「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Ｐａｒｔ５　その６７

「録音の会話を全てお認めになられますか？」
桜田は言った。
「はい。」
双薫が言うと
「ご自分に不利なことは言わなくていいですよ。」
菊池は言った。
「全て認めます。」
双薫ははっきりとした口調で言った。
「このままではあなたは国家反逆罪で実刑を免れないですよ。」
桜田が言うと
「それでも認めます。」
双薫は言った。
「解りました。」
桜田が言うと
「すぐに手続きをとります。」
菊池は言った。
「これからは検察官の取調べを受けていただきます。」
桜田は優しい表情で言った。

「たくさん食べてください。」
見富は笑顔で言った。
「はい！」
直子は言った。
「久美子さんもたくさん召し上がってください。」
千賀子が言うと
「俺にも優しい言葉をかけろよ！」
牧は冗談交じりに言った。
「千賀子はお前のことを嫌のようだ！」
見富は言った。
「これは悲しいよ。」
牧が言うと
「嘘ですよ。」
千賀子は言った。
「それはよかった。」
牧が言うと
「牧さんもたくさん召し上がってください。」
千賀子は言った。５人は自然公園の一角で楽しい時間を過ごしていた。
「肉はまだありますよ。」
見富が言うと
「そんなに食べたら体型が崩れてしまいます。」
直子は言った。
「今日は特別ですよ。」
千賀子が言うと
「以前にご迷惑をかけたお詫びです。」
見富は言った。牧がビールを飲んだ瞬間に数人の男が素早く駆け寄って来た。久美子と直子は行動を避ける余裕がなかった。見富は何が起こったのか状況を把握出来ないでいると長身の男が直子の腰にナイフを当てた。
「何をするの！」
直子が言うと
「お前たちは誰だ！」
見富は言った。
「俺たちはお付き合い願いたい。」
サングラスの男が言うと
「あなたたちはどなたですか？」
久美子は言った。
「一緒に来てくれれば解るよ。」
長身の男が言うと
「解りました。」
久美子は言った。
「行っては駄目よ。」
千賀子が言うと
「お前たちには渡さないぞ！」
見富は大きな声で言った。
「私は大丈夫ですよ。」
直子は言った。
「ふたりを離せ！」
見富が言うと
「抵抗はしないからナイフをどけてください。」
久美子は言った。
「その代わりに腕を掴ませてもらうよ。」
サングラスの男が言うと
「勝手にしてください。」
久美子は言った。
「牧も何か言え！」
見富は怒ったように言った。
「牧さんがいないわ！」
千賀子が言うと
「牧！」
見富は大きな声で言った。千賀子が周囲を見回すと牧が男たちに囲まれて立っていた。
「ここだよ！」
牧は言った。
「牧さん！」
千賀子が言うと
「そこで何をしている！」
見富言った。牧の横には泰子も立っていた。久美子と直子が泰子を見て少しだけ顔を動かすと泰子も顔を動かした。
「見たとおりだよ。」
牧が言うと
「俺を裏切ったのか？」
見富は言った。
「お前は利用しやすい男だな！」
牧が言うと
「許さないぞ！」
見富は大きな声で言った。
「ふたりは連れて行くよ。」
牧は言った。久美子と直子が牧たちに連れられて行く様子を見富は呆然としながら見ていた。

　田中が運転する社用車が幹線道路を疾走していた。走行車線から追い越し車線に移動すると素早く数台を追い抜いてから走行車線に移動する。田中の運転技術はプロのレーサー級である。
「次の交差点を渡ったら止めてください。」
俊之は言った。
「かしこまりました。」
田中が言うと
「待っていてください。」
俊之は言った。田中は交差点を渡ると社用車を止めた。俊之がドアを開けて車外に出ると
「この先にある街路樹の前で待っています。」
田中は確認するように言った。俊之が足早に歩き出すと田中はゆっくりと社用車を移動させた。

　久美子と直子はワゴンの後部座席に乗せられていた。ふたりとも目隠しをされているためにどこに向かって移動しているのか解らなかった。
「このふたりをどうするの？」
泰子は言った。
「お前には関係ない！」
サングラスの男が言うと
「新参者には何も言ってくれないのね？」
泰子は言った。
「行けば解るよ。」
長身の男が言うと
「このまま行くと湾岸の倉庫前に着くわよ。」
泰子は言った。
「倉庫前は暴れやすくて都合がいい！」
サングラスの男が言うと
「これから何が怒るの？」
泰子は言った。
「黙って見ていろ！」
長身の男が言うと
「あんたには怪我はさせないから大丈夫だよ。」
サングラスの男は言った。

To be continued