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ぐるなBBコミュの東日本大震災 2

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揺れは徐々に収まっては来たが、止まることはなかった。
常に揺らされている感覚。
地球全体が大きな船のようで、『宇宙船地球号』なんてのはユニークなネーミングだと思った。

知り合いの看護師が慌てて病室に飛び込んできた。
焦燥感が露になっていた表情は、俺を見て幾分かは緩んだようでもあった。
「あ、いたんですね・・・!じゃあ大丈夫でしたね!!」
何が大丈夫かは分からないが、ひとまずは親指を天井方向に立てて微笑んで見せた。

その後、患者さんの奥様も現れた。
奥様は病棟の洗濯室で乾燥機を回していたらしい。
患者さんより一回りも若い奥様はハキハキとした口調で
「いやー驚いた!まさか、あなたずっと立ってたワケじゃないわよね?」
いやいやと相槌を打つ。
立っているなんて不可能だ。

病室を出ると、別の担当患者さんが廊下に出ており、険しいながらもにこやかな表情で話しかけてきた。
「リハビリの成果、全然出ねやな。逃げらんねかったど。」
手術から3日しか経ってないその患者さんは、腹の傷を抑えながら訛りで嫌味を言ってくる。
とりあえずいやいやと相槌を打ち、無事を喜び、祈った。

45分頃過ぎたあたりだろうか。
病棟も僅かではあるが落ち着きが見られ、俺は支持を仰ぐべくリハ室のある17階へ向かうことにした。
停電していたが、予備電力のおかげで幾分かの電灯が点いていた。
病棟廊下は防火扉が開かれ、エレベーターは停止していた。
仕方なく階段でひたすら昇る。
10階分昇ることがこれほどまでに辛いとは。

息を切らしながら17階のリハ室へ戻る。
リハ室には30名程度の患者さんがプラットホームマット上に腰を降ろし、スタッフ10数名が傍で見守っていた。
パソコン横の書籍類は倒れ、机の上に置かれていた飲み物類は見事にぶちまけられていた。
認知症の患者さんが
「帰る」「おしっこ」「疲れた」
とまくし立てる。
それを親身になって諭すPT。
患者さんの中には車椅子で来ている方も多数いた。
トップの姿はなく、ひとまずはここで待機することとなった。

携帯電話を手にとって見る。
画面上に現れたのは『緊急地震速報』の文字だった。
そして何件かのメール。
知人から、安否を確認するメールが送られてきていた。
真っ先に送ってきていたのは、先日同窓会で参加した元・委員長であった。
「宮城の方が震源地みたいだったけど、大丈夫?」
彼自身も茨城在住。
自分の心配よりも先に俺を心配してくれたのか。

家族に電話を掛けようとするが、繋がらない。
「しばらくお待ちください」
の文字が阻む。
インターネットも繋がらない。
仕方なくメールを送ろうとした時に、1通のメールを受信した。
弟からだった。
宛先は俺と、仙台市内の病院に研修に来ていた妹になっていた。

「他の5人は大丈夫。
 二人は安全を確保して、まぁ分かってるか。
 家で待ってます。」

俺たちが心配しているだろうことを察知してのメールだったのだろう。
そしておかんからも

「家は大丈夫!あなたたちは病院にいる方が良いね。連絡出来るようになったら下さい。」

とあった。
ひとまず家族の無事を確認し、ふと安堵の色を見せた。
その時、ラジオからある情報が流れた。

「今回の地震の規模を示すマグニチュードは8.8!
 震度は栗原市で7を観測した模様です!
 仙台市で6強、その他の地域でも震度6弱と言った、非常に強い揺れを観測した模様です!
 そして、太平洋沿岸部に大津波警報が発令されました!
 沿岸部の方々は津波に警戒してください!
 石巻で10m、仙台港で7〜8mの大きな津波が予想されます!
 津波の一部は、もはや到着したと思われます!
 沿岸部の方は大きな津波に警戒してください!」


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