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真夜中、幽霊、シーツ、七階コミュのすべて藪の中

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じりりりと電話が鳴ったので取ると、八尋くんだった。
「もしもし、明くん?ぼく、今〇〇駅にいるんだ。来てほしい。」八尋くんはそう言って切ってしまった。午後三時、これから観たいアニメが始まるけれど、八尋くんの言うことは絶対だ。
「お待たせ、八尋くん。」八尋くんは駅の喫煙所にいた。煙草を潰すと立ち上がり着いてくるように促す。
「こんなところで何をしていたの?」「特にさ。」
八尋くんは手の内を明かすようなことはしない。ぼくを対等に見ていないからだ。でもそういう所を含めぼくは八尋くんがすきだった。
元々林が多い地域だが、どんどん雑木林の中へと入っていく。八尋くんは、こんなところで本当に何をしていたのだろう。ある程度奥に入ると少し開けた場所に出た。
「…犬、」
犬が三匹、倒れている。首になにかが深く刺さっている。鉛筆だった。
八尋くんは大柄な方ではない。ひとりで犬を三匹殺せるか。どれも民家でよく飼われているような中型の柴犬だ。殺したとしてもここまで連れてこれるだろうか。ひとり?ひとりで?
「八尋くんがやったの?」
八尋くんは答えなかった。「埋めたいんだけどね、穴を掘るのは骨が折れるだろう。」手伝っておくれよ。煙草に火を着けながら言う。
「わかった。」八尋くんは少し口の端をあげ、近くの木の裏に隠していたらしいスコップを投げて寄越した。
手伝って、と言ったはずなのに八尋くんは全く動こうとしなかったしスコップを取り出すこともなかった。ぼくがひたすら穴を掘っている横で煙草を吸い続けている。
「三匹分ともなると、かなり深いな。」
気付くと、ぼくは穴から八尋くんを見上げる体勢になっていた。
「ぼくが手助けしないと、明くん、きみはもう上がってこれないね。」煙草をぼくの横へと投げ捨てながら八尋くんは言う。火の粉が少し掛かった。
「しぬのは嫌かい。」「…嫌だ。」「なぜ?」「なぜって、」「会いたい人がいる?食べたいものがある?やりたいことがある?」ぼくが手を伸ばさないともう、何にも出来ないっていうのに?
強い風が吹く。頭上の林が揺れる。暗くて、八尋くんの顔は見えない。今は何時だろう。
それから、どう帰ったかは覚えていない。

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