小津安二郎コミュの小津映画のプロデューサーと一献

山内静夫さんと聞いてすぐわかる人はかなりの映画通だ。山内さんは小津安二郎の名画のプロデューサー。「晩春」で松竹の宣伝に携わってから、「早春」以降、「秋日和」、遺作となった「秋刀魚の味」まで数々の小津映画のプロデューサーとなった伝説上の人物である。いまや小津組で健在の人は4人となってしまった。その山内さんと一献やった。
山内さんはぼくがプロデュースしている鎌倉はなし会の共催者である、鎌倉市文化振興財団の理事長で、鎌倉文学館の館長である地元の名士。白樺派の文豪、里見弴(サトミトン)の四男である。
小津安二郎が最後に撮りたかったのは「ストーリーのようなものはなく、随筆のような映画である」と伺った。それは志賀直哉が晩年に書いていた「小説でもなく随筆のような文章」のことか問うたら、「小津さんは志賀さんの信奉者でまさにそのような境地を目指したのであろう｣と聞いて、本当にそのような映画が見たいと思った。数々の小津安二郎の秘話を伺った。
山内さんのお父様の里見弴先生は「秋日和」、「彼岸花」の原作者である。里見先生は志賀直哉の親友であり、兄貴は有島武郎、師匠は泉鏡花という文学史上に名だたる人物である。ぼくは大学四年の頃、内定していた出版社の忘年会で初めて里見先生にお目にかかり、いささか酒を飲みすぎ、「君はなかなか学があるね」といわれ、大変に恐縮した。
いまから三十年前のことである。当時、里見先生は94歳。ぼくは23歳の若造だった。いま、山内さんは85歳、親子二代にわたる付き合いができて、幸せである。
山内さんも小津さんも里見先生も大変な落語好きで、「これからは年に二、三回おやりなさい」と仰せつかった。次回の鎌倉はなし会は小津映画の熱狂的なファンである立川志らくさんの独演会である。9/11、14時開演、鎌倉生涯学習センター。

コメント(9)

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[1] mixiユーザー 02月05日 00:23

初めまして、初見ながら、投稿をさせて頂いて誠に恐れいります。

私は、30代前半ですが、小学6年生で｢秋刀魚の味｣。中学1年生で｢晩春｣を見てから、小津監督を敬愛させて頂いております。

小津監督の映画に関わった方々が、ご健在でおられるということは、日本の財産であり、とても励まされます。山内ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰがご健在だとは！
細々と、番組制作や映像制作業の末端で糧を得ている身としては、お話しを聴けるチャンスがあれば、幸せです。そういう夢がかなうように、細々と、現在の仕事を全うしていきたいと思っております。

[3] mixiユーザー 02月05日 11:41

けんさん
小津組の人たちは本当に希少価値になってしまいました。小津映画の常連だった佐田啓二さんのお子さんである、中井貴一さんや中井貴惠さんと山内さんはいまでも深い交流があるそうですよ。中井貴惠さんは山内さんが「秋日和」を朗読劇に仕立て直したものを口演してらっしゃいます。

[5] mixiユーザー 02月05日 21:49

NHKの小津特集の時　名解説をした立川志らく　さん　ぜひ、鎌倉はなし会　に伺いたいのですが、
どちらで予約が可能か？　お教え頂ければ幸いです。

[6] mixiユーザー 02月06日 10:37

岳さん
NHKの話、山内さんもされてました。何でもNHKがほとんど宣伝しなかったので、聴衆は20人ほどだったとか。ぼくも知っていたら伺ったのですが、もったいないことをしました。

[7] mixiユーザー 02月06日 10:38

イコンさん
それでは、m-aki@df7.so-net.ne.jp
までメールいただけますか。
イコンさんのアドレスを登録しますので、時期が来たらBCCでお知らせします。

[9] mixiユーザー 02月07日 11:26

岳さん
了解しました。
先ほどメール送らせていただきました。

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