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BDについてもっと知りたい!コミュの『La Légende des Nuées Écarlates(紅い雲の伝説)』

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 11月に来日し、「マンガ・ヨーロッパ」コミュとの交流会にも参加してくださった Saverio Tenuta(サヴェリオ・テヌータ)さんの『La Légende des Nuées Écarlates(紅い雲の伝説)』第1巻「La Ville Qui Parle au Ciel(空に語りかける町)」(Les Humanoïdes Associés[レ・ユマノイド・アソシエ]、2006年刊)の内容を紹介してなかったので、改めて紹介します。交流会の際にこの本ができた背景について語ってくださっており、それについては交流会の報告(http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=25334726&comm_id=424387)に記してあるので、関心がある方は参照してください。そこにも書かれていますが、この本はテヌータさんのフランス・デビュー作で、テヌータさんはこの作品で、Festival de Nîmes(ニーム漫画フェスティヴァル)の新人賞を受賞しているようです。さて、梗概は以下のとおり。

 舞台は中世か近世の日本、雪深い村里のとある小屋で Meiki(メイキ)という名の1人の少女が文楽を演じている。語られているのはどうやら将軍家の秘密であるらしい。年老いた将軍が悪鬼と契約を結び、多くの臣下の命と引き換えに永遠の命を手に入れる。ある時、彼に娘が生まれるが、すると悪鬼はこの娘を捧げることを要求する。娘を捧げることを頑なに拒む将軍。やがて娘は成人するが、悪鬼に操られ、父を殺害してしまう… 物語が佳境に差し迫った時、幕府の役人が侵入し、文楽の上演を妨げる。押し入ったのは Kawakami(カワカミ)と名乗る長に率いられた一隊で、将軍の命を受け、メイキを捕らえにきたのだと言う。危うく役人の手に落ちかけたその瞬間、彼女は1人の武士によって救い出される。素性の知れぬその武士にしたがって追っ手を逃れるメイキ。が、役人たちの手を逃れたのも束の間、loups d’izuna(飯綱の狼)と呼ばれる、凍てつく氷の森を根城にし、度々人間の世界を脅かしている怪物たちが2人の前に立ちふさがる。大混乱に陥る村の住民と幕府の役人たち。やがて2人は1匹の狼に追い詰められてしまう。と、武士が立ち上がり、狼と対峙する。初めて武士の姿をまじまじと目の当たりにするメイキ。彼は片目と片腕を欠いていた… 追い詰められた武士はやおら背負っていた籠を取り出し、それを狼の方へと掲げる。どうやらその籠の中には得体の知れないものが入っているらしい。血の雫がこぼれては真っ白な雪を赤く染めていた… 籠を見ると、狼はなぜか怖れをなして、その場を逃げ去ってしまう。かくして危機を脱した2人であるが、代償も大きく、武士は一連の騒動に際して深い傷を負ってしまっていた。メイキは傷ついた武士を手当てするために、彼を自分の面倒を見てくれている老婆 Jera(ジュラ)の元へと運ぶ。悪夢とともに目を覚ます武士。彼は名を Raido(ライドー)と言った。しかし、彼は自らの記憶を失ってしまっていて、思い出すものと言えば、自らの名と多くの死体に囲まれて雪の中に倒れている自分の姿のみ。既に彼は片目と片腕を失ってしまっていて、自らの持ち物である2振りの剣に手を伸ばそうとすると、目の前に立ちはだかる大男がそれを奪ってしまうのだった… そして、それ以来、彼はどこから訪れるともわからない得体の知れない声に悩まされ続けることになる。彼を文楽を演じるメイキのところへ導いたのもその声に他ならなかった。ある夜、まだ傷の癒えぬライドーは、声に導かれるまま将軍の鎮座する城へ向かう。そこで彼を待っていたものは…? はたしてライドーとは何者なのか? 彼が籠の中に隠し持っているものは何なのか? そして、メイキが幕府に追われる理由とは…?

 という感じ。現在、2巻を準備中だとおっしゃってましたが、このアルバムは複数巻におよぶ話の第1巻で、謎の武士ライドーが片目と片腕を失う顛末が語られると同時に、冒頭、メイキが演ずる文楽の形でほのめかされる将軍家の秘密が少し明らかにされます。どうやら父親を殺して女だてらに将軍位についたらしい現将軍 Ryinn Fujiwara(リン・フジワラ)、氷の森を根城にし、人間たちを襲う飯綱の狼たち、かつて幕府に捕らえられていたらしいメイキ…と、まだ詳しく語られていない部分が多いのですが、それも追々明かになっていくのでしょう。見所は細密な背景の描き込みと雪の白との対比が鮮やかな赤を使用した着色でしょうか。物語の途中で語られるライドーが片目と片腕を失う顛末はなかなかグロテスクな迫力があります。1度は敗れた男の復活と守るべき少女の存在、暴力的な描写ということで、なんとなく『北斗の拳』を思いだしたんですが、ちょっと違うかな…(笑) モロ日本語を意識しつつ、微妙に日本語らしくない登場人物の名称などはご愛嬌ですが(笑)、日本の作家がヨーロッパを舞台に作品を描いたりする場合、きっとヨーロッパ人も同じような印象を抱くんでしょうね。これはこれで作品の味になっていると思います。2巻は考証面で進歩しているということなので、請うご期待です。ちなみにタイトルになっている「des nuées écarlates(紅い雲)」ですが、テヌータさんはネタばれになっちゃうからとおっしゃってましたが、敢えて語ってしまうと(笑)、これはライドーが持つ2振りの剣のことで、タイトルになってるくらいなんで、これが今後重要な役割を果たすことになるのだと思われます。というか、このタイトルは説明しないとわかんないですよね(笑)? 

* 画像は真ん中が1ページ目、メイキが演ずる文楽の冒頭シーン、右は幕府の役人の侵入を受け、逃げようとするメイキと密かにメイキ救出のチャンスを待つライドー。

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