみ 厳しかった。後半、可愛くない。
           他に適材がいたと思うけど。ま、東宝プッシュだしな。
 
 鷹山 :椎名桔平  まあまあ。
           もっと巨漢で二枚目しかも老優を配した方が対比になった。
 

 【衣裳と小道具】

 六郎太が大切にする主君の遺した懐刀と同レベルで、武蔵と雪姫の間にもアイテムがあれば良かった。

 なにかの花、火祭りでこども(または武蔵)がくれたかんざし、武蔵の鳥かご。

 最後に、鳥かごから鳥を放すのは、武蔵じゃなくて雪姫でも良かったな。
 別の意味が出てくるけど。
 
 最後の雪姫の着物は、いけてません。

 元々、小顔+肩幅のある女子(長澤まさみ)なので、普通に着物を重ね着させるとゴッツク見えてしまう。

 ラストシークエンス、中年の奥女中みたいになってた。本人も肥りやすい体質らしい。

 あれはね、着物を特注するんですよ。気の利いた衣裳部だったら…。

 重ね着に見えるように襟だけ縫いつけたペラペラの着物を着せ、帯をキツキツに巻けばスリム=可憐に見える。
 和服は現代の大柄な女子、スタイルのいい女子には似合わないから、いろいろと工作が必要なのだ。
 

 【シナリオ】腑に落ちない台詞と見えない立場関係

 ・雪姫、感情を言葉で喋りすぎ。
 
  「信じてくれ」「…もう、耐えられない」「民を信じる」など。
   安っぽい。漫画的。

  ここんとこ、直截でない言葉や無言の芝居で表現してこその名脚本だと思うんだけどなあ。 気持ちをまんま喋らせると、薄っぺらになるよ。
  これは、監督の度量か、脚本家のセンスか、プロデューサーのレベルか。

 ・武蔵(松本潤)の立場を表す表現が曖昧。

  男として雪姫を自由にしてやりたいのか、主君としての責任感と自覚を持たせたいのか…。
  どっちもあり…であれば、武蔵もまた、雪姫に対しての接し方に悩みなりとまどいを感じるべき。

 ・雪姫(長澤まさみ)の気持ち、ころころと変わりすぎ。

  お家復興を亡き父に誓う姫、領民の良き主君たれとプレッシャーを感じる娘、自由になりたい女子。
  武蔵への想いが身勝手な逃避もあったことを感じつつ、領民と触れて使命を思い出すと表現すべき。
  
 ・武家、主君の姫と平民たる領民との距離が近すぎ。

  隣国へ亡命した領民と再会を果たした姫の前に、領民たちがいきなり駆け寄ってくるのはどうか…?
  側付きの娘が打たれた矢から身を挺して守ったほど、リスペクトされている姫な訳ですから…。
 

 ・俺版ラストシーン       [領民との再会、そして武蔵との別れ]
  
  ・早川領の城へ辿り着き、領民と再会をする雪姫、六郎太、武蔵と新八。

  ・城の大門が開くと、中庭には姫の到着を待つ民。
   ひざまずき頭を垂れて待っている領民たち。

  ・整列して姫にかしづく領民の無事を見て喜ぶ姫。
   その数を目で数える六郎太。…98,99,100。無事、百名。

  ・姫「皆のもの、よくぞ無事に着きました。」
     こどもへ向かって「怪我はないか…」

  ・領民達は姫に向かって、うやうやしくうなずく。
   大切に握っていた金の延べ棒を差し出す。頭は上げない。
 
  ・次々に金が、ひざまずく領民達の前にきれいに置かれる。
   その数、百貫。目を見張る姫。息を呑む新八。

  ・自らもひざまずき、ひとりの老人の手を取り金を受け取る姫。
   その怪我をした手を優しく包みながら…

  ・「御苦労であっ…、いや、ありがとう」
   「国の民の気持ち…、確かに受け取りました…」と雪姫。

   堅苦しい姫言葉から、自分の言葉で喋った姫。

  ・その回りに泣きながら集まる領民達。
   皆の手を取り、こどもの肩を抱く姫。慈悲の微笑み。
 
  ・六郎太が呟く。「秋月家のお家復興は…、軍資金だけではならんのだ。」
   「まさに、民こそが、宝…」

  ・その姫と領民を眺めつつ、ふっと微笑み、踵を返して立ち去ろうとする武蔵。それに気づく姫。

  ・「おい、武蔵。私を、…側で守るのではなかったのか…」
  と、戸惑いながらも気丈に振る舞う雪姫。

  ・武蔵が呆れた様子で……
  「あのなぁ、あんたを守り、そしてあんたが守らなきゃならないの…」
  「……は、その人たち、だろうよ」と、少し間を空けながら…。

  ・武蔵を見る領民達、その真ん中に立ち上がる姫。
  「なぁ」と武蔵と六郎太の目が合う。

  ・「へっ。冗談じゃねえや。オイラは誰にも縛られねぇ、自由な山の民だ。」と馬にまたがる。

  ・「この馬、貰ってくぜ。じゃあな、達者でな雪姫、どの…」
    と、最後に…「裏切り、御免!」

  ・あっ…と視線で追う雪姫。
   その先に走り去る武蔵の馬、後ろを追いかけて走る新八。

  ・身を寄せてくるこども達の手を握り、自分の使命を重ねて思う雪姫。
   寂しそうに微笑みで送る。

  ・姫の回りに集まり、共に武蔵を見送る領民達、そして六郎太。

  ・海辺を馬で疾走する武蔵。
   その後ろで懐から金(鉛)を出してくる新八。笑い出す武蔵。

  ・「おい、そりゃ、偽モンだ…」と武蔵。
   驚いて馬から落ちる新八。海水で洗うと確かに鉛だ…。

  ・「ひでぇよなあ、姫さん」と新八。
   だが走り去ろうとする武蔵に気づくと慌てて追いかける。

  ・「姫はなあ、めったに出会えないお宝を手に入れたんだ。俺の出番は、ねぇよ」

  ・「ご褒美位、貰えば…」
   「馬鹿野郎、十分、褒美は貰ったよ。いい夢をな…」と想いをはせる。

  ・武蔵は新八にも、別れの言葉 「じゃあな…」

  ・「なあ、俺たち、仲間だろ〜」
   「しらねぇよ、勝手にしな!」武蔵の馬を追い、走る新八。 

  エンド。

 で、

  ・ラストシーンを活かす伏線台詞 

 [敵将:鷹山に囚われた雪姫の言葉…]

  ・「聡明と伝え聞くが、民に再興の軍資金を預けるとは、なんと愚かなことを…」

  ・「いえ、私はそうは思いません。」

  ・「下賤のものは、金子:きんすを持たせば、誰も戻りはしませんぞ…」

  ・「なら、それでも良いではありませんか…。民は、それもまた幸せでありましょう」

  ・「ふん、どうにも食えない姫様だ」

  ・「民の気持ち、幸せなくして、国の復興はありません。」
  
  (すでに、姫は、リーダーとしての成分をもっていたのだ…)

 

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