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BDについてもっと知りたい!コミュの2008年度第8回BD研究会実施報告

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日時:2008年11月23日 日曜日 13時30分〜17時15分

場所:新宿区・東京日仏学院 301号室

参加者: ceena さん、echo さん、Father Uさん、Freddo さん、キガリスープさん、アキタさん、ショードヴァル、せのつくさん、ぬゑさん、璧(ぺき)さん、他コミュニティ不参加者6名(計16名、アルファベット順、続いて五十音順)

今回は、昨年の11月と同様に、「マンガ・ヨーロッパ」コミュの管理人 midor0ma さんをはじめ、イタリアからのゲストをお招きして、イタリアのマンガ事情について話を伺いました。ちなみに昨年のレポートはこちらです↓
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=25334726&comm_id=424387

概要:
13:30〜
雑談。

13:50〜
自己紹介、近況報告。

14:10〜
ゲストの自己紹介。ご参加いただいたのは、midor0maさん、イタリアのインターナショナル・コミック・スクールの教務課長カテリーニ・ジョルジャさん、同校を優秀な成績で卒業したばかりのディアナ・メルコリーニさんとパメラ・ポッジャーリさんの計4人です。

14:20〜
イタリア・マンガの概説については昨年してもらったということもあり、今年はまずインターナショナル・コミック・スクールの卒業生、ディアナさんとパメラさんの作品を見せてもらい、二人に自作について話してもらいました。

ディアナ・メルコリーニさんが持ってきてくださったのは卒業制作で作った作品とのこと。ディアナさんはバンド・デシネ・コースに在籍していて、そこでは既刊の作品を生徒が描き直すという課題が与えられるそうです。いくつか選択肢があるそうですが、SFが好きなディアナさんは Giovanni Gualdoni(ジョヴァンニ・グァルドーニ)シナリオ、Matteo Piana(マッテオ・ピアナ)作画の L’Anneau des 7 mondes, Les Humanoïdes Associés, 2003~(『7つの世界の指輪』レ・ユマノイド・アソシエ刊、2003年〜)を選んだとのこと。作品は19世紀末的なテイスト溢れる冒険譚です。ディアナさんのファイルは、同じ作品の、鉛筆描きとペン入れをしたもの、着色をしたものの3ヴァージョンとキャラクター設定を収めていたのですが、これは、将来、バンド・デシネの仕事をする場合、ペン入れやカラーリングなど、一つの作品の様々な段階に関わる可能性があり(自分で全部行う場合も、ある一部分だけ分担する場合もあります)、それぞれに対する適性を示すためということでした。非常に細密な絵でしたが、自分一人で作成し、すべて手作業で行っているそうです。

パメラ・ポッジャーリさんが持ってきてくださったのは、特に卒業制作とは関係のない自作の作品集とのこと。ご友人と共同で作った作品も含まれています。内訳は、子ども向けのかわいい感じの作品が2点と日本の同人誌っぽい作品が1点、ポルノグラフィー的な作品が1点。同人誌っぽい作品については、日本の香代乃という作家の作品を参考にしたとのこと。ポルノグラフィーについては、有名なルッカのコミック・フェスティヴァルにも出品され、彼女は既にその作品で作家としてデビューを果たしているそうです。

以下は2人の話に関連して挙げられた質問です。

A.ポルノ作品のレイティングはどうなっているのか?
Q.マンガが売られているのは基本的にマンガ専門店であり、ポルノ作品は子どもが手に取りにくい場所に置かれるという配慮がなされている。日本とは異なり、子どもが自由にマンガを買える権限を有していないということもあり、それほど厳しいレイティングは課されていない。

Q.マンガ専門店は子どもが来店したりもするのか?
A.放課後、子ども同士で訪れるというようなことはよくある。立ち読みも黙認されている。

Q.ルッカのコミック・フェスティヴァルとは?
A.ローマのコミック・フェスティヴァルと並び、イタリアで最大のコミック・フェスティヴァル。ローマのフェスティヴァルよりいろいろな面で工夫が見られるとのこと。今年度は10月末から11月初頭にかけて行われた。マンガの見本市であると同時に、有名作家のサイン会や、新人の持ち込みなども行われる。

Q.イタリアのマンガ制作においてコンピューターはどれくらい導入されているか?
A.あまり浸透していないが、カラーリングについてはかなりコンピューターが用いられている。2人の学生が今回の短期留学で感心したのは「Comic Studio」というソフトだった。

2人への質問の途中でイタリアの市場について midor0ma さんから説明がありました。Midor0ma さんによると、イタリアの市場は、主にディズニー、DCやマーヴェルなどのアメコミ、日本のマンガ、イタリアの Bonelli(ボネッリ)の4つから構成されるとのこと。ボネッリについては昨年も話してもらいましたが、イタリア・マンガのクラシックとも言うべき作品群を出している出版社で、ウェスタンものやサスペンスものが多く、その作品は駅のキオスクなどで売られているということでした。Tex Willer(『テックス・ワイラー』)という作品が代表的なものですね。たぶんこれがホームページだと思います。
http://www.sergiobonellieditore.it/

もちろん、これ以外にオルタナティヴ系の作品もあるのですが、勢力としては微々たるものだそうです。Igort(イゴルト)が運営に関わっているCoconino(ココニノ)という出版社がよく知られているのですが、それ以外に今回は、 T-nué(トゥヌーエ)という出版社とニコラ・ペッシ(綴りがわかりません…)という出版社の存在も教えていただきました。これらの出版社はどこもなかなか厳しい状況で仕事をしているそうで、midor0ma さんによれば、ココニノは原稿料なしだが、世界各国で1500部ずつ刷り、その売上げ、何パーセントかは不明ですが、それについては作家が受け取る。一方、トゥヌーエなどは150ユーロの報酬しかもらえないなどということがあるそうです。

イタリアのマンガをめぐる状況はなかなか厳しいようで、1970年代末から5年間ほど、6、7タイトルの月刊誌が出版され、マンガ業界が活況を帯びたことがあるそうですが、今、現在はイタリアでマンガを描いて食べていくことはかなり難しいことだそうです。上に挙げたボネッリで作品を描くか、そうでないとすれば、食えないことを覚悟の上で、自分の好きな作品を描き、オルタナティヴ系の出版社から出す。あるいはいっそ、アメリカやフランスなど他の市場に向けて作品を描くということになるそうです。

以上の話を受けて質問。

Q.イタリアのマンガでよく読まれているものはどのようなものか? 
A.ボネッリの作品がそれに当たるが、読者が高年齢層化しているという問題がある。オルタナティヴ系の作品については一定の読者層しか有しておらず、イタリアのマンガはヒットしないと一般に見なされている。Mattotti(マットッティ)のように高く評価されている作家もいるが、そういう作家は、まずイタリア外で評価され、それが逆輸入されることが多い。

Q.おすすめの作家、作品などあるか?
A.70年代末に活躍していたAndrea Pazienza(アンドレア・パツィエンツァ)。
※ midor0ma さんにパツィエンツァを紹介するサイトを教えていただいたので、リンクを貼っておきます。
http://www.2fly.it/paz/galleria.htm

Q.アントニオ・ルビーノなどの初期の大家についてはどのように扱われているか?
A.マンガというくくりではなく、芸術書として一般書店で売られている。他にも同様な扱いを受けている作家が何人かおり、例えば、ユーゴ(ウーゴ)・プラットやミロ・マナラ、グィド・クレパックスなどもそういった作家である。

15:30〜
休憩。

16:00〜
midor0ma さんはジョルジャさんとともに「ネコノアシ」というマンガ専門のエージェントもなさっているのですが、今度はその「ネコノアシ」について、主にジョルジャさんに話していただきました。

「ネコノアシ」は昨年立ち上げたばかりのエージェント会社で、イタリアのマンガを日本に紹介したいという気持から始められたそうです。日本のマンガとイタリアのマンガは相当違うわけで、そのまま持ってくるのは不可能であっても、イタリアのマンガの中にも日本の読者に受け入れられる要素が何かあるのではないかという考えが出発点にあるとのこと。もともとは「猫の橋」という名前を考えていたそうですが、イタリア語風に発音して「ネコノアシ」となったそうです。「ネコノアシ」のWEBサイトにサヴェリオ・テヌータさんが描いたというかわいい猫の絵が掲げられていますが、この猫の足は日伊をつなぐ架け橋でもあるわけですね。
http://www.nekonoashi.com/index.html

ちなみに今回持ってきてくださったのは、
ジャコモ・ナンニ『クロナケッテ』、『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』
http://www.nekonoashi.com/jp/nanni.html
※作品の紹介はありません。
ルカ・ルッソ&クリスティアーノ・シルビ『私をもっとしっかり見て』

それから、マウロ・カオの作品もいくつか持ってきてくださいました。
http://www.nekonoashi.com/jp/cao.html

どの作品も非常に魅力的で、僕は詳しく読んでいませんが、ぜひ読みたいと思わせるものでした。

この話を受けて質疑があったのですが、しっかりメモをしてなかったので、割愛させていただきます…(笑)

17:15〜
終了。片付け。

コメント(1)

ショードヴァルさん、いつもながらの詳細な報告ありがとうございます。

文中のニコラ・ペッシのつづりは
Nicola Pesciです。
http://www.nicolapesceeditore.it/
↑サイトには何も情報がなくて↓へ行くように誘導しています。

http://www.tespi.it/pagine/i_marchi
5月からTespi, Ducas, King Komix という出版社と共同するようになったとあります。
出版業の厳しさを伺わせてくれます。

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