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鎌倉崎の伸ちゃんコミュの第二話

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 「おぅ、伸二に仁。 おめぇら、俺と一緒にチョッと来い」と若頭の拓が部屋に来た。

「頭ぁ、オイッス」伸二はいそいで携帯をジーンズのポケットに突っ込んで拓に従った。


「今日はよう、うちの叔父貴んとこに挨拶につれていく」

 叔父貴とは舎弟頭の伊能正のことである。

 伊能は拓の父である馬場一家十三代目羽鳥喜一の舎弟であった。


 拓の車に乗り込む伸二と仁。

 拓の愛車は三菱デボネア49年型である。クレーガーのメッキホイールはフロントが5.5Jにリアが7Jのアメリカンスタイルである。

 リアのリーフスプリングにビルシュタインのエアサスでHOTRODで決めている。白い大きなハンドルにベンチシートと拓にとっては’50を彷彿させるこのデボネアは大のお気に入りである。

「伸二ぃ、おらぁよぅ。 テキヤテキヤした格好は大嫌いなんだよ。 これからのテキヤはスタイリッシュじゃなやなぁ。」と常日頃から伸二と仁に言い聞かせていた。

 「叔父貴のとこ行く前に兄貴んとこ寄ってくかんな。 新しい501が入ったって昨日電話もらったんでよぅ。」

 拓の兄(拓は馬場一家当代の次男である)は太郎といい、稼業を嫌ってカスケベでジーンズショップを営んでいた。

 八丁目交差点を右に曲がり、サウナの隣が太郎の営む「ジーンショップ タロス」である。

 「あっ、頭ぁチョッと停めてもらっていいすか?」と伸二が拓に車を停めさせた。

 車を降りた伸二は5メートル先をあるく老婆を追いかけたのである。

 老婆はそのまま道路を横切ろうとしていたのを伸二は止めようとして老婆に声を掛けるその時、 停車している拓のデボネアを猛スピードで追い越していく一台のバイクが・・

 「あっ、危ない!!」と伸二は老婆を歩道側に引き寄せ、抱えるように歩道に倒れたのである。

 「伸二ぃ!! 」いそいで車から出た仁は伸二のところの駆け寄った。

 「ダイジけぇ? 婆ちゃん怪我はねぇのけぇ?」と伸二と老婆を気遣う仁

 「おぉ、イッテェ。 婆ちゃんダイジけぇ?」と伸二

 「あぁ、すまねぇねぇ。 危うく轢かれっちまぁとこだったぁ。アリガとねぇアンチャン」と老婆は伸二に礼を言った。

 「婆ちゃん、あぶねからぁ。頭の車で送っていぐどぃう」と老婆を拓の車まで連れてきた。

 「伸二、大丈夫かぁ? ・・・ん? 赤山の婆ちゃん」拓は伸二が助けた老婆を見て云った。

「あれぇ、羽鳥さんとこのタクちゃんじゃなぃぃ。じゃぁこの人たちは羽鳥さんの若い衆なの?」

 赤山の婆ちゃんとは隣街のコシゲェに一家を構える「竹山一家 舎弟頭 赤山道夫」の母親であった。 赤山道夫を羽鳥喜一は五分兄弟の杯を交わした間柄である。

 赤山の母を家に送り届けて、タロスへ着いた伸二たちは拓の兄、太郎に挨拶をして新しく入荷したアメリカ古着を見ていた。

 拓が兄の太郎と話をしている間、伸二と仁はうず高く積まれた古着を漁っていた。

 「伸二ぃ」と太郎に呼ばれ、奥の部屋へ入っていった。

 太郎は伸二のことが何故か好きなようで、あれこれと店の古着を伸二に与えていたのである。

 「あらぁ、伸ちゃん。 今日は拓クンと一緒?」と太郎の嫁である靖代が声を掛ける。
 
 「あっ、靖代さん。 お邪魔してます」伸二は靖代のことを初めて見たときから憧れていたのである。

 「実はよぅ、今度の荷物からこんなのが出てきてよぅ、おめぇにやろうと思って別にしておいたんだぁ」と太郎が出したものは・・・・

「えぇ!!!! これぇ、いいんすかぁ? 幻の502じゃないっすかぁ。しかもこんなコンディションのいいのは中々でてこないっすよ。」

 幻の502とはリーバイス社がボタンフライからジッパーフライに移行する過程で501のシュリンクデニムを使ってジッパーにしたためにフロントがよれてしまう為、数年で姿を消したジーンズである。

モデル505になってからはデニムの縮みがなくなり、ジッパーでもフロントがよれずにきれいに見えるようになった。

 「ところで伸二、さっき赤山の婆ちゃんのこと助けたんだってぇ?」


 「えぇ、赤山の婆ちゃんが怪我しなくて良かったっす」


 「おめぇ、赤山の婆ちゃんの事、知ってたっけぇ? ついこの間田舎から出てきたばっかりなのに何で知ってるんだぁ?」

 「えっ、あっあぁ。 まぁそのぅ・・・」と笑ってごまかす伸二である。

・・・・・伸二は25年前・・っていうかこの世界に来る前の時代(2009年)から25年前のこの日にこの場所で若頭の拓が運転するデボネアで赤山の婆ちゃんを轢いてしまうのを先ほどの車中で思い出したのである。


 赤山の婆ちゃんを轢いてしまったことにより、コシゲェの竹山一家と馬場一家は反目しあうようになり、その後に馬場一家十三代目の喜一が竹山一家の若衆に刺殺されることになるのである。

 「あのぅ、太郎さん。」

 「なんでぇ?」

 「実はぁ、今朝ぁ起きたっくれぇ・・・」と会津祇園で刺されたあとに気がついたらカスケベにいたという話をした

 「ばぁか云ってんじゃねぇ。 そんな事あるもんかぁ!! おめぇはこの間とちっとも替わっちゃいねぇべ」と太郎は大笑いしている。

 「で、でもぅ、今日の赤山の婆ちゃんのことだってぇ、ホントは頭が轢いちゃうんだったんす。」と25年前の経緯を話す伸二であった。

 
「そんな事、信用できっかぁ!! じゃぁよぅ、おめぇが2009年から来たっての証明してみろよ。」

 伸二はジーンズのポケットから携帯を取り出し、画面をスクロールした。

「太郎さん、これが俺の子供と嫁っす。 2009年の4月に上の娘が高校に入った時に撮った写真っす」と携帯に娘2人と嫁の靖子と伸二の4人が写っているのを見せた。

「えぇ!! ホントかよ? これが伸二でぇ、この二人はおめぇの娘ぇ??」太郎は伸二の携帯を覗いてびっくりしている。

 「ところでそれってなんでぇ? 」

 「あぁ、これはぁ携帯電話っす。」

 「おめぇ携帯電話ってぇ、肩にかける電話だんべ。 そんなチッちぇ電話ってなかんべ」

 当時の携帯は肩に掛けるタイプか自動車電話の2種類であった。 自動車電話は現在と違って、運転中でも使えてしかも道交法違反にはあたらなかったのである。

 「太郎さん、わかってくれたっすか? 」

 「まぁな。 そんでおめぇはこれからどうすんでぇ?」


 「この世界に来ちまったからには、小僧からやり直します。」


 「あぁ、それしかねぇべなぁ〜。ところで疑うようだけど、今年の重大事件なんて覚えてんだべ」

 「今年っすかぁ? チョッと待ってください」と伸二は携帯を再びスクロールした。

 伸二のもつ携帯はマイクロSDカード16GBの容量があり、歴史好きの伸二は幕末から現在までの主な出来事を保存してあったのである。


 「太郎さん、今年1985年は大きな出来事がありますよ」

 「8月12日に日航機123便が群馬県で墜落します。」

 「なんだってぇ!! 8月ったら来月だべぇ」・・・・・・


  伸二は魔法の携帯を持ったタイムトリッパーである。 この後、伸二はこの携帯によって莫大な富を生むことを今はしらない・・・

 つづく

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