「雨のあとに虹」　コミュニティコミュの雨のあとに虹・Part３　その８８

「前向きに考えてみてくれないか？」
山本義和は電話の向こう側にいる中村に言った。
「はい。」
中村は言った。
「君が力を貸してくれれば私の設立した会社に迎えるつもりだよ。」
山本が言うと
「しばらく考えさせてください。」
中村は言った。
「うん。」
山本が言うと
「仕事中なので失礼します。」
中村は言った。
「結論が出たら連絡をしてほしい。」
山本が言うと
「解かりました。」
中村は言った。中村が通話を切ると
「山本さんから電話がきたのか？」
榊原は心配そうな表情で言った。まどかも中村を心配そうに見ると
「新会社設立するから来ないかと言われました。」
中村は考えるように言った。
「私は行かない方が良いと思います。」
まどかは言った。
「しっかり断りますよ。」
中村が言うと
「三友商事を辞めたら後悔するよ。」
榊原は言った。
「はい。」
中村が言うと
「転職の誘いはすべて断らないと誤った人生を送るだけだよ。」
榊原は言った。
「部長も確信をついた言い方をしますね。」
まどかが言うと
「山本さんは片山さんと繋がっているから危険率が高いよ。」
榊原が言うと
「あの片山さんは最悪ですね。」
まどかはあきれたような表情で言った。

「突然に押しかけてすまないね。」
天門は総武企画の応接室で俊之に言った。
「僕なら気にしないでください。」
俊之は言った。
「私は天門先生とお会いしたかったです。」
久美子は笑顔で言った。
「久美子さんにもお会い出来てよかったです。」
天門は言った。
「総武も社内セキュリティの強化をはじめました。」
俊之が言うと
「それはよかった。」
天門は言った。
「最近は怖い事件が多いですね。」
久美子が言うと
「私たちの中から被害者を出したくないから注意してください。」
天門は言った。
「何か動きがありましたか？」
俊之が言うと
「李先生から連絡が来ましたよ。」
天門は言った。
「李先生は何かおっしゃっていましたか？」
俊之は天門と視線を合わせて言った。
「青い龍のボスが日本で暴れるから圧力をかけるまでは気をつけるようにとおっしゃっています。」
天門が言うと
「解かりました。」
俊之は言った。
「総武はすぐにセキュリティの強化を検討したから少し安心しているよ。」
天門は周囲を見てから言った。
「セキュリティは立花さんたちが中心に進めています。」
俊之が言うと
「久美子さんも不審者には気をつけてください。」
天門は言った。
「はい。」
久美子が言うと
「笹川さんや大輪さんでは防げないことがあるかもしれないね。」
天門は言った。
「僕も慎重に行動します。」
俊之が言うと
「彼らの標的は間違いなく高村さんだよ。」
天門は言った。
「はい。」
俊之が言うと
「怖いですね。」
久美子は言った。少しの時間だけ沈黙が流れると応接室のどドアがノックされた。
「はい。」
俊之は大きな声で言った。応接室のドアが開くと
「こちらでしたか。」
立花は大きな声で言った。俊之が見ると立花と恵子が立っていた。
「お話中にすみません。」
恵子が言うと
「気にしなくていいよ。」
俊之は言った。
「セキュリティシステムに指紋を登録させてください。」
立花が言うと
「うん。」
俊之は言った。
「久美子さんも登録をしてください。」
恵子が言うと
「失礼します。」
立花は言った。

「気をつけてお帰りください。」
久美子は言った。
「失礼します。」
天門が言うと
「はい。」
俊之は言った。
「私はタクシーで帰るよ。」
天門が言うと
「お疲れ様でした。」
俊之は言った。天門が待っていたタクシーに乗るとスピードを上げて走って言った。俊之が久美子に視線を移すと総武企画本社の正面玄関から陽子が出て来た。久美子が振り返ると
「社長。」
陽子ははっきりとした口調で言った。
「はい。」
俊之が言うと
「セキュリティシステムが明日から稼働します。」
陽子は言った。
「予定通りに稼働出来てよかったよ。」
俊之が言うと
「久美子さんも認証出来ますよ。」
陽子は言った。
「少し緊張しますね。」
久美子が言うと
「これで社内は安全です。」
陽子は言った。
「セキュリティを突破出来るのは翔ちゃんだけだよ。」
俊之が言うと
「笹川さんは忍者みたいですね。」
久美子は言った。