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真夜中、幽霊、シーツ、七階コミュのサタニスト

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メグはピンク・ラメのマニキュアを塗りながらテレビを観て、クッキーをつまんでいた。彼女とはもう何年もの付き合いだけれど、こういう所よくばりだよね、と思う。もちろん言ったことはない。

ここは私のアパート。時間は午前八時。これから二人で学校に行く。メグはほとんど私のアパートに住んでいるようなものだった。彼女の母親は典型的な頭の悪い女だ。メグをバカみたいにただ可愛がった。ほしいと言われたら何でも買い与えたし、ぜんぶメグの言うとおりにした。
そんな母親を嫌ったのか、メグは今やほとんど家に帰らなくなった。けれど母親みたいにバカなわけじゃない。バカのふりをするのはとても得意だけれど。メグはその金髪や緑の目で、誰にでも愛想を振りまく。みんな騙される。メグは可愛いだけの女の子だと思い込む。
ほんとうのメグには、驚くほど冷めた一面があるというのに。メグは、表には出さないこそ醜いものを徹底的に嫌っている。人も物も関係ない。私はたまたまそれなりの容姿をしていたからメグに気に入ってもらえただけ。でもそうでない人間よりよっぽどいい。メグは気に入らないものは徹底的に軽蔑していたからだ。

昼、カフェテリアでメグは飲み物を、私はパンを買って座った。通りすがりの男の子たちに声を掛けられる。
「ハーイ、メグ」
メグは安っぽく手を振り返した。ぜんぶ可愛いバカのふり。それから小さく「消え失せろ」のサイン。
「気分が乗らないわね、屋上に行こう」
メグはいつも屋上で煙草を吸う。立ちのぼる煙と、メグの胸元のリボンがあまりに不釣り合いだ。私は黙ってパンを食べた。


「ただいまァ」
アパートに着いてすぐ、メグはソファに倒れ込む。 勉強するでもなく、みんなに愛想振りまいて、煙草を吸って。でも、勉強より疲れるのかもしれない。メグは思い出したようにポケットから可愛らしいピンク色の手紙を取り出し、流し読んだ。そして溜め息。
「ねえ、あたしったら女の子にもモテるのよ」
stupid!ばかばかしい。
「あたしが一番ですって、ねえ、あんたたちの一番なんて、なんっの価値も無いっていうのよ」
私は黙っている。私はメグが毒を吐いているとき、何か口を挟むような真似はしない。メグも意見を求めているわけじゃない。
「teen-agerって軽く見られてるけど、本当は一番世界が見えてしまう」
「そうだね」
「今を乗り越えれば、おめでとう、無事大人に」
気が滅入った。テレビをつけるとニュース番組。両親を殺した少女についての報道。この子は、独房で、自分が手に掛けた両親のことを思い出すのかしら。夜に、自分の罪を泣くのかしら。
「ドラッグだとか、アルコールだとか、そういったものばかり好んでる子になれればよかった」
メグはライターを取り出して手紙を燃やす。無表情で。
「そんな、何も知らない、バカな子になりたかった」
「そうだね」



「あたし、あんたも嫌いなのよ」
「知ってる」


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