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BMW/850i/E31/V12コミュの車体に働く空気の力

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高速性能を一変させるほどの影響力を持つボディデザイン。
トップスピード、スタビリティ、そしてエコノミー性能。
いまやエアロダイナミクスを抜きに車は語れない。


空気抵抗と揚力

高速走行において「空気抵抗」が及ぼす影響はきわめて大きい。速度が増すほど車の前進する力を奪う目に見えない「空気の壁」だ。

空気抵抗による影響は80km/h程度から無視できなくなり、以降速度の2乗に比例して大きくなる。つまり速度が2倍で4倍に、3倍では9倍になる。実際にはタイヤの「転がり抵抗」などもあるが、エンジン出力での空気の壁を破れなくなった時が、その車の最高速。最高速や高速性能を重視するレーシングカーやスポーツカーはもちろん、燃費を重視する実用車でも空気抵抗の低減は重要になってくる。

車高は高いよりも低いほうが抵抗が少なく、形状自体も走行風をスムーズに後方に受け流す流線型やウェッジシェイプ(くさび型)が有利。さらにボディ表面に余計な凸部がない=フラッシュサーフェイスは、空気抵抗を軽減させるデザイン処理といえる。

一方、留意点もある。空気抵抗の小さいボディは、横から見ると飛行機の主翼のような形状になっていることが多い。このようなボディは上部を流れる空気が下部よりも速くなり、ボディを上方に浮かせようとする力=揚力が発生してしまうという問題が生じる。しかし揚力を抑えるためには空気抵抗を増す必要があるため、空気抵抗と揚力のバランスポイントをどこに置くかが、デザイン開発の重要な鍵となるのだ。

さらに高速走行では直進性を乱す横風も無視できない要因となる。エアロダイナミクスは空気抵抗、揚力、そしてヨーイングモーメントまで含めたトータルバランスで考える必要がある。



前面投影面積 [Frontal area] 図1

車を正面から見た際の車体シルエット。この面積が広いほど走行風を多く受け、抵抗が大きくなる。スポーツカーが低く構えたボディを採用するのは、前面投影面積を極力小さくするためでもある。1BOXやミニバンは必然的に不利となる。


Cd値-空気抵抗係数 [Constant drag] 図2

ある物体に風を当てて、どの程度スムーズに空気が流れるかを示した係数。あくまで係数であるため速度には影響されない。実走行で問題になる「空気抵抗」は、この空気抵抗係数(Cd)に前面投影面積を掛けたもの。従って仮にCd値自体が大きくても前面投影面積の小さいスポーツカーは空気抵抗が小さく、セダンなどでは逆のことがいえる。


CL-値揚力係数 [Constant lift] 図2

高速走行の走行風によって生じる車体を浮き上がらせようとする力の係数。反対に車体を下方向に押し付ける力を「ダウンフォース」あるいは「マイナスリフト」と呼ぶ。ダウンフォースを得るには空気抵抗を増加させることが求められ、また挙動の安定化を図るには前後のダウンフォースを最適にバランスさせる必要がある。


CYM値-ヨーイングモーメント係数 [Constant yawing moment] 図2

走行中に受ける風は前からとは限らない。さまざまな方向から風を受けた時に車体の中心軸周辺に発生し、回転させようと作用する力=直進性を妨げる力をヨーイングモーメントという。CYM値が小さい車は横風にも強いといえ、一般的に重心高が高いトールボディは不利とされている。

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