「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Ｐａｒｔ５　その８７

「この道を行けば大通りに出られるよ。」
俊之は言った。
「意外に遠回りになりましたね！」
立花が言うと
「私はいろいろな所が見られて楽しいですよ。」
久美子は言った。
「急がなくても大丈夫ですよ。」
恵子が言うと
「どこかでお昼でも食べますか？」
陽子は言った。
「お腹が空きましたね？」
立花が言うと
「何か買って来ます。」
恵子は言った。
「ふたりで行こうよ。」
立花が言うと
「僕たちはここで待っているよ。」
俊之は言った。立花と恵子は足早に歩き出した。俊之が公園のベンチに座ると久美子と陽子も隣に座った。日差しが弱く空はうす曇である。立花と恵子が男たちに囲まれて歩留守方を見ると
「立花はさん！」
久美子は小さい声で言った。
「社長！」
陽子は言った。俊之が見ると立花を囲んでいる男の中に馬の顔があった。

「立花さん！」
久美子は驚いて言った。俊之が立ち上がると陽子は久美子の横に立った。
「これはどういう意味ですか？」
俊之は言った。
「私たちと一緒に来ていただきます。」
馬が言うと
「それは出来ないよ！」
俊之ははっきりとした口調で言った。
「断ったらどうなるか解っているね？」
馬は言った。
「何も起こらないと思うよ。」
俊之が言うと
「仕方がないですね！」
馬は言った。俊之が見ると馬は右手に登山ナイフを持って握り締めた。
「武器を持たないと何も出来ないのかい？」
俊之が言うと
「覚悟を決めてもらいます。」
馬は言った。
「いつでもかかって来なさい。」
俊之が言うと
「この野郎！」
馬は登山ナイフを持つと言った。立花が俊之を見ると
「これで終わりにしなさい！」
林は言った。馬が驚いて見ると林がゆっくりと歩いて来た。

「お前は北京警察署の林だな！」
馬は言った。
「私の指示従ってもらうよ。」
林が言うと
「警察の捕まらなければいいのだろう？」
馬は言った。
「ここにいるのは私だけではないよ！」
林が言うと
「それはどういう意味だ？」
馬は言った。大輪が素早い動きで久美子の傍まで来ると関口と遠藤は馬の近くに来ていた。さらに泰子と理佐が歩いて来ると翔太と育子も歩いて来た。
「お前を逮捕するという意味だ！」
林が言うと
「捕まえられるかな！」
馬は言った。
「必ず捕まえてやるよ！」
林が言うと
「ここで掴まるわけにはいかない！」
馬は言った。林が手錠を出すと翔太と大輪は林を凝視していた。
「お前は逃げられないよ。」
林は笑みを浮かべて言った。馬が周囲を見回すと
「私が居ることを忘れては困ります。」
健春が言うと
「まだ居たのか？」
馬は言った。健春が素早く歩いて来ると
「お前も終わりだな！」
林が言うと
「闘真拳のやつらに用はない！」
馬は言った。健春が無言で身構えると馬は殴りかかってきた。健春は素早く避けるとすぐ馬の腹部に回り込んで腹部に拳を当てた。
「健春さんの動きは警戒ですね？」
久美子は俊之に言った。
「うん。」
俊之が言うと
「痛てえ！」
馬は言った。
「健春さんが本気になったよ。」
俊之は小さい子声で言った。立花と恵子を囲んでいた男たちが逃げようとした周囲を見ると魯が目の前に立ちはだかった。馬が睨みつけると魯が身構えた。ふたりはそれぞれのプライドを前面に出していた。
「おとなしくしろ！」
魯が言うと
「青い龍のボスが出て来たか！」
長身の男は言った。
「今回は観念しなかったことを後悔させるぞ！」
魯は大きな声で言った。

「今回は拍子抜けしたよ。」
俊之は珈琲カップを置くと言った。
「林警部補が来てくださいましたね！」
久美子は言った。陽子が頷くと恵子はため息をした。
「うん！」
俊之が言うと
「青い龍も来てくれたのには驚きました。」
立花は言った。
「うん。」
俊之が言うと
「無事に総武ホテルに来られてよかったです。」
久美子は言った。
「ここに居ると日本に戻ったみたいなに錯覚するよ。」
俊之が言うと
「日本人のお客さんが多いですね！」
久美子は言った。北京総武ホテルは６割ほどが日本人の観光客である。
「今夜はゆっくりして明日はホテルと百貨店を視察するよ！」
俊之が言うと
「かしこまりました。」
陽子は言った。
「百貨店には平本さんも呼んでいます。」
恵子が言うと
「明後日には帰国しようと思っているよ。」
俊之は言った。
「それがいいですよ。」
久美子が言うと
「私も疲れてきましたよ。」
立花は冗談交じりに言った。北京総武ホテルは夕方の混雑する時間になっていた。

To be continued