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「雨のあとに虹」 コミュニティコミュの雨のあとに虹・Part3 その13

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「休憩に入ります。」
久美子は言った。
「はい。」
若菜が言うと
「食事は何処に行くの?」
小百合は言った。
「外に行ってみますよ。」
久美子が言うと
「ゆっくりして来てね。」
若菜は言った。久美子は休憩室を出るとエスカレーターに乗った。周囲の人に混じってエスカレーターで駅ビルの出口に来ると久美子は駅前広場に出た。交差点は人がたくさんいた。久美子が赤信号を待っていると
「堀川さん。」
桜田は久美子に言った。久美子が声の方向を見ると桜田と菊池雄介が立っていた。
「桜田さんと菊池さん。」
久美子は言った。
「これからお食事ですか?」
桜田が言うと
「はい。」
久美子は言った。
「食事をしながらお話が出来ますか?」
菊池が言うと
「何かあったのですか?」
久美子は言った。
「及川友宣が脱獄しました。」
桜田が言うと
「それはいつですか?」
久美子は言った。
「4日前のことです。」
桜田が言うと
「堀川さんにも接触してくる可能性があります。」
菊池は言った。
「充分気をつけてください。」
桜田が言うと
「はい。」
久美子は言った。
「とりあえず食事に行きましょう。」
菊池が言うと
「料金はこちらで持ちます。」
桜田は言った。久美子が桜田と菊池に案内されてレストランに入って行くのを及川は遠くから見ていた。

「総武としては片山さんの契約は難しいですね。」
立花は言った。片山が帰ったあとに社長室に戻って来たふたりである。陽子は黙ってふたりを見ていた。
「僕も立花さんと同じ意見だよ。」
俊之が言うと
「片山さんは三友商事で何をしたのでしょうね。」
立花は言った。
「僕から榊原くんか中村くんに聞いてみるよ。」
俊之が言うと
「中村さんなら教えてくれますね。」
立花は言った。
「うん。」
俊之は立花に言った。陽子は俊之を見つめていた。

「ここがネットカフェね。」
よしみは入口で言った。夕方の日差しが暖かいが虚しさを忘れることが出来ないほど今のよしみの心境は暗かった。ネットカフェに住んでいる若者がいるとニュースになっている昨今である。よしみも他人事ではなかった。よしみの再就職が決まらなければ今のアパートを出だされるのは時間の問題である。よしみは少し時間だけ黙って考えていたがネットカフェに入って行った。

「おい。」
矢島は俊之を見ると言った。
「遅れないで来られたよ。」
俊之は言った。矢島が利用するすし屋は今夜も混雑していた。
「石橋さんは会社で面倒をみるから心配しなくていいぞ。」
矢島が言うと
「それはよかった。」
俊之は言った。
「早苗が様子を見に行っているはずだ。」
矢島が言うと
「うん。」
俊之は言った。
「金融危機以来の不景気を何とかしてほしいものだな。」
矢島が言うと
「今が一番厳しい時期だと思うよ。」
俊之は言った。
「好きなものを食べろよ。」
矢島が言うと
「遠慮なくいただくよ。」
俊之は言った。すし屋は活気に満ちていた。

 よしみがネットカフェから出て来た。それほど遅い時間ではないためが店を変えて飲み直す人たちが多く歩いていた。夜になると少し涼しい気もするがこれから暖かい季節がやって来るのだ。よしみは周囲を見て大きく息を吐いた。明日も今日と同じ状態が続くのだろうかとよしみは不安を忘れることが出来なかった。よしみが歩き出すと前を誰かが立ち塞いだ。よしみの知らない若い男が3人ほど目の前にいた。
「少しだけ時間をくれよ。」
若い男のひとりは言った。
「私は急ぎますから失礼します。」
よしみは言った。
「ネットカフェから出て来たよね?」
若い男が言うと
「私を見ていたのですか?」
よしみは言った。
「ネットカフェで男を捜しているのなら俺たちが付き合うよ。」
もうひとりの男はよしみを見て言った。
「お断りします。」
よしみが言うと
「冷たいことを言うなよ。」
最初の男はよしみの肩を掴んで言った。周囲を歩く人たちはよしみたちを横目で見ただけで黙って通り過ぎて行くだけである。
「人を呼びますよ。」
よしみは言った。
「呼べるものなら呼んでみなよ。」
3人目男が言うと
「俺たちに逆らと痛い目に合うぞ。」
最初の男は言った。
「黙って俺たちの言うことを聞けよ。」
最初の男が言うと
「嫌です。」
よしみは言った。
「怪我をしたいのか。」
もうひとりの男は言った。
「止めてください。」
よしみは大きな声で言った。

 俊之と矢島がすし屋から出て来ると
「矢島。」
俊之は言った。矢島が俊之と目を合わせると俊之は頷いた。
「向こうの大通りから声が聞こえたぞ。」
矢島が言うと
「先に行くよ。」
俊之は矢島に言った。すぐに走り出した俊之の背中を矢島は見ていた。見ている間に俊之の背中が遠くなると
「高村は走るのが速いな。」
矢島は笑顔で言った。

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