Pierre Christin(ピエール・クリスタン)原作、Jean-Claude Mézières(ジャン=クロード・メジエール)作画「Valérian – agent spatio-temporel(時空警察官ヴァレリアン)」シリーズ第0巻『Les Mauvais Rêve(悪夢)』(Dargaud[ダルゴー]社、2000年刊)読了しました。フランスSF漫画の古典的シリーズです。例によって椿屋さんに貸していただきました。椿屋さん、ありがとうございます! さて、0巻というのはおかしな言い方ですが、この最初のエピソードは1967年11月9日の『Pilote(ピロット)』誌に掲載されて以来、長い間単行本化されていず、2000年になって発売された時には、第1巻『La Cité des Eaux Mouvantes(洪水の町?)』を始めとして、既に17巻まで刊行されていたので、1巻以前ということで、こういう扱いになったようです。現時点での最新刊が2004年に出た第19巻「Au Bord du Grand Rien(大いなる虚無の果て)」、BDではそれほど珍しくないのかもしれませんが、相当息の長いシリーズです。梗概は以下のとおり。
Christin(クリスタン)原作、Mézières(メジエール)作画「Valérian – agent spatio-temporel(時空警察官ヴァレリアン)」、第1巻『La Cité des Eaux Mouvantes(洪水の町)』(dargaut[ダルゴー]社、1998年刊)読了しました。例によって、椿屋コレクションのお世話になりました。椿屋さん、ありがとうございます! 僕が読んだのは1998年版ですが、オリジナルは1968年に出ています。ウィキペディア・フランス語版の解説によると、この巻が出た後、1969年に第3巻として『Terre en flammes(焦土)』という巻が出版されたようですが、後にこの第3巻は十数ページの削除を経て、第2巻に組み込まれたようです。この加筆がいつなのかはわかりませんが、現行の第2巻はそういう操作を経た後の作品みたいですね。さて、梗概は以下のとおり。
グゾンビュルの事件も解決し、久しぶりの休暇を満喫しているヴァレリアン。前回の冒険でヴァレリアンと危険を共にしたロルリーヌも今では時空警察官の一員として働いており、今回の休暇には彼女も同行している。そこへ突然、時空管理局の長官から呼び出しがかかる。早速当局へ向かうと、あのグゾンビュルが脱走したらしい。今回彼が向かったのは1986年のニューヨーク。話を聞いたヴァレリアンは驚きを隠せない。1986年と言えば、地球の暗黒時代(笑)である。それは、極地に保管されていた水素爆弾の誤爆が原因で未曾有の大災害が地球を襲った時代だった… まずはヴァレリアンが1人で20世紀末のアメリカに向かうことになる。だが、着いた早々から彼は危険に見舞われてしまう。24世紀と20世紀の中継地となっている自由の女神のトーチを抜けると、大災害が引き起こした高波にさらわれてしまったのだ。溺れかけたヴァレリアンを救ってくれたのは、船に乗った数人の武装集団だった。彼らは大災害の混乱に乗じて掠奪行為を働いている海賊らしい。目を覚ましたヴァレリアンはなんとか彼らの拘束から脱出し、荒廃したニューヨークの調査にとりかかる。グゾンビュルの居所を捜し求める彼は、かつての国連図書館がロボットたちによって厳重に警備されているのを発見する。情勢の不利を悟り一旦引き下がるヴァレリアン。彼が再び海賊船に戻ると、そこにはロルリーヌが未来から駆けつけてきていた。2人は国連図書館を詳しく調べるために海賊たちの協力を仰ぐことにする。海賊の長 Sun Rae(ソン・レ?)を説き伏せると、一行はロボットたちによって厳重に守られた国連図書館に向かう…
ということで、第1巻、紹介してみました。やはり前巻同様、半分位までの紹介で、これからいろんなことが起こります。地球の終末の風景を扱った作品なわけですが、タイム・トラベルというテーマは措くとして、たしか手塚や石森にもこんな作品がありましたよね? 他にもきっとたくさんあるはずなので、日仏米を問わず時系列的に並べて比較してみると面白いかもしれません。現代の目から見ると衝撃度はそれほど高くありませんが、出版された当時はかなり感動的だったんじゃないでしょうか? 前作の『Les Mauvais Rêve(悪夢)』と比べると、物語的にだいぶ面白くなってる印象がありますし、絵的にもかなりよくなってる気がします。夕焼けの空をバックに人気のない高層ビルが屹立し、海鳥が上空を飛び回るコマがあって、これなんてちょっとかっこいいです。どのBDにも言えることかもしれませんが、大きなコマはいいですね。表紙もかなりかっこいいです。基本的に僕は廃墟ものに弱いので、たまりません… あと、嵐のあと陽が差し込むコマとか… まさしくピクチャレスク‐サブライムです! テーマの問題からか、前作にはそれほどメカは登場しなかったんですが、今回はメカのオン・パレードです。人間を小さくしちゃう装置とか(当然ながらロルリーヌちゃんが小さくされちゃうわけですな… すねるロルリーヌちゃんがかわいい。『南くんの恋人』状態です)、空飛ぶ円盤とか、人間を閉じ込めるシャボン玉みたいな装置(「la bulle-prison(牢獄風船)」と名づけられてます。リモコンで動く!)とか… 最後にタイトルにちょっと触れておくと、『La Cité des Eaux Mouvantes』と銘打ってる割に、全体に水だけで統一しているという感じではありません。これは上で述べたように、本来第3巻だった『Terre en flammes(焦土)』を混ぜ合わせたせいかもしれませんが… たしかに前半だけ考えれば、海とか嵐とか水のエレメントが多いかな… ただ、この「Eaux(水)」にはそういう単純に絵的な部分だけでなく、象徴的な意味合いもあったりします。というか、むしろこの象徴的な意味合いがメインなのかもしれません。物語は1986年の地球の壊滅的な打撃から始まるわけですが、作中の登場人物たち―海賊ソン・レと、上の紹介には挙げませんでしたが、Schroeder(シュレーダー?)博士―が中心になって、その荒廃の中からギャラクシティ建国への第一歩が刻まれるという終わり方をします。つまり「水」はここで、古い文化を浄化するものとして機能してるわけですね。そんなこんなで『洪水の町』と訳してみたわけですが、うーん、いかがなものか…
Christin(クリスタン)原作、Mézières(メジエール)作画「Valérian – agent spatio-temporel(時空警察官ヴァレリアン)」、第2巻『L’Empire des Mille Palanètes(千惑星帝国)』(dargaut[ダルゴー]社、2000年刊)読了しました。例によって、椿屋コレクションのお世話になりました。椿屋さん、ありがとうございます! オリジナルはウィキペディアの仏語版の解説によれば1970年、本のクレジットによれば1971年に出ているようですね。第3作目は地球を離れ、宇宙が舞台になります。梗概は以下のとおり。