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「雨のあとに虹」 コミュニティコミュの雨のあとに虹・Part2 その8

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「鼻を殴られて怪我をしたと言いたいのですか?」
取調室で桜田陽一郎は言った。桜田は一見するとエリート官僚に見えたがキャリア組の警部である。桜田の横に査部長の菊池雄介が座って一緒に話を聞いていた。菊池はキャリア組の桜田と違いスポーツマンタイプであり。38歳で巡査部長である。菊池は44歳の桜田とコンビを組むことが多かった。
「鼻を殴られましたよ。」
犯人の山口武生は言った。
「レントゲン撮影では殴られた痕跡もなく暴行を受けた形跡はないと医者が言っていますよ。」
桜田は言った。
「本当ですよ。」
山口が言うと
「嘘を言うと許さないぞ。」
菊池は山口に言った。
「あの時に高村という社長に殴られたのは事実です。」
山口は言った。
「殴られたのではなくて偶然に腕が顔に当たっただけだと目撃者の方たちは言っていますよ。」
桜田が言うと
「俺は間違いなく殴られましたよ。」
山口は言った。
「お前を取り押さえた若者たちは殴ったかもしれないと言っているぞ。」
菊池が言うと
「俺は高村という男に殴られましたよ。」
山口は言った。
「嘘を言うならもっとうまく言えよ。」
菊池は大きな声で言った。
「嘘ではない。」
山口が言うと
「この野郎。」
菊池は言った。菊池は山口の襟元を掴んで殴りかかろうとした。
「暴力はいけません。」
桜田は冷静な口調で菊池に言った。
「はい。」
菊池が言うと
「休憩にしましょう。」
桜田は言った。
「珈琲でも飲みますか?」
菊池が言うと
「少し疲れたのではありませんか?」
桜田は山口に言った。

「菊池くん。」
桜田は珈琲を飲みながら言った。
「はい。」
菊池が言うと
「不思議だと思いませんか?」
桜田は言った。
「何がですか?」
山口は珈琲を飲みながら考えるように言った。
「どうして被疑者の鼻に激痛が走ったのでしょうね?」
桜田は言った。
「よく解りませんね。」
菊池が言うと
「レントゲンや精密検査でも被疑者の身体に殴られた形跡はどこにもありません。」
桜田は言った。
「そうですね。」
山口が言うと
「むしろ数人の若者たちに押さえつけられた擦り傷の方が大きく残っているのにそ傷は痛くないと言っている。」
桜田は言った。
「山口は鼻の頭に物凄い激痛が走ったと言っていますね。」
菊池は考えるように言った。
「山口の供述が本当だとすれば鼻を殴られた場合には多少なりとも出血をするはずです。」
桜田が言うと
「その形跡はありませんね。」
菊池は言った。
「現場に駆けつけた警察官や周囲にいた目撃者も出血はなかったと証言しています。」
桜田が言うと
「目撃者の証言は信じていいと思います。」
菊池は言った。
「菊池くんも私と同じ意見ですか?」
桜田が言うと
「山口が嘘を言っているだけですよ。」
菊池は言った。

「夏休みはどうするの?」
椿純子は言った。純子は久美子と同じ北西大学の同級生である。学食は大勢の学生たちがいた。
「まだ決まっていないよ。」
久美子は言った。
「早く決めないと予約が取れないよ。」
純子が言うと
「せっかくの夏休みだから何処かに行きたいね。」
久美子は言った。夏休みが近いために学食で交わす会話もひとつである。久美子は定食を食べながら純子とゆっくりするのはしばらくお預けにである。久美子は夏休みになると純子と会ないのが寂しかった。
「サッカー選手の三田人志が一日コーチで来ているみたいよ。」
純子は唐突に言った。
「知らなかった。」
久美子は純子を見て言った。
「久美子はサッカーに興味がないみたいね。」
純子は言った。
「三田選手は知っているよ。」
久美子が言うと
「久美子はサッカーにも詳しいの?」
純子は言った。
「詳しくなくても三田選手はプロサッカーチームのマイスター東京所属なのは有名よ。」
久美子は言った。
「久美子は詳しいね。」
純子は驚いて言った。
「時々テレビで試合を見るから知っているだけよ。」
久美子は言った。

「君が元気になったので良かったよ。」
俊之は言った。俊之は岡村と中村が帰ったあとも榊原と社長室にいた。
「癌になって俺も考えさせられたよ。」
榊原が言うと
「そうかい。」
俊之は言った。
「人生に先がないのに人を裏切ったり陥れたりしてまで出世をした先に何があるのだろうと疑問を持ったよ。」
榊原は遠くを見るように言った。
「難しい質問だね。」
俊之は言った。
「今思えば俺の夢は小さいかったよ。」
榊原が言うと
「欲はあってあたり前だよ。」
俊之は言った。
「うん。」
榊原が言うと
「大切なのは実現するための方法だよ。」
俊之は言った。
「正攻法でないといけないのか?」
榊原はため息をつくように言った。
「そうだよ。」
俊之が言うと
「お前の言うとおりだな。」
榊原は言った。
「君も変わったね。」
俊之は微笑みながら言った。
「正攻法をしないと勝利は敗北に変わるよ。」
榊原が言うと
「君の言うとおりだよ。」
俊之は言った。俊之が見ると榊原は以前とは別人の表情であった。
「どそうだな。」
榊原が言うと
「君も僕と同じ年齢だからいくらでもやり直しが出来るよ。」
俊之は言った。
「今から間に合うだろうか?」
榊原は小さい声で言った。
「君の寿命が延びたのだから希望を持たないとダメだよ。」
俊之は優しく榊原に言った。

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