仁双弐心〜J.A.T.S〜コミュの仁心怪談〜十六夜行〜

仁双弐心オリジナル曲第２段




仁心怪談〜十六夜行〜　（じしんかいだん〜いざよいやこう〜）




〜コンセプト〜

お化け屋敷〜月夜の元に、百鬼夜行を率いる妖〜

仁心怪談の『怪談』とは…
小泉八雲が著した怪奇文学作品集。1904年に出版された。八雲の妻である節子から聞いた日本各地に伝わる伝説、幽霊話などを再話し、独自の解釈を加えて情緒豊かな文学作品としてよみがえらせた。
その怪談集の中の「狢」「雪女」を選び、その世界観を仁双は踊りで表現します。




〜登場人物〜
煽り…ぬらりひょん（妖怪の総大将）
女性踊り子…雪女
男性踊り子…狢（変化の鼬の妖怪）
全員…幽霊
　



〜作成〜
構成･･･Shojinsou
作曲･･･桐畑さん
振付･･･Shojinsou
衣装･･･スージーパーカーさん






〜「十六夜行」の物語〜

秋の十五夜の次の日
人里少ない荒野の片隅にある墓地…
そこにたたずむ一人の老人
切り裂く風の音と共に、その老人の声
「我が身に雇いし眷族よ、十六夜満今日この日
　黄泉の門開くもの我なり、開け黄泉の雷」
その声と共に、天から降りる黄泉の光
この世と縁を切り氏し者達、月夜に照らされ、次々と蘇る
十六夜の光が怨霊、怨念、怨恨たちの恨みと未練を果たす…
一夜限りの大行進…
世にも奇妙な現象が、人間達を恐怖に包む…
　


この日を今か今かと待ち構えていた妖怪達
思いのままに甦り、その喜びを噛み締めていると
背後から、強大な力を感じる
黄泉の光によって老人もまた姿を変えた…妖怪ぬらりひょんに…
妖達はぬらりひょんの畏に屈し、総大将と認め杯交わす
「明鏡止水　夢見草　その波紋　鳴り止むまで
　全てを燃やし続ける　夜明けと共に　塵となれ
　各地に赴き畏の満ちた夜にせんとする」
総大将の一言で各地を支配しだす妖達



まずは、妖怪狢の世界
狢とは人の姿に化けて人間達を脅かす鼬の妖怪
とある人里少ない山道を一人の旅人が歩いていた。
村人が歩いていると、道の奥で一人の村人らしき男がたたずんでいたそうな。
旅人はその男に「何しているの？」と尋ねると
村人は「別に…」といい振り向かない
気になった旅人は何をしているのか覗きこんで村人の顔を見たそうな…
その顔を見た旅人は驚いて腰を抜かした
それは村人ではなく…のっぺらぼう…
「ねぇ…何して遊ぶ？」クスクス笑いながら誘うのっぺらぼう、
驚いた旅人はあわてて逃げる。一心不乱に逃げると小さな村にたどり着く
旅人はその村の村人に、のっぺらぼうに出会った経緯を話す、
すると村人はクスクス笑う…
村人はこう言う…
「それってもしかして…さっき見た顔、こんな顔？」
それは村人ではなく、再びのっぺらぼうであった。
会う村人みな、のっぺらぼう、ここは狢が作り出した幻影の村
人間達を誘い込んでは脅かし楽しむ
畏おののく狢の世界


　
次は、妖怪雪女
積雪荒れる雪山で、出会ってしまったならば…
そこに現れるのは、全てを凍てつく氷の瞳の持ち主の雪女
淡く切ない恋物語…
その雪山で一人の男が遭難したある日のこと、
男はそれは夢か幻か…白い着物を着た美しい女性に遭遇する。
その女性は周りの全ての物を凍てつかせ、
目が合った全てのものを凍り付けにしてしまうのだ。
これが噂に聞いた雪女…男はこの世を諦めた…その時、
雪女は男にこういうのだ…
「私に会った事を決して言うことなかれ
　この約束を破ったならば…」
男は最後まで聞き取れず意識は遠のく…目が覚めたら山のふもと
命は助かり、村に帰る
どうやって登山できたか記憶は無いが…冷たさのみ記憶に残る
数年して、その村にそれは美しい女性が村にやってきて、二人は出会う
二人はたちまち恋に落ちてしまう
初めて会うのだが、男はどこか初対面ではない違和感を残しながら…
数年後、結ばれた二人は結婚し、
気を許した男は雪山での出来事を話してしまう
そして、女はこう言う…
「ついに喋ってしまったのですね。お別れしなくてはなりません」
辺りはあの雪山のごとく急にまっ白になり、女は雪のように儚く消えた…
「この約束を破ったならば…再びこの世界へと舞い戻ってくるでしょう」
最後の言葉を思い出し男は息絶えた…
人間になってまで恋をすることを夢見た、
雪女の冷たく悲しい恋物語…



各地で畏れを振りまいていた妖達
十六夜の今日の日、終結しよう
まずは先頭に立つのは、ぬらりひょん…一鬼夜行
「わが身にまといし妖よ、終結せよ
　まれびと達を恐怖にもてなせ
　闇に白く輝け、凍てつく風に畏れおののけ、これが我らの百鬼夜行」
この声に反応し、
徐々に徐々に増えてくる妖達…三十三鬼夜行…八十八鬼夜行…百鬼夜行…
十六夜輝くこの夜に、盛大に盛り上がろう
妖達のどんちゃん騒ぎ、人間を脅かし、楽しみ盛り上がり。
一日限定のこの日を噛み締めて、儚き時を過ごす。
終わらない夜は無いのだろうか…永遠に夜は続かないだろうか…
朝日と共に姿は消えて、それは幻だったのか??
でも、確かに残る恐怖の記憶…
その恐怖の記憶がある限り、記憶と共に黄泉返る、この世と縁を切りし者
どこか憎めないその姿
きっと闇の世界で存在しよう…表の世界に出れる日を、今か今かと待ち構え
人間達は今日この日を名付けよう…
　



　　　　　　　　　　　　　　『十六夜行』と…